表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レイス・クロニクル  作者: たゆんたゆん
第二幕 峰越え
112/220

第110話 出発

2016/7/21:本文ステータス数値を修正しました。

2018/10/2:ステータス表記修正しました。

 

  蛇女族(ラミア)たち一団と別れその日の内に港街に戻ってきた僕たちは、自分たちでも旅支度を進めることにした。街に帰ってきた時点で【実体化】を【解除】して、先に備えることしたんだ。だから買い物は生霊(レイス)の姿。試しに通りすがりの店先で思い切って「いやぁ、迷宮で呪われてこんな姿に」と開き直ってみたら、「そりゃあんたも大変だねぇ」とすんなり受け入れられたというね。あんたらそれでいいのか!? と内心突っ込んでみたが、わざわざ自分で波風たてる必要もないと割り切ることにした。


 日中、それも陽の日向をふわふわ浮いてるのも安心材料だったんだと思う。あり得ないことだからね。


 まず向かった先が毛皮を扱ってる店だ。需要が少ないと言っても幾らか品揃えはあるはず。港街で他国と貿易できる窓口を持ってるんだから。人数が多い以上、ヴィルの背に乗って山越えも難しいだろう。ギゼラやディーのように高レベルの風魔法が使えるならそれも可能だろうけど、現時点ではそんな使い手は見付かりそうにない。


 「いらっしゃいませーっと、また珍しいお客さんが来たね。あんたには毛皮要らない気がするんだけど?」


 「開口一番酷い扱いだね。僕以外のお客も連れてきてるの見えないかな?」


 「これはこれは毛皮の似合う御麗人の皆様ではありませんか。コートから絨毯(じゅうたん)まで、なんでもご用命くださいませ!」


 「扱い方が雑すぎる。エレボスの峰越えに耐えれる防寒具を揃えてあげてほしいんだ」


 「お客様以外でという認識で宜しいですかな?」


 「この姿で欲しいと言える強さが欲しいよ」


 「(かしこ)まりました。最上級の防寒具をご用意いたしましょう!」


 おまっにやりと笑いやがったな!? くそぅっ早々(はやばや)と【実体化】を解いてしまったのが悔やまれる!


 口は悪いが品揃えはいい店に最初から当たったようだ。フード付の分厚い防寒コート、手袋、ブーツ、スカートのような腰に巻くものもあった。前掛けの部分と、左右の内腿付近にそれぞれスリットが入っている機能性豊かな防寒具だ。


 「へぇ、以外にしっかり考えてあるんだ」


 「お客様も遠慮がございませんね」


 「ああ、ごめん。感心てたんだよ? じゃあ、彼女と同じサイズをあと2セット、いや3セット用意できる? その内1つは子どもが着れる位の物だと嬉しいな」


 ナハトアを指差しながら店主に尋ねると。「勿論でございます」と言い残して倉庫の奥に消えていった。流石に品揃えが良いと対応が違うね。その間に。


 「ナハトア、ヴィルを()んで貰える? 一応、防寒具必要だろうから」


 「あ、はい、分かりました。ヴィル、ルイ様がお喚びです」


 「承知」


 あ、そんな喚び方に落ち着いたの? ま、それは普段の喚び方だろうから、気にしないことにするか。にしても、目脂(めやに)が付いてるぞ。今の今まで爆睡してただろ? 真顔で現れた男の顔を一瞥(いちべつ)して何か言おうと思ったけど、面白そうだからそのままにしておくことにした。


 「あ〜ヴィルさんだ!」


 「うむ。フェナか。よく似合ってるではないか」


 「えへへ。そうかな? でも、目脂付いてる顔で言われてもなぁ」


 ヴィルの褒め言葉にくるりとその場で回ってみせるのだったが、少し言い辛そうに右頬を右手の人差し指で()きながら小さく事実をぽろっと漏らすのだった。


 「なっ!?」「「「ぷっ!!」」」


 素早く両手を顔に貼り付けて目脂を取り始めるヴィル。その様子に、フェナを除く女性3人が吹き出すのだった。そこへ店主が同じセットを3つ持って戻って来る。仕事が早いな。案外余りで出ないものだからこの機を逃すまいとしてる可能性もあるよな。


