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平和な一日その6


 下校時刻になった。


 まだお腹は痛い。


 帰りも基本的にはこの四人で帰宅する。


 日直とかあればバラバラになるけど。


 今日は特にない。


 日は短くなって来た。


 もう暗くなって来ている。


 けど大半の生徒はこの時間帯でも活動しているみたい。


 前なら直帰している人も多かったけど。


 慣れたから活動時間も伸びて来たのかな?


 スマホからテイッターを開く。


 [これからカラオケ〜オールするわよ!]


 [彼氏と買い物してから帰ろ〜部活辞めたから暇な時間増えた〜]


 [ルート確保完了、本当に人使い荒いわね〜]


 [腹減った〜なんか出店の焼き鳥屋が最近出来たらしけど何処にあるか分かんね〜]


 焼き鳥食べたいね。


 今はタレで食べたい気分。


 「晶く〜ん、スマホばっか見てないで私のことも見てよ〜」


 柚木が俺の背中に乗ってくる。


 軽いからそんなに気にならなかった。


 むしろ背中に当たってるいやらしいものの方が意識を持ってかれる。


 「また新庄にベタベタして!早く離れなさいよ!この!」


 「やーめーてー!私はこのまま晶くんの背中で暮らすんだから!」


 必然的に俺も引っ張られて苦しい。


 「バカ言ってんじゃないわよ!新庄も太って来たあんたに乗られて苦しいって言ってるわよ!」


 「そ、そんな事……ない……と思う」


 後ろの状況は見てないけどなんとなく柚木がお腹の辺りを触っているのは想像つくね。


 ついでに何故か俺のお腹も触られた。


 「あれ?晶くんって結構お腹引き締まってるね?」


 「そう?」


 華奢な体つきだと思ってたけど。


 脱げば実はすごいみたいな感じなのかな?


 自分では知らなかったけど着痩せするタイプ見たいな?


 「そ、そうなの?う、ウチも触るわよ!?いいでしょ!?」


 恐る恐る手先を近づけてくる小鳥遊。


 まだ何も言ってないのに。


 拒否権はないみたい。


 溝あたりに人差し指を当ててそのまま下へとなぞっていくように。


 なんかいやらしいね。


 「確かに思ったより筋肉質ね!まさかあんた筋肉は裏切らないとか言って裏で筋トレとかしてるの?流行らないわよ」


 とか言ってるけど俺のお腹をずっとペタペタ触ってくる。


 すると柚木が前のめりになり。


 「ちょっと触りすぎ!私の晶くんから離れて!」


 「いつあんたのになったのよ!」


 俺を間に取っ組み合いが始まる。


 普通に危ないね。


 最近ではこの流れも慣れてしまったけど完全にラブコメ主人公ルートに入ってしまってる気がする。


 けどまぁ特に目立つような行動はしてないし大丈夫かな?


 それに俺は……。


 「だ、大丈夫ですか?」


 不安そうに顔を覗き込む山口。


 コクリと頷く。


 「ねぇ〜晶く〜ん小鳥遊さんが……」


 背中越しに俺の顔を見ると柚木の口が止まる。


 何も言わず背中から降りた。


 ……?


 「さぁ!さっさと帰りましょ!夜ご飯が待ってるわ!」


 「そうね……」


 「はい……」


 何故か一瞬で妙な空気感が生まれた。


 俺は鈍感系主人公とかじゃないからよく分かる。


 みんなが一切触れないようにしている部分がある事に。


 察しの悪いモブキャラになれればよかったのに。


 道端に咲いている花は風と共に散っていった。

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