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ステージ7

ステージ7


 人間なんて奴は、生まれながらにして不平等だ。神様がいるとすれば、とんでもなく不公平に物事を決めているに違いない。

 自分のお気に入りの奴らには幸福を、そうでない奴には不幸を、どうでも好い奴らは適当な運命を与えているに違いない。


 親の体質に似てか、元から太り気味の体質になりがちだった。だから、運動をすることも苦手になる。子供の頃の判断基準は運動が出来ることが一番大事だと思う。


 もう少し歳を重ねると、学校の成績が良い奴もチヤホヤされ始める。だけど、運動が出来ていない俺は、始めの段階で学校生活と言うものを落第している。


 担任から強制されて初めてクラスで参加した地域のマラソン大会では見事にドンケツだった。周りは温かい拍手を律儀に送ってくれるが、それはあくまで憐みのある儀礼的なものだ。


 周りからは『ブタ』、『デブ』、『メタボ』とからかわれ、後ろから蹴りが飛び、持ち物を投げ捨てられる。大人達は何も言わない。今どきは時余計なことを言えば、大人が口を出すなと、苛めをしている親から責め立てられるからだ。理不尽な事この上ない。


 事なかれ主義である、俺の両親は周りから苛めを受けている事実をなんとなくわかっていながらも何もしてはくれない。黙って、素通りをするだけだ。


 自分の身は自分で守るしかない。そう思った時、学校と言う名の社会の縮図の中から俺は逃げだした。そうしなければ、そのうちに自殺でもしていたかも知れない。


 何もしない親の顔も見たくはなかった。あいつらが俺を産んで育てるのは当然のことだ。日がな一日、好きな物を食って、飲んで、ゲームやネットをして過ごした。ゲームの中でなら俺の方が強い。誰にも負けない。だから、弱い奴を苛めてやった。


 時々、外の世界を覗いて見たい誘惑に負けることもある。皆が寝静まった時間こっそりと家から抜け出して、コンビニ限定のおやつを買いに行くのはちょっとした楽しみだ。


 そんな時に、奴らに出会ってしまった。コンビニの外でたむろしているガラの悪い連中、俺が一番苦手としているモラルもない、家族もろとも頭がいかれているであろう人種。亀頭、華園、慧瓶。


「おい、デブ、勝手にここを通るなよ」


 目を合さずに通り抜けようとしたときに、いかにもガラの悪いチンピラ風の亀頭にそう声を掛けられた。業務妨害も甚だしいだろう。店員もさっさと警察を呼べばいいのに。


 まあ、そんな事をして、後から百倍のクレームがこいつらの家族から付きつけられるだろうから、出来ないのも納得がいく。

 

 黙って、帰ろうとした。この手の連中と関わるのは得策ではない。


 しかし、ここで困った事実が発覚してしまった。俺も、覚えていなかった事実。


「あれ、あれ、あれ、お前、ドンケツデブチンの栗田君じゃね?」


 ふと、慧瓶の顔を見て、しまったと思った。小学生の頃、若い女教師から可愛い同級生の女子まで、好みが合えば誰彼かまわずヤッテいると、嘯いていたイケメンのクソ野郎だ。


 俺が引き籠ることになる渾名を付けて、散々からかって笑いものにしてくれた奴。隣のギャル系のケバイ美女は誰だか知らないが、きっと慧瓶の物なのだろう。


「なんだ、慧瓶の知り合いか」


「いや、いや、いや、一時同じクラスに居ただけで知り合いにもならないっすよ。まともに話をしたこともないし」


「どうせ、散々からかって虐めてたんでしょう。悪いんだあ」


 華園が慧瓶の脇を指で突いてからかい始める。やだなあ、止してよと慧瓶が軽く受け流している。気に入らない。何でこんな奴らが、のさばっているんだ。


「丁度いい。デブ、中でチュウハイ買ってこい。三本適当にな」


 立ち上がった亀頭を見てギョットした。上背が高い、筋骨隆々で腕も脚も、首も全てが太い。胸厚もある。いかにも強そうだ。


 チュウハイを買って渡す。二十歳以上であることを聞くスイッチを適当に押す。店員は黙って見ているだけだ。咎めはしない。買ったチュウハイの味に文句を言われ、都合三回、店を行ったり来たりした。金はもちろん貰えなかった。


 その時に家の場所と連絡先を押えられて、逃げることが出来なくなった。使い走りとして、時々こき使われる。慧瓶とつるんでいる連中が家に押しかけ、部屋で変な薬を始めることもあった。