 「おや? 殿方もいらっしゃいましたか」


 「いや、その認識可怪しいでしょ? 殿方なら僕も居るでしょ?」


 「然様(さよう)でございますね。忘れておりました。こちらの方の防寒具も見繕えば宜しいのでしょうか?」


 おい。


 「頼む。できれば男性用のサイズで彼より少し小さめの物を彼の物とは別に6セット購入したいんだけど、どうだろう?」


 「ありがとうございます。これでお代金を踏み倒されてはわたくし共も生活できませんが?」


 「(ちな)みに女性物だけで今どれくらい?」


 「然様でございますね。ーー金貨50枚と言った処でございますね」


 その値段を聞いた4人がそそくさと防寒具を脱ぎ始めた。確かに金貨50枚は大金だ。普段の日常品が高くても金貨1枚程度でほぼ(まかな)える事を考えれば、毛皮の装備がいかに高額商品かが理解してもらえるだろう。顔色が悪い処を見ると懐具合も悪そうだな。けど、こういうのは言い値じゃ買わないのが鉄則だよ。


 「随分吹っ掛けて来るじゃないか。こんな温暖な気質の港街でそもそも防寒具なんか需要はない。迷宮にも必要ない。使うのは山を越えようとする連中と、そういう輩を商売相手にしている貿易商か他所から来た同業者くらいだろう? 在庫処分が出来るという希望と、僕たちの急ぎ具合から吹っ掛けても必要なら買うだろうと思ってんじゃない?」


 その言葉に店主の眼が細くなる。警戒してるな。


 「ーー同業者の方でございますか?」


 そこに答える必要はない。疑心暗鬼になって迷えばいいんだ。


 「4点セット1つ金貨5枚とすれば、35枚だ。これだけ大量に買うんだ、30枚に負けてくれてもいいんじゃない?」


 思い切って下げてみる。流石にこれで「うん」と言われたら即決だけどね。まぁ言わないだろう。


 「っ!? お客様、こ、こまりますな。それではわたくし共の利が出ません。せめて40枚……」


 上げてきたね。視点を変えてみるか。


 「男性物の防寒着も貰うんだよ? あちらも7セットで金貨35枚と言ったところだね。2つ合わせれば金貨70枚の大金だ。そこを在庫処分を助けたと思って金貨50枚でどうかな?」


 最初の値切った計算でいけば女物、男物を値切った金貨30枚ずつを足して60枚という計算になるが、それじゃあ面白くない。着地点はその辺りでもいいかも知れないけどね。金貨100枚(白金貨1枚)という買い物は避けたいな。


 「そ、それでは、男性物の代金が金貨10枚ということになってします! それは困ります! 投げ売りではありませんか!?」


 その焦りは演技かな? なかなかの役者じゃないか。


 「どうかな? 倉庫を圧迫していたものは減る。代金が入るから次の買い付けが出来る。良い事尽くめだと思うけど?」


 視点を変えてみてどの辺りに喰い付くか、だけど。


 「いえいえ、お客様。毛皮はこの付近では手が入らないものです。希少性を買って頂けるのでしたら、金貨65枚は欲しい処でございますな」


 金貨70枚ラインに喰い付いたか。仕入れ値を差引いても元が取れるということだね。なら下げの一手だ。


 「確かに大量に毛皮を必要とする防寒装備品を作るにはそれ相応の量が必要でしょうね」


 「お解かり頂けて何よりでございます」


 僕が一歩引いたかと思ったら大間違いだよ?


 「けど、それをここで制作してればの話だよね? 大量に制作委託した物を一括で買い上げれば、仕入れ値はもっと抑えれるんじゃないかな? 現に、この店の何処にも(なめ)す作業場が無いようだしね」


 「なっ!?」


 その角度で懐を探られるとも思ってなかって様で、店主が相当焦った表情になる。無表情(ポーカーフェイス)では居られない所を突けたと思って良さそうだね。さてそろそろ着地しなきゃな。


 「でも、大量の物を仕入れるにはそれなりの顔繋(かおつなぎ)も必要だったことを加味すれば金貨55枚辺りが妥当かな。どうだろ?」


 結局、最初の言い値に金貨5枚を足しただけで買おうと言う魂胆だ。目標値は60枚でも良いと思ってたけど、もう少し叩けそうだから値切っておく。ダメ元も含んでるけどな。さぁどう出る?


