【第六章総集編】鴉の手記⑥
アウレリアとレックスの同盟条件の一つとして、エピオナの犠牲者の埋葬が大々的に行われた。
現地には名目上の責任者である聖女アウレリア、その護衛ユリウス、エピオナ生存者代表のミリアに加え、新たに聖女の護衛としてテオとイアスが付けられた。
ミリアが同席したのはエピオナ人だからというだけではなく、実際にはトゥレンから焼け跡の調査をするよう密命を受けていたことにもよる。これは、元の街を知っている人間でなければ現場検証が困難であり、自軍の兵たちでは捜査にも限界があったためである。
ミリアはユリウスとともに焼け跡の調査を行い、これが単なる宗教的な弾圧ではなく、エピオナの医師を狙った犯行ではないかと推測を立てる。
一方その頃、アウレリアは新しい護衛兵のテオからレックスについて様々な情報を聞かされる。貧しい大家族の長男で、日々の生活にも苦労していた彼の実家は、レックスが総司令になってからの十年間の軍政改革により全員が食べていけるようになっていた。その恩義と憧憬が合体し、テオはレックスを崇拝していたのである。彼の止まらない推し語りにより大いに困惑したアウレリアだったが、同時にレックスの置かれた境遇とこれまでの業績を知ることになった。
屈強な兵士たちにより、おびただしい数の遺体の埋葬作業は一日で完了した。アウレリアはここで初めて公式に聖女として鎮魂の祈りを捧げ、ミリアもともにエピオナ語で同胞の死を悼んだ。
同時に、これらの大々的な行事は、レックスたち王国軍の正当性を喧伝する手段でもあったことを、ミリアは静かに察していた。
王都に帰還したイアスからの報告で、トゥレンはたまたま披露することになったユリウスの剣の腕前を知る。彼の立場と技量を鑑み、レックスのそばにいては危険だと感じた彼は、密かに対策を講じることとなった。