 後で知ったことだが、全員の親が著名な連中であるらしく、父親からは粗相が無いように小さい声で注意を受けた。

 

 ある時、コンビニの女性店員に笑いかけられドキッとした。俺に気があるのかも知れない。そう思うと居てもたってもいられなくなった。


「あれ、あれ、あれ、クリデブチンはあの子が好みかな?」


 一緒にいた慧瓶に目ざとく見抜かれる。何も答えない。何か言えと頭を叩かれても我慢をする。


「あの子、なかなかいい具合だったよ。だけど、もういらねえ」


 一週間後、慧瓶はニヤニヤと笑いながら自慢げに、俺にそう告げてきた。茫然とした。結局女なんて、男の顔が一番大事なのだ。そう思うと、メラメラと心の中で粘着質な感情が沸き上がった。


 

 慧瓶の奴はご丁寧にその時の様子を、携帯端末のカメラで撮影までしていた。自慢げにそれを見せつけてきた。クラッキングの技術を身に付けて、奴の端末の中を覗きこんだ。


 中には奴の無数のコレクションがしまい込んであった。それを全てPCハードにコピペして、その夜は溜まった鬱憤をマスをかいて解消した。ただ、あの女に対する粘着質な感情だけは収まらない。


 あの女の露わな写真を実名付きでネットに流し、周辺近所にビラをまいてやった。幾日もしないで、コンビニから姿を消した。慧瓶の奴は気にする素振りも見せずに華園と楽しそうに喋っている。


 家に一度だけ警察が来た。女の顔写真を見せられ、心当たりがないかと言われドキリとしたが、知らぬ存ぜぬでその場をやり過ごした。


 その旨を慧瓶に告げる。『写真が流失したのかも知れない』と適当なことをでっち上げて教えてやると、顔を蒼くしてどこかに電話をしていた。


 それ以降警察からの介入はなくなった。慧瓶の親が裏から手を回したみたいだ。これで一安心だ。久しぶりに、うまいバーガーをたらふく食いたくなった。




「別の島が存在すると思う。この島をクリアするのは無理だ」


 栗田は玉雄に向けてそう告げる。砂浜から先の大地は冷えて固まった溶岩で覆われている。その大地でさえ、かなりの熱を発しているのが近付いただけで判る。試しに海水を浴びせてやれば、掛かった海水は瞬時に蒸発してしまう。とても歩ける状態ではない。


「だ、だけど、どう見渡しても辺りにここ以外の島は見当たりません。他の島を見つけることこそ、不可能だと思います」


 玉雄は必死に説得をする。しかし、ゲーム年長者を自負する栗田はその意見に耳を傾けることはない。


「キミねえ、クリア出来ないステージはないと言っているのは、ここに引きずり込んだ奴なんだよ。本当の事を言っているとは限らないだろう。結局、奴はゲームをクリアされては困るから、クリア不可能なステージを用意している。そんなとこだ」


「し、しかし……」


「まあ、いいさ。キミの好きにすればいい。俺はここ以外を探す」


 そう言って栗田と玉雄は別行動を取ることになる。百姫は、見た目と性格に難はあるものの、玉雄よりも、まだマシと思える栗田の後ろを付いて行く。ゲームが始まって以来、初の完全単独行動の事態に玉雄は陥ってしまったのである。




「困ったなあ、本当にどうしようもない」


 何べんも海水をヤシの実の殻に汲んで浴びせてみるが、まさに焼け石に水の状態になる。何の変化もみられないことに玉雄は落胆を隠せずにいる。


「二人共、どこまで探すつもりだろう。やっぱり、ここはクリア不可能ステージなのかなあ」


 思わず愚痴と独り言が漏れる。前のステージのボス戦では何一つ得るものがなかった。


(もしかすると、フーフェアリを倒す必要があったのかも知れない。)


 普段は背景キャラの一画であるフーフェアリはオクトパンと同じように倒せない相手だと判断したのは間違っていたのかも知れなかったと玉雄は考える。


 もう一度、海底ステージに戻る必要があるのかなと思い、海底へと進むが、一定のエリア範囲を超えると、強制ロストの警告メッセージが現れ、慌てて引き返す。今まで試してこなかったが、前のステージに戻ることは出来ないことが判明する。


