第4話:七十年の別れと、コールという名の戦慄の真実
「RETURN: EDEN」をお読みいただきありがとうございます!これは私が初めて世に送り出す物語です。笑いと、ちょっとした驚きをお届けできれば嬉しいです。どうぞお楽しみください!
花凛がこの世を去った日以降、東京の冬は例年よりも長く感じられた。
蓮は別の場所に引っ越すこともなく、彼女の代わりとなる新しい誰かを探そうとも全く考えなかった。彼は花凛の指からシンプルな銀の指輪を外し、細いネックレスのチェーンに通し、常に胸に――自分の心臓の鼓動に最も近い場所に身に着けていた。
歳月は、終わりのない流れの中で瞬きをするように静かに過ぎ去った。何年も前の痩せた貧しい青年は、徐々に白髪で腰が曲がり、何万もの夜をイーゼルに向かって過ごしたために目が霞んだ老人になっていた。蓮は質素を通り越して質素な人生を送り、絵を描くことを呼吸とし、35歳で亡くなった少女の記憶を唯一の精神的支えとしていた。
蓮は70歳になった。
彩香――今は引退を控えた著名な弁護士となっていた――の説得により、蓮は40年以上部屋の隅に隠し持っていた絵『吹雪の中の陽光』を、日本国美術展覧会に出展することを決意した。
吹雪の中で輝くような、打たれ強い笑顔を見せる若き日の花凛の肖像画は、東京の美術界全体に震度をもたらすような衝撃を与えた。深い愛、静かなる犠牲、そして揺るぎない決意が込められた素朴な筆遣いの一つ一つが、何百万人もの人々の心を打った。その絵は最も権威ある賞である内閣総理大臣賞の大賞を受賞し、同時にある美術収集家によって1億円という記録的な価格で買い取られた。
厳かな表彰式で、何十台ものテレビカメラのレンズの前に、すり切れた古いスーツを着た70歳の老人が栄光の演壇に立っているのを人々は見た。記者たちが、この巨額の金を老後の楽しみにどう使うのかと尋ねると、蓮老人はただ優しく微笑み、涙ぐんだ目でガラス窓の向こうの青空を見上げた。
「このお金は、もともと私のものじゃありません。彼女の笑顔のものです」
その翌日、1億円の賞金全額が、心臓病を患う貧しい子供たちのための「白川花凛支援基金」の設立に直接送金された。その慈善基金は日本中で何千人もの恵まれない子供たちを救い、花凛がこの世で決して手に入れることのできなかった健康な体についての夢を、彼女の代わりに書き続けた。
暖かい日差しに満ちた春の午後、東京の街には再び桜が咲き誇っていた。
田中蓮老人は窓辺のロッキングチェアに安らかに座り、両手で古いスケッチブックをしっかりと抱きしめていた。わずかに微笑みながら、彼は目を閉じた。穏やかな風鈴の音の中、彼の心拍は徐々に遅くなり、そして静かに止まった。彼は人間としての人生を完全に全うしたのだ――貧しく生き、心から愛し、最後の一息まで責任を背負い、そして人間愛に溢れた遺産をこの世に残して。
ビューーッ……。
物質世界全体が、接続を切られたばかりの仮想現実シミュレーションのように消え去った。魂の光エネルギーが量子アベニューを猛スピードで通り抜け、オリンを永遠の領域へと連れ戻した。
ドスッ!
オリンは、至高のエデンの間のピカピカの大理石の床に着地した。
ピロン!ピロン!ピロン!