 「ーーこれは相手が悪かったのでしょうね。体のように掴み所のない方に挑んだのが間違いでしたか。(よろ)しゅうございます。金貨55枚で御用命の品を用意いたしましょう」


 決まりだ。これ以上は交渉決裂になる。好印象を与えて商談を(まと)めよう。


 「ありがとうございます。この店を選んで正解でした。良い品に出逢えましたから」


 この言葉に嘘はない。心からそう思うよ。あのスカートのようなスリットの入った腰巻きは機能的だと思ったもんな。真意は伝わるはず。


 「こう言っては何ですが、品物の価値を理解していただける方に購入していただくのも商人としては喜ばしいことでございますよ。では品物を用意してまいります」


 店主はそう言って微笑むと倉庫の奥に消えていったのだった。


 「ルイ様凄いです!」「あたしには無理だわ」「ふぇぇ、ご主人様って何でも出来るんですね!!」「金貨100枚も払うのかと思ったけど、55枚で済むんだったら大助かりですよね!」


 褒められると嬉しいもんだね。


 「あ、でも、誰が支払うの? わたし金貨55枚も持ってないよ? 自分の分でも危ないのに」


 (ようや)く現実に立ち戻ったカリナが最初にその疑問を口にするのだった。流石しっかり者。銭勘定も早いな。


 「大丈夫。この買い物は僕が出すよ。ナハトア、お釣りを預かっててくれるかい?」


 「あ、はい」


 「カリナはダメ。直ぐこっそり使っちゃうそうだから」


 自分は? という感じに顔を指差すカリナには(くぎ)を差しておく。


 「ええーっ! ルイさん、それは酷くないですか!?」


 「否定しない処を見ると、自覚はあるみたいで安心したよ」


 軽い冗談のつもりで会話を楽しむ。ちょっと()ねた振りをするカリナも可愛いところがある。その遣り取りを聞きながらドーラとフェナも苦笑するのだった。


 「もぅっ」「「ぷぷっ」」「最近猫被り切れてないからだね」


 おいおい、猫被ってたのかよ。ナハトアの暴露に思わずカリナを見るとテヘペロなるものを披露してくれた。やれやれ。女性というのもをよく分かってない証拠だな。体だけ求めてもダメだったことだ。皆にもちゃんと向き合わないと……。


 談笑が一区切りした所で、店主が荷物を抱えて帰って来た。7セットともなればかなりの量だ。重さはないにしても嵩張(かさば)ることに違いはない。


 「ふう、お待たせ致しました。これがご注文の品でございます」


 「ありがとうございます。お代ですが、これは使えますか?」


 生霊(レイス)の体のままアイテムボックスから古代ファティマ金貨を1枚取り出して、きんっと指で弾く。取り出した時には僕の体と同じ半透明だったけど、弾かれてくるくると弧を描く頃には実体化していた。心配はあったんだけど、ものは試しとぶつけ本番を試みたんだ。というのは建前で、本当は【実体化】してた時に出すのを忘れてたというね。


 「こ、これは古代ファティマ金貨!?お、お客様は、いったいーー」


 「「「「えっ!?」」」」


 「う〜ん。下手に詮索しないほうがお互いのためだと思うよ? 本当に知らなければ、“知らない”って言い続けられるでしょ?」


 「ーー然様(さよう)でございますな。失礼の段、お許しください。勿論、ご利用いただけます。お釣りは普通の金貨で(よろ)しいでしょうか?」


 普通の金貨、か。ファティマ金貨の他にもそうでない硬貨もあると考えておいた方が良さそうだな。


 「ええ。お釣りの方は彼女に渡して下さい」


 打ち合わせ通りにナハトアの方に釣りを預ける。


 「(かしこ)まりました」


 結局、各々の防寒装備は自分のアイテムバッグに入れて持ち帰り、余分の物だけ僕がアイテムボックスに収納することで落ち着く。ヴィルも自分用のものを充てがわれたことが満更でも無いようで、窃かににやけていたが、そっとしておこうと皆で目配せして店を後にした。ナハトアもあまり持つことのない金額を渡されたことで少し緊張しているようだが、アイテムバッグが奪われない限り問題はないだろう。