 若干くたびれた玉雄は砂浜に座り込む。だが、直ぐに飽きて立ち上がり、から元気を出すためにまた、一人声を出す。


「気晴らしに散歩でもしてみよう。折角、一人になれたのだから」


 ゲームが始まって以来、周囲には必ず人がいた。ゲーム中に排泄感覚だけは訪れない。実はヤイコが、人の汚物の処理まで請け負いたくはないと設定をしなかったためである。玉雄にとって、その事だけは有り難かった。

 それでも、常にだれかと居ると言うことは気分的に疲労を要する。気心を知れた家族であれば別だが、全員アカの他人だ。余計に緊張を強いられる。

 玉雄はブラブラと砂浜を、栗田達が歩き始めた方向とは逆に進む。出来れば偶然を装て、鉢合わせを出来れば良いかななんて思ったりもしている。反論をした手前なんとなく、バツが悪いのだ。


 砂浜にはヤシの木や岩が所々に見える位で後は、噴煙を上げている島の火山と黒い大地以外は何も見えない。目を逆に向ければ広大な青い海が見える。


(こうしてみると、人が創り上げた電脳世界にはとても思えない)


 まるで神のような業だと感嘆をせずにはいられない思いだ。しばしの間、海の波の動きに見とれていた玉雄は、又、島の方に目を向ける。


 岩と黒い溶岩塊の間に、赤黒い蟹の姿があった。以前にみた蟹よりかは若干小さいがそれでも玉雄よりも大きい。ハサミを降し、こちらをじっと見ている。


 その姿を見て一瞬固まってしまう。次の瞬間、叫び声を上げそうになるが、相手は威嚇の姿勢を現してはいない。下手に刺激を与えるのは得策ではないと思い、叫びたいのを我慢して声を無理矢理飲みこむ。

 玉雄は蟹の動きをじっと見る。蟹も玉雄をじっと見ている。双方ともにピクリとも動かない。玉雄は首を思わず傾げる。今までの敵キャラであれば積極的に襲ってくるはずだ。もしかすると、敵キャラではないのかも知れないと考え始める。


「お前、敵キャラじゃあ、ないのかな?」


 蟹は微動だにしない。人の言葉が判るはずがないのだから当然である。とにかく襲ってこないことには変わりはないので一安心をする。

 だが、これ以上先に進むには蟹の脇を通らなければならない。通ろうとした瞬間に襲い掛かられるかもしれない。流石に何が起こるか判らないから、一人で相対するリスクは避けたい。


「はあ、結局どん詰まりかあ。困ったなあ」


 玉雄はその場にへたり込む。襲われない安心感から、緊張が若干ほどけたためだ。そして、空腹であることに気付く。朝一番で、食事を摂る前に、栗田が島の状態を調べ始めたため、食事を摂りそこなっていたからだ。


「何か食べよう」


 誰もいないが思わず口に出る言葉に、若干おかしくは思うが、少しだけ気が晴れる。そこらに転がっているヤシの実を一つ拾い、葉っぱを集めて穴を掘り、焚火を始める。


(そう言えば色々な肉が余っていたっけ。食べちゃおうか)


 海水に浸して浸ければ塩味が多少はするかも知れない。塩気のある肉の味を思い出して思わず生唾を飲みこみ、いそいそ準備を始める。

 現実世界では料理なんてしたことはない。時間になれば、母が手料理を振るまってくれる。そのありがたみをしみじみと感じる。


(たまに、美味しくないなんて言っちゃうけど、謝ろう……)


 不意に、家族の顔が浮かび上がり、心の中に寂しさが訪れる。早く、家に帰りたい。その為には無事にゲームをクリアしなくてはいけない。他の皆もそう思っているはずだ。

 こみ上げてくる涙を袖で拭い、海水に浸けた肉をヤシの葉で包み焚火の中に放り込む。以前にテレビで見た、海外の島で暮らす人が海辺で作る蒸し焼きを真似てみたのだ。

 ついでにリンゴも出して短剣で六つに切り分ける。寂しさを食事で紛らわすために多少の贅沢をしたくなった。

 焚火の火が収まるのを待ち、残り火で服が燃えないように慎重に肉を取りだす。包んだ表面の葉は見事に丸焦げだが、その葉を外すと肉が綺麗に蒸し焼きになっている。想像以上に上手くいき、嬉しい気分になる。


「美味しそうにできた! って、うわあ!」


 料理に集中して、出来上がったことに浮かれていた玉雄の背後にいつの間にか先ほどの蟹が近寄って来ていた。思わず、声が上がってしまう。マズイと思ったが、それでも蟹がこちらを襲う様子はない。


