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第五章:悠斗の真実への問い

「えっとね…その…、今は、いるよ」


紗希は、ついにその事実を告げた。僕の淡い期待を持ち続けた三年間の空白は、彼女の三年間の幸福によって、完全に否定されたのだ。彼女の言葉は、まるで長く続いた夢の終わりを告げる鐘の音のように、静かに、そして決定的に僕の心に響いた。


(わかっていたはずなのに。三年経っても、僕はまだ、紗希のたった一言に振り回されている。僕が一人で立ち止まっていた間、紗希はもう次の人生に進んでいたんだ)


僕は顔色一つ変えないように努めたが、手のひらに汗が滲むのを感じた。彼女は優しいから、僕を傷つけたくなくて、新しい彼氏のことをあまり言えないんだろう。それすらも、僕にとっては残酷な優しさだった。


僕は感情を押し殺し、話を過去に戻した。戻すしかなかった。二人が付き合っていた頃の、他愛もない出来事。楽しかった思い出を並べることで、彼女の心の中に、僕という存在がまだ特別なものとして残っていると、最後の最後まで信じたかった。それは、もはや執着だ。


「そういえば、あの時行った沖縄の海、本当にきれいだったね。君が貝殻拾いに夢中になって、子どもみたいに砂浜を走ってたのをよく覚えてるよ」


僕が話す間、紗希は少し俯きがちに、静かに頷いていた。その表情はどこか遠くを見ているようで、この思い出は、彼女にとっては単なる過去の風景の一つに過ぎないのだろう。それどころか、思い出したくないのかも知れない。まさか、忘れてはないと思うけど。でも、僕が今必死に掴もうとしているのは、彼女にとってすでに色褪せた写真なのだ。


「あの時、なんで別れたいって言ったの? 今だから、正直な理由を聞けるかなって」


あぁ、言ってしまった。僕は、どうして、こんなに自分で自分を追い詰めるような質問をしてしまうんだろう。別れの本当の理由を知って、救われるはずがないのに。すべては僕の優柔不断さ、面白みのなさ、紗希の望む強さを持ってなかったせいだ。それでも、僕は真実を求めてしまう。

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