番外編 引っ越し
俺たちは今マンションで四人暮らしの生活をしている。
「うん、狭い」
とにかく寝床がなさすぎて俺とかソファーですら寝られない状態になってしまった。
今まで使っていたソファーは小鳥遊に譲ったのだがそれ以上にスペースを取られた為俺はリビングの隅で布団を敷いて寝ている。
あれ?順番的には俺が二番目のはずなのに。
つまりは俺が二番目に偉いって事だよね?
「あのさ……一応俺って二番目にここに住み始めたじゃん?」
俺はリビングで各々くつろいでる三人に声をかける。
「そ、そうですね」
雑誌を読んでいた山口がこちらを向く。
「どうしたの晶くん?すごい不満そうな顔してるけど何かあった?最近も寝不足そうだし腰とか痛いって言ってたよね?大丈夫?」
テレビを見ていた柚木が俺に近づいてくる。
原因は主に柚木と小鳥遊のせいなんだが。
俺はジッと小鳥遊を見る。
「……なによ!ウチ今忙しいんだけど!?言いたいことがあるならはっきり言いなさいよね!……て言うか!あんたが横でごちゃごちゃ言うからマニキュアちょっとずれちゃったじゃない!どーすんのよこれ」
そう言って白くて長い足を俺に伸ばしてくる。
やはりこれが一番ひどい。
柚木の言っていた通り新人が一番生意気になるんだね。
俺は山口にアイコンタクトを送る。
[ちゃんと躾して]
[い、言い方!よくない!そ、それに私は保護者じゃないです]
身振り手振りでアイコンタクトを送りまくると山口は諦めたようにため息をつき小鳥遊の方へ。
「小鳥遊さん……ちょっといいですか?」
「な、なによ?」
小鳥遊の手が止まる。
いいねぇ〜そのまま調教してやってください。
そうしたらもうちょっと俺にスペースを譲ってくれるだろう。
山口は小鳥遊の足を見て。
「凄く可愛いです」
「でしょ!?これスマホのテイッターで見つけたんだけど結構やってる子多いみたいでさ〜ウチ海外じゃ服とか髪型ばっかにこだわってたからアクセとかこう言う系にも手を出していこうかなって思ってて!」
あ、ダメだこりゃ。
山口さんでも美人には弱いですからね。
「晶くん、飴舐める?」
小袋に入った飴を渡してくる柚木。
俺は確信した。
このままだと確実に俺の地位は最下位に落とされる。
それになんで女子三人と暮らしているんだ?
おかしい……何かがおかしい。
三人が仲良く喋っている姿を見て名案が思い浮かんだ。
先生に相談してなんとか二人をこの家から追い出そう。
狭いとか流石に女子三人だと居心地が悪いとかそんな事を言い訳にすれば多少なりとも改善されるはず。
うん、まじでそうしよう。