 変にナハトアへ(こび)を売るカリナに辟易(へきえき)しながら買い物を済ませて、領主とクリス姫たちの待つ屋敷へ向かうのだった。移動しながら購入したものは、樫の木(オーク)製の(およ)そ500lは入りそうな空の樽5つと漏斗(じょうご)5つ。直径1.5mはある大きな平桶(ひらおけ)1つに、小さい平桶3つと手桶5つ。ロープ10m物を3本。あと包帯を10巻ほど購入しておいた。ナハトアたちは何の意味があるのか解らなそうだったけど、説明してもこの時点では理解できそうになかったし、使わない場合もあるだろうからと放って置くことにした。


 これだけ購入しても金貨2枚で済んだことを考えれば、いかに山越えする準備が大変なものかが分かるよね? 他にも準備しなきゃいけない物もある。ギルドマスターの執務室の壁に張ってあった平面地図でざっとの目算をしてみた処、山脈の(ふもと)まで辿(たど)り着くのに馬車を使えるのなら、凡そ30日は見ておきたい。徒歩なら3倍以上の時間がかかる。流石にそれはないだろうが……。


 15人分の食糧と調理器具。受け皿、マグカップ。あとはナイフ、フォーク、スプーンといったカトラリーも数揃えておいたほうが良いだろう。幾らからは先の迷宮までラミアたちと旅をした際に使ったものはあるし、ナハトアたちも自分用の食器類などは持っている。それも踏まえて足らないと感じたものを新調することにした。


 枢軸領主のクンラートがどれ程の食糧を用意してくれているか分からないけども、お酒類、干し魚、干し肉、油、調味料などはこちらでも足らずを予測して準備しておく。こうして屋敷に到着したのはその日の夕暮れ、陽がだいぶ西に傾いた頃であった。


 「ルイ様、それに皆様ようこそお越しくださいました! ーーそれが、言われていたお姿なのですね?」


 領主自らお出迎えとは恐れ入る……。後ろの衛士たちが相当焦ってるけど大丈夫か?


 「そういうこと。冥府(めいふ)の手などは無いので怖がらないでくださいね。陽がある内に動けてるのも安心材料になると良いんですが」


 ま、しっかり言い聞かせてるからこそ手を出してこないんだろうけど。デューオ様のような気質であれば接しやすんだけど、まだ良くわからないんだよな、この人の事。


 「然様でございますな。丁度これから夕食時です。宜しければ皆様もご一緒にいかがですか?」


 僕の説明に笑顔で(うなず)き、後ろに控えている女性4人にも声を掛ける領主。ヴィルはというと、帯剣を許されないのであれば、召喚具に戻っているといって引っ込んだんだよね。ま、それで良かったと思う。この時点で敵が混じってるのであればあまり手の内を明かさないほうが身のためだ。


 「それはありがたいですね。一日動き詰めだったので、皆お腹が空いてるでしょうから」


 「やった!」「わたしたちも一緒で良いのでしょうか」「ふ、不安です」「大丈夫よ」


 ただ、彼女たちは嬉しさと場違いな雰囲気に呑まれて萎縮してる者とに分かれていた。カリナやナハトアは長い寿命の中でこういう場面に何度も出喰わしているのかも知れないな。落ち着いたものだ。ドーラとフェナは怯えた眼で僕を見てる。


 「大丈夫。クンラート様も冒険者ギルドのある街を治めておられるんだ、よく理解(わか)っておられるさ。それにクリス姫も気さくな方だから怒られることもないよ」


 「はははは。これは一本取られましたな。ご期待に添えるように致しましょう」


 「ほらね?」


 それを払拭できるように、クンラートを大げさに持ち上げておいた。場の空気を読める男のようで、それに乗ってくれたのもありがたい。念を押すと、ドーラもフェナも笑顔を浮かべるのだった。これで良し。


 その後、食堂に通された僕たちは共に会食を楽しむ運びとなった。とは言うけど僕は椅子の上に浮いてるだけ。流石に生霊(レイス)姿では食べれない。さっきの金貨のようにアイテムボックスに入れておいた一皿を食べてみるという試みも出来るかも知れないけど、肉体がなければ味すら分からないだろう。やるだけ無駄だ。


 今出来ることといえば、運ばれて来る料理に【鑑定】を掛けて毒見(どくみ)をすることだ。ナハトアにもその(むね)をこっそり伝えてるから、彼女も【鑑定】をしながら食事をしてくれているはず。ドーラやフェナは緊張しすぎて何を食べても味がしなかったかもな。ま、結果どの料理も飲み物も問題はなかったよ。取り越し苦労で済めばそれに越したことはない。