エデンのシステムの中央制御パネルが即座に輝き、空いっぱいに爆発する量子の花火とともに、天界全体に響き渡る通知音が鳴った。
【総括通知:地球体験2026を優秀な成績で完了】 【進行度:戦場での事故のカルマ負債を全額清算】 【特別イベント発生:自発的に慈善基金を設立し、何千もの命を救った(元のチャレンジシナリオを超える成果)】 【パーティー報酬:一斉に +80,000 カルマポイントを追加】 【アカウント総括:マイナス負債から抜け出し、全エリアで豊富なエネルギーを持つグループに上昇!】
千年の意識が戻ってきたが、愛、質素な生活、そして喪失の痛みに満ちた70年間の現世の余韻は、オリンに胸を押さえさせ、床に膝をつかせ、魂の涙をポロポロと流させた。その瞬間、彼は何も言わず、ただ静かにガランとした大理石の床の真ん中に座り、70年間の記憶の欠片が最後にもう一度目の前を通り過ぎるのに任せていた。
「花凛……さようなら……優しくて、打たれ強い俺の女の子……。この世での生活は貧しくて惨めだったけど、君を愛し、最後の一息まで世話をし、君の名前で慈善基金を設立できたことは、俺の人生で最大の幸せだった……」
ドスッ。ドスッ。ドスッ。
ハンマーのように重い足音が大理石の床に打ち付けられ、大広間全体を揺らした。
2メートルを超える、岩のように隆起した筋肉、濃いひげを持ち、獣の皮のふんどしだけを身につけた巨大な黒い影が近づいてきて、シャベルのような大きさの手をオリンの背中にバンバンと叩きつけ、彼の魂の殻を粉々にしそうになった。
「おい、オリン!お前が俺の名前で作ったあの慈善基金、マジで最高だったぜ、親友!この70年間、ありがとな、兄弟!」
オリンは驚いて顔を上げた。目の前にいたのはコール――あのゴツいローマの剣闘士だった。
コールは、毛むくじゃらで不格好な巨大な小指を突き上げた――そこには、蓮がプロポーズのために6ヶ月間朝食を抜いて買った、あのシンプルで安っぽい銀の指輪がまだぶら下がっていた――そして、すきっ歯を見せて満面の笑みを浮かべた。
「指輪はちょっとキツいけど、記念に取ってあるぜ!おい、さっきあの雪の降るバルコニーの記憶をリプレイしたんだけどさ――お前が震えながら膝まずいて『花凛……俺の命と魂のすべてをかけて君を愛してる』って言ったシーンな。神に誓って言うが、見返してて俺の魂がその場で吹き出しそうになったよ!俺に対するお前の愛情が本当に深いってことは認めざるを得ないな、オリン!ハハハハハ!」
オリンは絶句した。彼の瞳孔は砂粒ほどの大きさに収縮した。
オリンの魂の脳は、光の速さで東京での70年間のすべての記憶を巻き戻し始めた。
リレーで「小柄な女の子」をおんぶして走ったシーン → 実際には2メートルの巨人をおんぶしていた。
震えながら膝まずいて「愛してる」と告白したシーン → 筋肉フェチのローマの剣闘士の男に告白していた。
息を引き取る前に「冷たくなった」手を握ったシーン → 親友の男の兄弟(Bro)の手を握っていた。
オエエエエエエエエエエエエエエ!
オリンは喉を強く押さえ、身をかがめて何十億ものきらめく光子をエデンの床に激しく吐き出し、白目を剥き、究極の実存的危機の狂乱の中で叫んだ。
「マジかよおおおおおお!花凛はお前だったのか、コール?!この筋肉モンスターが?!誰か助けてくれ、天地神明よ!俺の魂を破壊してくれ!!」
オリンは吐きながら頭を抱え、混乱して問い詰めた。
「待てよ……じゃあ、あの身長1.9メートルのフィットネスクラブのキャプテン、いつも俺を筋トレに誘ってきた竜星のオッサンはどうなんだ?!あいつ、お前そっくりに筋肉に執着してたから、てっきりあいつがお前だとばかり思ってたぞ?!」
コールは顎を掻きながら豪快に笑った。
「竜星の奴か?あいつは別のグループから意志を鍛えるために役を引き受けた魂だ!さっきエデンの間のジュース売り場で出くわしたところだぜ!誓って言うが、ホールの外でのあいつの魂の姿の筋肉も、下界と同じようにシャープで、シックスパックが隆起してて、マジで本格的だったぜ!あの日、アトリエであいつがお前の前で上腕二頭筋を曲げて見せびらかしてるのを見てイラッとして、俺の戦士の本能が呼び覚まされて、あいつと力比べしようとイーゼルを持ち上げようとしたんだ。心臓病の生体シェルが気絶して、お前が飛び出して俺を抱き止めるハメになるなんて誰が予想したよ!」
オリンは目を丸くし、アエリアの方にバッと振り返った。
「じゃあ……じゃあ、あの偉そうな生徒会長の麗子、いつも上から目線で扇子を持って指図して、グループの予算を削るとか言ってたあのお嬢様は?!」
アエリアは腕を組み、軽蔑したようにカルマのタブレットを掲げた。
「彼女は別のグループで、リーダーシップの教えを学ぶために高慢な貴族の役を引き受けた人よ!あんた、目が曇ってるの?誰を見てもチームメイトだと勘違いするなんて、オリン?!」
バンッ!
