第七十一話
ここは校内のとある施設。
その暗闇の中ではスクリーンのモニターの灯りだけが残っていた。
「またダメでしたか、いい加減諦めた方がいいのでは?」
「新庄 晶、彼が入学してからさまざまな方法でアプローチしてきたがどれも空回り、校長が無理やり入学させた理由もよく分かる」
「やはりスキルか……もう認めざる得ないな、時間も経ちすぎた……前ほどの気持ちは残っていない」
各々が意見する中、一人納得のいかない人物がいた。
机を強く叩きつけ歯軋りをする。
「まだだ……私は忘れちゃいない、この24区を取られた怨み……それに私は全てを失った!皆も同じ気持ちで集まった人達だ!計画は進めるべきです!」
その激しい叫びに対してため息を吐く。
「24区崩壊計画か……もうそれを望む人間も減って来ている」
なんと情けない奴らだろうか。
このぬるま湯に浸かっていくうちに居心地が良くなっているではないか。
男は己の信念を曲げないと誓っていた。
「俺は絶対に許さんぞ……この計画は文化祭の日に必ず実行する!その為にここまで来たんだ!」
その声と共にモニターの画面がプツっと消える。
ーーーー
小鳥遊が家に来てから数ヶ月近くが経った。
あれから色々大変だったしまさかの家まで引っ越すことになるとは。
その後も色々あってかなり揉めたけど。
まぁなんとかモブキャラ生活を送ってます。
とは自信もって言えなくなってきた。
けど今のところ大きな物語にも関わってないしちょっと顔のいい女の子たちと一緒に暮らしてるだけ。
うんうん。
俺はやれやれ系主人公が嫌いだからね。
何故かやたら顔のいい女の子が向こうからやってきて困ってる、なんて台詞を吐くものなら藁人形に釘刺すレベルだね。
けどどうしよう。
まさに今その状況になりつつあるんだけど。
本当に望んでもいないのに……誰かが仕組んだんじゃないかってレベルで向こうから寄ってくる。
切り離そうとすると空回って寧ろ距離が近くなってるし。
本当にどうすればいいんだろ。
はぁ……。
いつもと変わらない日々。
順位は少しずつ上がってきて今は400位まできた。
これで少しは家計の手伝いもできるかなと思ったが小鳥遊も俺と同様に380位と半分より下。
頼りの柚木は当の本人がややポイント使い荒いから山口様が上手く調整してくれている。
なんて出来た人なんだろうね。
ちなみに小鳥遊も浪費が激しい。
この間もマニキュアがどうとか言ってたし。
やたら高いシャンプー買いたがるし。
それは三人ともか。
あの二人をなんとか追い出そうとしたがダメだった。
なんだかんだであの三人は仲良くやってるみたいだし。
けど小鳥遊はちょっとなぁ……。
家にいると五月蝿いし。
すぐ文句言ってくるし。
勘弁してほしいね。
俺はお気に入りの椅子に腰をかけ座っている。
やっぱこの椅子最高だね。
この椅子のお陰で学校に行くのもそんなに苦痛に感じないし。
適当に授業受けてるフリしてくつろぐだけだからね。
教師の操作で動くモニターをただボーッと眺めていた。
明日の文化祭について説明事項の確認をしている。
気がつけばもう文化祭の季節。
もう半袖短パン着て汗も噴き出るって季節ではなくなってきた。
夜になれば肌寒くなるし多少は厚着もする。
そういえば……。
文化祭と言えばあの小鳥遊との事件があった日。
大谷がなんか言っていたような。
まぁ俺には関係ないけど。
……何やら悪寒が。
よく分からんが俺の知らないところで何かものすごい計画が立てられている気がする。
何やらゼーロのシナリオ通り的な感じのやつ。
だがそんなもの無視だ。
絶対に関わらない。
キーンコーンカーンコーン……。
ん?
普段授業中に聞くことのない音がした。
授業中に校内放送をかけることなんて今までなかったけど。
「え?なに?」
「今授業中だろ?一応」
よほどの緊急なのかな?
周りの人達もザワザワしていた。
あぁ……嫌だなぁ。
いつもいつも俺の望まない展開に進んでいく。
これ絶対誰かが仕組んでるよね?
今回も上手い具合にモブキャラとして過ごせるよう頑張ろ。
「全生徒諸君!この学校は今より完璧なるランクで全てが決まる完全実力主義となった!ランクの高いものは自分より下のものへどんな命令を下しても構わない!それが新しいルールだ!」
校内放送が切れると周囲がざわつく。
え?なにそれ?
それは唐突に俺の日常を終わらせた。