 済んでみれば会話の少ない盛り上がりに欠ける緊張した会食が終わり、各々が早朝の出発に備えて割り当てられた部屋で朝を迎えることになった。僕の霊体(アストラルボディー)は微発光してるため暗がりを動くことには向かない。大人しく朝を待ったんだけど、暇だったね。手持ち無沙汰だったから襲撃の際に吸っておいたスキルを確認することにしたよ。


 「【ステータス】。さて、どうなってるかな」


 ◆ステータス◆

 【名前】ルイ・イチジク

 【種族】レイス / 不死族 / エレクトラの使徒

 【性別】♂

 【称号】レイス・モナーク

 【レベル】61(+60)

 【状態】加護+

 【Hp】123,000/123,000(+120,000)

 【Mp】3,730,632/3,730,632(+3,614,632)

 【Str】5,612(+5,493)

 【Vit】4,592(+4,480)

 【Agi】4,101(+3,988)

 【Dex】2,857(+2,769)

 【Mnd】2,635(+2,550)

 【Chr】2,216(+2,169)

 【Luk】1,599(+1,560)

  ・

  ・

  ・

  ・

  ・

  ・


 「3人分吸っててレベルが60!? 随分レベル上がるの遅くなったな。っと【スキルドレインプールLvMax➊】を【鑑定(アプリーズ)】」


 ◆スキルドレインプールLvMax◆

 【分類】パッシブスキル。常時発動中。スキルドレインで吸ったスキルを幾らか貯めておくことができる。得たスキルは任意で身に着けることができる。先天的な固有保持スキル意外であればドレインできる。貯まったスキルは消去することも、眷属に譲渡することも可能。現在31のスキルを保有しています。身に着ける/眷属に譲渡する/消去する


 身に着けますか? はい/いいえ


 「はい」。ずらっと並んだ様相を確認してみるかな。目新しい物があると良いけど。


 ◆スキルドレインプール一覧◆

 【スキル名称】威圧Lv230

 【スキル名称】調教Lv116

 【スキル名称】偽装Lv95、Lv243

 【スキル名称】航海術Lv146、Lv123、Lv205

 【スキル名称】交渉Lv239

 【スキル名称】操舵Lv80

 【スキル名称】採集Lv78

 【スキル名称】水泳Lv56、Lv57、Lv65 

 【スキル名称】潜水Lv61、Lv108

 【スキル名称】忍び足Lv237

 【スキル名称】暗技Lv157

 【スキル名称】武術Lv50、Lv281

 【スキル名称】剣術Lv276

 【スキル名称】二刀流Lv284

 【スキル名称】闇魔法Lv230

 【スキル名称】闇耐性LvMAX

 【スキル名称】水魔法Lv56、Lv86

 【スキル名称】水耐性Lv33、Lv95

 【スキル名称】風魔法Lv65、Lv87

 【スキル名称】風耐性Lv47、Lv76


 さすが海賊。航海術系が充実してるな。まずは僕に付けれそうなものは……。航海術に交渉、操舵と採集くらいか。


 【航海術Lv146】航海術Lv146へ。

 【航海術Lv123】航海術Lv146と統合され航海術Lv269へ。

 【航海術Lv205】航海術Lv269に統合され航海術Lv474へ。

 【交渉Lv239】交渉Lv261に統合され交渉Lv500へ。

 【操舵Lv80】操舵Lv80へ。

 【採集Lv78】採集Lv112と統合され採集Lv190へ。


 こんなもんだな。


 あとは残さない様に(ひらめ)きで眷属に譲渡だ。アルマの威圧を上げて、ナハトアの調教。ベンの偽装も上げるか。アピスとカティナは泳げないだろうし、ナハトアも念の為泳げるようにしておくっと。潜水はカティナにも付けて、ディーに暗技も面白いかもな。面倒だから残り全部はナハトア行きだ。