「な、なんだ、吃驚させるなよ」


 物言わぬ蟹に対して思わず文句を言ってしまう。そんな自分がおかしく感じるも、お腹が減って仕方がないので出来上がった肉の蒸し焼きを一つ口に放り込む。


「うん、きちんと塩味がして美味しい、って、うわあ」


 突然、蟹が両手のハサミをゆっくりと上げる。襲われると思ったが、直ぐにまた、ハサミを降ろす。

 それを見て、どきどきとしながらも別の肉を再び自分の口に入れると、又もやハサミを上げる。もしやと思い、口に入れた肉を咀嚼してから飲みこみ、もう一度口に入れると、蟹はハサミを上げ始める。


「なんだ、お前、肉が食べたいのか。じゃあ、食べなよ」


 蟹の行動が微笑ましく見え、ヤシの葉に乗せた肉を蟹に差しだす。蟹は肉片を、ハサミではなく小さい歩脚で器用につまみ、口の方へと持っていく。結構な量があった肉は見る間になくなる。


「全部、お食べ。僕はリンゴを食べるから」


 三切れしか口に出来なかった、塩味の付いた肉だが十分満足したと玉雄は思っている。リンゴも十分に美味しい。ヤシのジュースで喉も潤う。


 十分に食事を摂り、食休みをする。久しぶりに満足するような食事をしたと思う。だが、食料の心許が少なくなってきた。

 第五ステージで得たカニ肉は食べきってしまっている。残っていた肉も食べきってしまった。残りは僅かなリンゴとサボテンの果肉だけだ。


「まあ、なんとかなるよね。じゃあ、またね。僕は行くから」


 物言わぬ蟹にそう告げると玉雄は後ろを向いて、今まで来ていた方向とは逆に進む。元来た場所へと戻るためだ。もしかすれば栗田達が先に戻ってきているかもしれないと期待をしている。


 そんな玉雄の後ろで蟹はゆっくりと大きなハサミを上げる。油断をしている玉雄は気付いていない。

 

 ハサミは玉雄の首元にゆっくりと近づく。掴み取れば、か細い玉雄の首は容易く千切れてしまうであろう。

 

 玉雄は気付かない。蟹のハサミは徐々に首筋へと向かって行く。そして――




(このガキはなんで俺の後を付いてくるのだろう)


 砂浜を歩き、別ステージの可能性を探し続ける栗田の後ろを付かず離れずに歩いている百姫について、少しだけ思案をする。

 足助の家族は誰もゲームの中で役に立っていない。足助はワアワアと後方で騒ぎ立てるだけで煩わしく、百姫と萬姫はその後ろで戦いを静観しているだけだった。


(あくまで寄生をして、クリアを試みるか。甘いガキだな)


 首を少し後ろに向け、チラリと百姫の顔を見る。やや背の低いガキだが、ジュニアアイドル級の顔をしている。

 華園や萬姫のような女の色気を感じることはないが、少女らしい可愛らしさが感じられる。


 栗田の心に、粘着質な感情が生まれる。


(寄生を狙ってクリアするなんて都合のいいことをさせるかよ)


 そんな事を考え始めた栗田の目に、蔦と岩間に隠れた洞穴の入口らしき場所が見える。


「……あれが、答えかもしれないな」


 ステージを攻略するための道筋かも知れない。玉雄と別れた後に、前のステージへと戻ろうとしたが見事に失敗をした。

 てっきり、海中に戻れば良いのだと思っていたが、当てが外れてしまい、してやられたと思った。

 後戻りができない仕組みでは完全にクリアは不可能になったと考えられるからだ。ああ言った手前、攻略の糸口を先に見つけ出す必要があると思い、仕方なく海岸線の砂浜を探索し始めた。

 そして、都合よく、隠されたような洞穴の入口を見つける。ある程度カモフラージュはされているようだが、ゲーム慣れした栗田にとって、それは隠蔽をしているレベルにはなりえない。

 蔦を払いのけ、洞穴へと入って行く。中は暗い。栗田達は松明を持っていないので暗闇の中を進まざるを得なくなる。


(玉雄と合流をした方が良いか。それも癪に障るな)


 もう一人のガキを頼りにするのは、みじめな感じがする。どうせなら、PKで相手の持ち物を奪い盗りたい所だ。ガサリと後ろで音がする。百姫も洞穴の中に入って来たのだろう。

