11月
「高校生活最後の冬休みがもうすぐだよ」
「正常に進んでいれば、先輩は去年で高校生活は最後だったんですよ」
「悪魔の呪文だ。聞こえない、聞こえなーい」
「先輩が留年しなければ、私だって望む大学に入れなかったので、少しは感謝しているんですよ」
「うっわ、急にデレられると動揺して後輩ちゃんを舐めたい衝動に刈られる」
「今すぐご自由に死んでください」
「わーいわーい、うぇーいうぇーい。後輩ちゃんが酷い事を言うよー」
「ウザいです、抱きつかないでください」
「未来の旦那になんて言い草だ。泣いちゃうぞ」
「誰が先輩を夫にするもんですか。私だって選ぶ権利くらいあるんですよ。人権侵害で訴えてやりましょうか?」
「酷い!!その気にさせるだけさせて、飽きたらポイなの!?アレだけ僕を利用したっていうのに……それはないわ!!」
「フィクションは止めましょう。大体、利用しているのは先輩の方でしょう。会話同好会、という形で」
「…………何も言えねぇ」
「そもそも、どうして私を誘ったんですか。どうして部活を作ったんですか」
「えーえー、今日の後輩ちゃんはグイグイ攻めてくるー。僕は受け子ちゃんじゃなくて、がっぷり攻めなんだよー」
「意味が分かりません。はぐらかさないでください」
「うーあー、まー。しいて言うなら、後輩ちゃんが好きだから、しかないよね」
「……はぁ?」
「なにその、疑い深い目。なんだかんだ、後輩ちゃんの事は大好きだからね!?」
「初対面の相手を好きになって即行、部活に誘うってイカれた神経をお持ちの様で、羨ましい限りです」
「誤解してない?」
「先輩の言葉をそのまま理解したつもりですけど」
「言っとくけど、部活に誘ったのが初対面じゃないからね?あー、もしかして、覚えてない?」
「基本的に薄っぺらい関係しか築いていませんからね」
「うそん。僕史上これまでにない運命的な出会いだったのになー。心臓がひゅんって抜き取られたのかと思ったのになー」
「そんな怖いことしませんよ」
「まさかキルアじゃあるまいし、物理的には取られていないけど、そう錯覚する位僕の記憶には残っているんだよ。残念だなあ」
「運命的な出会いなら、私も知ってて当然なんですけどね」
「廊下ですれ違うなんて運命的な出会いをまさか、後輩ちゃんが忘れちゃうなんてなあ……」
「えっと、それだけですか?」
「へ?」
「運命的な出会いって、“ただすれ違った”だけですか?」
「うん、そうだけど?そこから、どんどん後輩ちゃんを知って今にいたる感じで」
「私の立場では一方的に知られたんですよ。常日頃気持ち悪いと思っていましたが、改めて気持ち悪いですね」
「褒められても」
「褒めてません」
「ううー、じゃあ。今度は、僕の日記を持ってくるよ。見てくれたら理解してくれる筈だ」
「分かりませんけど……では、定時なので」
「まったねー!」