 【威圧Lv230】アルマへ譲渡。威圧Lv101と統合され威圧Lv331へ。

 【調教Lv116】ナハトアへ譲渡。調教Lv70と統合され調教Lv186へ。。

 【偽装Lv95】ベネディクトへ譲渡。偽装Lv31に統合され偽装Lv126へ。

 【偽装Lv243】ナハトアへ譲渡。偽装Lv80に統合され偽装Lv323へ。

 【水泳Lv65】アスクレピオスへ譲渡。水泳Lv65へ。

 【水泳Lv57】カティナへ譲渡。水泳Lv57へ。

 【水泳Lv56】ナハトアへ譲渡。水泳Lv56へ。

 【潜水Lv61】カティナへ譲渡。潜水Lv61へ。

 【潜水Lv108】ナハトアへ譲渡。潜水Lv108へ。

 【忍び足Lv237】ナハトアへ譲渡。忍び足Lv5と統合して忍び足Lv242へ。

 【暗技Lv157】ディードへ譲渡。暗技Lv157へ。

 【武術Lv50】ナハトアへ譲渡。武術Lv12と統合して武術Lv62へ。

 【剣術Lv276】ナハトアへ譲渡。剣術Lv276へ。

 【二刀流Lv284】ナハトアへ譲渡。二刀流Lv284へ。

 【闇魔術Lv230】ナハトアへ譲渡。闇魔術Lv75と統合して闇魔法Lv305へ。

 【闇耐性LvMax】ナハトアへ譲渡。闇耐性LvMaxと統合して闇吸収へ。

 【水魔術Lv56】ナハトアへ譲渡。水魔術Lv56へ。

 【水魔法Lv86】ナハトアへ譲渡。水魔術Lv56と統合して水魔術Lv142へ。

 【水耐性Lv33】ナハトアへ譲渡。水耐性Lv33とへ。

 【水耐性Lv95】ナハトアへ譲渡。水耐性Lv33と統合して水耐性Lv128へ。

 【風魔術Lv65】ナハトアへ譲渡。風魔術Lv65へ。

 【風魔法Lv87】ナハトアへ譲渡。風魔術Lv65と統合して風魔術Lv152へ。

 【風耐性Lv47】ナハトアへ譲渡。風耐性Lv47とへ。

 【風耐性Lv76】ナハトアへ譲渡。風耐性Lv47と統合して風耐性Lv123へ。


 「ふぅ〜終わった。貯まり過ぎる前に処理できれば、前のような事にもならないだろうから、ちょくちょく整理しないとな。ま、このタイミングなら体が怠くなっても問題ないだろうし。さて、寝るか」


 とは言うものの、生霊(レイス)に三大欲求は存在しない。【実体化】してる時にそれを感じれるようになったのは嬉しいけど。ともあれ今この瞬間に眠気は全く無いが、寝るという動作を楽しむために敢えて意識を手放すことにした。このまま寝てるとフワフワと壁をすり抜けて外に出てしまうこともあるんだけどね。




             ◇




 朝5:30。 


 女性陣の部屋に漂い流れて行くこともなく小鳥たちの歌声で朝を迎えた。出かける朝であることが理解ってるので昨夜の夕食を食べている内に、お持ち帰り(テイクアウト)用の朝食をお願いしておいたんだ。だから、馬車に乗り込みながら人数分の朝食が入った手提げ籠(バケット)を貰えたのは少し嬉しかったな。


 2頭引きの大きな幌付(ほろつ)きの荷馬車が2台中庭のロータリーに止まっている。どうやらこれのようだ。護衛5人の騎士たちが先頭の馬車、女性陣7人が後ろの馬車に別れる事になった。僕はというと後ろの馬車でフワフワと同行する。ヴィルは面倒だからと召喚具の中に篭ったままだ。誰に似たんだか……。


 「食物はそれぞれのアイテムバッグに預けておりますので、麓までは足りるでしょう。(ふもと)で改めて仕入れて頂ければ幸いです。それとこの馬車ですが、麓にて売却して旅の資金に当てて下さいませ」


 そういう事か。


 クンラートや使用人たちに見送られながら、荷馬車がゆっくりと動き始める。この先の旅程を暗示するかのように、車輪の動きが酷く重く感じられるのだった。







最後まで読んで下さりありがとうございました!

ブックマークやユニークをありがとうございます! 励みになります♪


誤字脱字をご指摘ください。


感想を頂きました。ありがとうございます!

引き続きご意見ご感想を頂けると嬉しいです!


これからもよろしくお願いします♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