アエリアの純金製のタブレットがコールのうなじに真っ直ぐに振り下ろされ、巨人はふらついて前へのめり込んだ。
アエリアは大股で歩み寄り、胸の前で腕を組み、大理石の床をドンドンと踏み鳴らした。頭上のオーラは真っ赤に変わり、彼女の魂の頬は、怒りと恥ずかしさで少し赤く染まっていた。
「その巨大な手をオリンから今すぐ離しなさい、この筋肉バカ!」
彼女は振り返り、床に倒れ込んで光を吐いているオリンを、火を噴くような目で見下ろした。
「それからあんたもよ、オリン!この茶番劇が一体何なのか説明してみなさいよ!」
オリンはぼんやりと頭を上げ、口の端にはまだいくつかの光子がついていた。
「えっと……俺は被害者だぞ、アエリア……俺はPTSDになって、魂が爆発しそうなんだぞ……」
「被害者って何がよ!」――アエリアは腰に手を当て、恨みがましく甲高い声を出した――「前世の他の世界で無課金で貧乏な生活をしてた時、あたしとあんたが何回夫婦のペアになったか覚えてる?!
ローマで貧しい夫婦としてパン屋を開いた時、あんたは助手の仕事を引き受けたくせに、野生の馬を厩舎に連れて帰るためにこっそり抜け出して、あたしに生地をこねさせながら、台所の隅に溢れ返った馬のクソの山を片付けさせたわよね!
東アジアの封建時代に貧しい農民としてトウモロコシをもいでいた時、あんたは釣りに行くのが好きで、足を滑らせて溝に落ちて早くに死んで、あたしに3人の幼い子供を残して、種子の借金を返すために3エーカーの畑を耕させたわよね!
あんたが焼き芋一つ買ってくれたり、まともなお粥を一杯作ってくれたりした人生が、今まで一度でもあった?!」
アエリアは震える指をコールの手にある銀の指輪に真っ直ぐ突きつけ、無意識の嫉妬で声を詰まらせた。
「それなのに今世は……朝食を6ヶ月も抜いて銀の指輪を買って、膝まずいて『愛してる』ってプロポーズするなんて!徹夜で看病して、汗の一滴まで拭いて、さらにその子の名前で1億円の慈善基金を設立するなんて?!コールに奉仕するためだけに、国民的で一途な理想の彼氏のモデルに変身したってわけ、オリン?!!」
コールは叩かれた場所をさすりながら頭を抱え、こっそりオリンの背後に下がり、ニヤニヤしながら横目でのぞき込んだ。
「あれ、アエリア、ヤキモチ妬いてるなら素直に妬いてるって言えよ。前世のことまで持ち出して文句言うなんて!残念ながら今世でオリンが世話する相手に選んだのは俺だからな、情も深いし、お嬢ちゃんが入り込む隙はないぜ!ハハハハハ!」
「お前を光子の断片に引き裂く前に、その口を閉じなさい、コール!」――アエリアは顔を真っ赤にして、タブレットを持ち上げ、コールの顔に真っ直ぐに投げつけようとした。
バーカウンターの後ろから、桃の不老不死の実をくちゃくちゃと噛みながら、ジビーがオルロの肘をつついた。
「見て見て、オルロお兄ちゃん!アエリアお姉ちゃんがめっちゃ嫉妬して暴れてるよ!エデンで何万年もオリンお兄ちゃんとソウルメイトごっこしてて感情に免疫があると思ってたのに、他の相手を70年間も世話してるのを見たら、ツンデレの正体現したね!」
オルロは丸眼鏡をそっと押し上げ、監視ボードの意識の揺らぎの記録データを静かに開き、ささやいた。
「ぼ、僕……アエリアお姉ちゃんが下界にいる間の意識の揺らぎの指数を測定したんだけど……蓮が膝まずいて指輪を渡すのを見るたびに、お姉ちゃんのエネルギー波が300%も跳ね上がって、介入を要求する保険の契約書をずっと作成し続けてたんだ……」
「あんたたち二人もカルマポイントを全部引かれたいの?!」――アエリアが振り向いて睨みつけると、ジビーとオルロはすぐに口を固く閉ざし、大理石の柱の後ろに素早く逃げ込んだ。
オリンは、銀の指輪に向かって色目を使うコールを見て、それから全身から煙が出るほど怒っているアエリアを見て、地球から逃げ出したと思ったら、さらに何倍も頭の痛い混乱の中に落ちたような気分になった。
彼は顔を抱えて絶望して叫んだ。
「長老ヴァエレン、助けて!早く俺を別の世界で石ころか、草の葉か、洗濯機にでも転生させてくれ!ここにいたら魂が爆発しちまう!!」
作者より:日本語は母国語ではないため、至らない表現や誤字脱字があるかもしれません。温かい目で見ていただけると嬉しいです。もし気になる点があれば、優しく教えていただけると励みになります。ご感想・ご指摘・お仕事のご相談などございましたら、こちらまでお気軽にご連絡ください:eishun.sensei.eden@gmail.com 最後まで楽しんでいただけますように!