 今いるところはまだ、洞穴の入口から外の光が差し込み、完全な暗闇になっているわけではない。これ以上進むと、周囲がまるで見えなくなる恐れもある。

 栗田はあえて先に歩を進める。闇の中、手探りで岩の位置を調べ、大き目な岩の後ろに姿を隠す。

 その場でそっと足を踏み音を均す。百姫が栗田の後を追うように洞穴の中へと歩を進める。怖々と、ゆっくりと歩みを続ける。栗田の脇を通り抜けようとしても、その存在に気付いてはいない。

 栗田が、百姫の顔にそっと手を回す。だが、その手が、百姫の髪に先に触れてしまい、咄嗟に躱されてしまう。


「な、何をしているのよ、この、キモデブ!」


「寄生してタダでクリアをするなんて甘いんだよ、ガキが!」


 ばれては仕方がないと、百姫との距離を縮め襲い掛かろうとするが、巧みに躱されてしまう。

 現実世界と違い、身体能力の差はないはずであるから、百姫はその手の動きになれている可能性がある。

 百姫は容姿の良さから痴漢にも狙われやすく、自らの身の安全を守るためにある程度の護身術を身に付けている。相手に危害を加えるのではなく、あくまで避けて逃げることを第一目的としている。


「こ、こん、ちょ、こ、ま、か、と、逃げ、ブブブ!」


 しかし、百姫は躱しざまに体勢をよろめかせた栗田の股の間に痛烈な蹴りをお見舞いする。金的をもろに蹴られた栗田はその痛みに跪き動けなくなってしまう。


「アンタみたいなキモデブに触られるわけにはいかないのよ!」


 そう捨て台詞を残して、百姫は、栗田をその場に残して洞穴から逃げだしてしまう。金玉が上がった栗田は痛みに暫く耐えながらも、百姫に対して、尚更、粘着的な感情を持ち始める。


「ガガ、ガキの癖に、俺に気がある癖に、こ、こんなことをしやがって! やってやる、やってやる、絶対にやってやる……」


 よろよろと立上り、百姫の後を追いかけようとした瞬間に地響きが鳴り、地面が揺れる。何事かと思っていると、洞穴の入口付近から赤々とした溶岩が湧き始める。


「に、逃げられねえ!」


 溶岩はこちらに向かってゆっくりと流れ始める。他の窪みからも溶岩はゆっくりと湧き始めている。にわかに、その光で洞穴が明るくなっていく。


「地下洞穴マグマステージを再現しているのかよ」


 溶岩の熱で熱くなってきた洞穴を奥へと進む。顔、身体が汗ばみ、服が濡れて重くなっていく。仕方なく、前へと進んでいく。そんな栗田の目の前に突然、フーフェアリが姿を現す。溶岩の溜まりから飛び出してきたのだ。


「う、うわあ、あ、危ねえ! この、クソゲーが難易度考えろ!」


 狭い洞穴で撃ちだされたフーフェアリの火の弾をかろうじて躱す。足元を誤れば、溶岩溜りに足を突っ込むことになりかねない。

 そうすれば確実にライフポイントは減り、火傷の後遺症も残ることになる。顔を焼かれて、目を潰された足助の姿が目に浮かんでくる。


(ま、まてよ、あのアイテム、水鉄砲、そうか、そう言うことか!)


 アイテムボックスの中から水鉄砲を取り出し、再び現れたフーフェアリに向けて水を発射する。水を掛けられたフーフェアリは消失してしまう。


「ハハハ、ここだ、ここを通り抜ければステージクリアだ!」


 自分の行動に間違いがなかったことに狂喜する。百姫を逃したことは失敗だったが、もはやどうでも良くなってきた。


 一人でこのステージをクリアする。ガキ共は、このステージでロストすることになるだろう。


 水鉄砲を構え乍ら、慎重に洞穴の中を歩んでいく。時折、フーフェアリが姿を現すが、淡々と水を掛け消失させていく。確実にクリアできる。栗田はそう思い始める。


「それにしても、暑さが尋常じゃあなくなってきたなあ」


 洞穴の先へと進むにつれて、汗の出る量が増えてきている。途中で何度か、サボテンの果実をやリンゴを口にしている。フーフェアリから得られるものはなにもない。唯一の救いは、水鉄砲の水が切れないことだ。


