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コンビニ

 コンビニへたどりつくと、レジカウンターにいた女性店員と目が合う。


 「いらっしゃいませ」


 客として認識されたからには何か買わなきゃマズイだろう。私はファッション雑誌を手に取った。パラパラとめくる。

 内容をちっとも理解できなかった。モデルの女の子の髪型を真似してみたいとか、フリルのすそがユニークだとか、いつもの見方ができない。女の子が白い服を着ている、それ以上の情報はわからなかった。

 文字も全然読めない。なんで読めないんだろう?絶対知ってる言葉なのに、どういう意味の言葉だったか思い出せない。ひらがなもカタカナも羅列してあるだけのイラストに見えた。

 雑誌を閉じて、文房具の棚へ行く。目当てのシャーペンの芯はどこにも見当たらない。絶対あるはずなのにうまく探し出せない。

 だんだん焦ってきた。店員に不審者として通報されるんじゃないかと不安になる。

 買わなきゃいけないものは頭に浮かんでいる。雑誌でもシャーペンの芯でもない。


 「……まるにあげなくても、家でも使えるんだし……うん、よしっ」


 棚を移ると一瞬で牛乳パックを見つけた。手に取ってレジに直行する。財布を取り出すと小銭がたくさんあったけど、計算できなくて一万円札で支払った。財布は重くなったけど、何とか牛乳を買うことができた。

 コンビニを出ると、おばけ屋敷の迷路からやっと脱出できたような気分だった。外に出ても治まらない心臓のドキドキにつられて早足で歩く。

 無意識に、公園に向かって歩いていた。昨日と同じ道だと正気付くと、ようやく私は観念してまるに会おうと決めた。

 公園はもう遠くない、そう感じる。キャットフードはあるし、牛乳もある。あとは公園に行くだけなのだから。


 「あ。牛乳は人肌に……」


 昨日教わったことを思い出した。手のひらで牛乳パックをギュッと包み、人肌に温めながら進んだ。



つづく

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