「フフフ、こいつはチートアイテムだぜ」


 水鉄砲の水を自らの頭にも掛け、少しでも涼を取る。そして、狭い洞穴の通路が急に開ける。そこは、轟々と炎が舞う、洞穴の中の極炎地帯。溶鉱炉のように赤く光る洞穴の広間の様子を見て栗田は茫然とする。


 そして、無数のフーフェアリが一斉に姿を現し、栗田に向けて火の弾を撃ちだす。


「へ、嘘だろ」


 とても避けきれるような状態では無いため、咄嗟に岩場に身を隠すが、被弾をしてしまう。ライフが一つ飛び散り、被弾した腕に熱い痛みが伴う。


「うう、痛い、痛いよう。俺が何をしたって言うんだ」


 べそをかき、岩場に隠れる栗田に向けて、フーフェアリは容赦なく火の弾を撃ち続ける。時折、水鉄砲で反撃をするが、相手の数が多すぎてどうにもならない。


「こんな、弾幕ゲーを避け切れるわけないだろう! クソゲーだ!」


 諦めずに反撃をするが、愚痴は止まらない。べそも止まらない。そして気付くと、一体のフーフェアリが岩の後ろに飛び込んできているのを見てギョットする。いつの間にか近くに溶岩溜りが出来上がっている。

 不意打ちのように火の弾を背中に浴び、衣服もろとも焼かれて、叫び声も出ないままに、岩の間から転げ出す。


「アチ、アチ、痛い、痛い!」


 ゴロゴロと火が付いた背中をゴツゴツとした岩の地面にこすりつけ火を消す。顔を上げれば、無数のフーフェアリが溶岩の泉の中から飛び出している。

 こちらをせせら笑うように。馬鹿にするように。引きこもりの前に味わった、みじめな思いが、にわかに思い起こされる。


「た、助けて、か、か、神様……」


 しかし、不公平な神は決して栗田を助けることはしない。そもそも、電脳世界にそのような存在はいない。いるのは狂った電脳人たるヤイコだけだ。

 

『プレイヤー クリタ ロスト!』


 フーフェアリの火の弾を無数に浴び、消し炭となって栗田は消える。地獄のウラステージで報いを受けることになる。




(あの、キモデブ、やっぱり変質者だった)


 危ない奴かも知れないと思ってはいたが、頼りなさげな玉雄よりも、まだましかもしれないと思って後を付いて行ったが、誤った考えであったと悔やまれる。


(だけど、どうしよう。何も分からないのに)


 自分の身を栗田から守れたことは良かったが、逃げだした後に起こった地震の影響で洞穴の入口から溶岩が湧き出て、入れなくなってしまった。百姫自身、ここがステージクリアの道筋だと思っていたほどだ。

 仕方がなく、何の当てもなく元来た場所に戻ることにする。しかし、そこには玉雄が驚きの状態で待機をしていた。


「ああ、戻ってきてくれた。あれ、栗田さんは?」


「あの人は、一人で進んでしまった。と、ところでそれはなに?」


 百姫が指を指したのは玉雄ではなく、玉雄が背に乗る生き物。巨大な蟹の姿。


「食べ物を上げたら、背に乗せてくれたんです。この蟹は、あの熱い地面の上も歩けるから、これで進みましょう」


 背に乗せた段階で玉雄は、一つのスキルを取得している。『ペット騎乗:蟹』だ。


 蟹に調理した食べ物を与えた者が取得可能となるスキルだが、好き好んで蟹に騎乗しようとする者は少ない、いわゆるネタスキルに値する。


 蟹の背は狭いながらもまだ人が乗れるスペースはある。もし、栗田がいたとしても、密集すればどうにかなった可能性は高い。

 百姫は栗田と密着する状況を考えて、身震いをする。いなくて良かったと心の底から思い始める。


「わ、判ったけど、襲われることはないの」


「大丈夫です。多分」


 玉雄の当てにならない答えにビクビクとしながらも、怖々と蟹の背に乗る。蟹は微動だにすることはなく、百姫はホッと胸をなでおろす。


「栗田さんを待った方が良いでしょうか」


「あの人は、別ルートで行ったから。もう、戻れないし」


 洞穴の件を玉雄に簡単に説明をすると、ちょっと心配そうな顔をしてから、気持ちを改める。ゲーム慣れしている栗田はきっと無事に別ルートを踏破するだろう。玉雄はそう願う。


「さあ、進もう。お願いするよ」


 蟹に言葉を掛けると、ゆっくりと確実に歩みを始める。多少の上下はするものの我慢できない程ではない。ただ、硬い甲羅の上を座るのでお尻が痛くなって来る。


 噴煙を上げる山頂をめざし、蟹は歩みを続ける。地面の発する熱をものともしない。上に乗る、玉雄達の方が、暑さに参りそうになる。残った僅かなサボテンの果肉を口にして水分補給の代わりにする。

 先ほどの地震で、噴火をしたわけではない。玉雄がいた付近では溶岩が湧き出ることもなかった。揺れはしたが、地震になれている日本人にとっては大したことでは無い。




 何事もなく、山頂付近に辿りつく。ゴツゴツとした岩が、僅かな範囲の平たい地面に点在している。それ以外には何もない。なにもいない。


「こ、ここでもないのかなあ」


 その様子をみた玉雄はガッカリとする。山頂付近にステージクリアのヒントがあるかも知れないと思っていた玉雄は当てが外れたことに落胆を隠せない。

 やはり、栗田が進んだと言う別ルートがクリアの道筋なのかも知れないと思い始める。百姫は白けた目で玉雄を見つめる。

 にわかに、頭上に影が発生する。蟹が両腕を掲げ、何かに対して威嚇を始める。その様子に気付いた玉雄は直ぐに上空を見て、凄まじい勢いで落下してくる何かに気付く。

 ドスンと地響きをたて、大きく、四角い石が落ちてきた。明らかに人工物を思わせるそれは、ゆっくりと玉雄達の方向に回転を始める。

 にょきりと短い手が生え、脚が重たそうな石の身体を持ちあげる。石の中心には厳めしい顔をした小さい髭面の怖い顔が付いている。その顔がぎろりとこちらを睨む。滑稽な姿だが、その怖い顔に睨まれ玉雄も百姫も小さく悲鳴をあげてしまう。


「く、『空中城塞の門番』こいつがいるってことは、ゲームクリアの一歩手前ってことかな」


 ヤイコシリーズのゲームで有名な最終ステージ『空中城塞』その前のステージで必ず門番役を務めるボスキャラがこの不格好な石像だ。

 緩急差のある動きが読みにくく、やたらと硬い大きい身体で数々のプレイヤーを苦しめたボスキャラだ。砂漠のラクダマンに次いで嫌われているキャラの一つだ。


(で、でも、あんなに怖い顔をしていなかったかな……)


 デフォルメされている体つきはマヌケの一言に尽きるが、中央にある顔つきだけはやたらとリアルに怖い。街中でみれば、誰もが逃げ出しそうだ。

 そんな事を考えているうちに、石像の身体が少し傾く。一瞬にして玉雄達との距離が詰まってしまう。マズイ、その動きの速さを見て玉雄は瞬時に思う。地に足を付けて戦えないこちらは圧倒的に不利だ。

 そう思ったが、事実は異なった。玉雄達を背に乗せる蟹がハサミを前に出して石像の動きを止める。予想以上の力の強さを見せる。

 その様子を見た玉雄は慌てて、工具を石像に投げつける。蟹が押さえつけている間に、なるべく多くダメージを与えたいため、一心不乱に腕を上げ、破壊力の高いマイナスドライバーを投げつける。


「ゴ、ゴオ」


 工具投げを喰らい続けた石像はにわかに蟹と玉雄から距離を取る。巨体に向けて工具を投げつけるが、予想以上の軽やかな動きで躱されてしまう。


「は、早くやっつけて!」


 後ろで頭を抱え、前を見ようともせずに座り込んだままの百姫が玉雄に要求する。しかし、ここで焦れば余計なダメージを受ける可能性がある。百姫の声には耳を傾けないようにして、前の石像に集中をする。

 蟹に指示を出して、なるべく広い場所へと移動をしていく。端に寄り過ぎると石像の力で押し切られて山頂から転がり落ちると思われたからだ。


「ゴオオオオオ!」


 石像は相撲の仕切りのように身体を傾けて、再び玉雄達との距離を詰めてくる。先ほどよりも、勢いが強い。蟹がハサミを掲げ、石像の動きを止めるも、結構な距離を押し出されてしまう。

 

 玉雄はがむしゃらに工具を投げるため、疲労が腕に溜りがつらくも腕を振るい続ける。。

 

 百姫は後ろで喚いて叫び、助けるそぶりも見せない。




 幾度かの衝突を繰り返した直後に、蟹に異変が訪れた。片方のハサミが折れてしまったのだ。石像の動きが止まらない。


 石像がぐるりと横に回転すると、蟹の背に乗る玉雄達に向けて短い手で殴りつけてくる。


 一瞬の出来事だが、玉雄は拳の直撃を喰らう。蟹の狭い背の上で、一緒にいる百姫を庇うために避けきることが出来なかったのだ。玉雄の頭上にハートが表れ、一つ砕け散る。


 身体ごと吹っ飛ぶが、蟹が見事な横動きで玉雄が地面に落ちるのを防いでくれる。


「ゴゴゴゴオオオオオ!」


 石像が、更に攻撃を加えようとするが、突然転んでしまう。朦朧とする意識の中で何が起こったのか良く分からないがチャンスが訪れた。


 玉雄は一か八か、フラフラとする身体を何とか押さえつけて石像の上に飛び乗る。


「ウワアアアアアアア!」


 石像のに負けないくらいの大きな叫び声で、近距離から工具を連投する。工具は投げた傍から着弾するため、ひたすらに連投する。腕が千切れるのではないかと思うくらいに投げ続ける。

 石像がジタバタとするたびに落ちそうになるが、グッと踏みとどまる。蟹が、残ったハサミで石像の脚を掴んでいる。石像の動きに引っ張られいつ千切れてもおかしくはない。ハサミを二つとも失えば、蟹は生きていく術をなくすだろう。

 その気持ちに答える様に、玉雄は工具を投げ続ける。もう無我夢中で何がどうなっているのか良く分からない。突然、今まで背中だった場所に、あの厳めしい、おっかない顔が浮かび上がる。

 ギョットする。何か、最後のあがきをするのかも知れない。そう思った瞬間に石像から飛び退き蟹の背に戻ってしまった。蟹も足を掴むのを止める。石像がムクリと起き上がる。顔は元の位置に戻っている。こちらを睨む。

 

 そして、怖い顔を歪める様にニカリと玉雄へ向けて笑みらしきものを向ける。


『大した小僧だ』


 そんな声が聞こえた気がした。石像の身体に亀甲上にヒビが入り始め、バラバラに砕けてしまう。中から大量の水が溢れだし、熱した地面に触れ、もうもうと上がる水蒸気へと変化をしていく。

 水蒸気は、空へと昇って行く。にわかに雲が湧き始め、大量の雨が山頂へと降り注ぐ。ゴゴゴゴと凄まじい音が一瞬で起こり、そして、一瞬で止んでしまう。

 周囲の気温が、急に下がった。玉雄は肌でそう感じる。先ほどの豪雨が地面を冷やしたのだろう。しかし、ステージをクリアできる予兆は見られない。


「じ、地面に降りられる。全然、熱くないじゃない」


 蟹の背から、一足先に飛び降りている百姫が山頂へと向かおうとする。確かに、あの山頂が一番怪しい、玉雄もその後に続く。しかし、それを蟹が腕を上げて阻む。


「な、なによこいつ、結局、敵キャラってわけね、やっつけてやる!」


 自分の行き先を阻害されたことに腹を立てた百姫が、珍しく工具を投げつけるそぶりを見せる。蟹は片腕を上げるだけで、何もしようとはしない。


「ま、待ってよ、ち、違うよ、こいつは敵キャラじゃあない」


「じゃあ、なんで私の邪魔をするの! 敵よ、敵よ!」


「ち、違う、違うから……、な、なんだ、この、揺れは」


 玉雄達が立つ場所が震える様に小刻みに揺れ動く。玉雄は直感的にマズイと思う。


 玉雄が小学校に入学した時に訪れた、あの揺れにそっくりだ。

 

 過去の日本に幾度も訪れた、震災。関東、阪神、新潟、東日本。


 その度に、震災を克服し、ありとあらゆる手段を講じて防災に勤め続けた日本と言う国を、あざ笑うかのような大被害を及ぼした北関東大震災。


「天然自然の力に敵う術はない」


 時の首相が思わず零した敗北宣言に非難は湧くが、同意する声も上がる。一つの県から、全ての住人を避難させざるを得ない程の大きな被害を出した震災が起きた時の揺れとそっくりだ。


 地面が崩れるかのような大揺れが起きる、玉雄も百姫も立ってはいられない。あの時は離れた場所にいたため、大きい被害はあったものの、自分達の周りの社会は直ぐに復帰ができた。

 今起きている揺れは、震災を直撃した被災地に起きた揺れと同じようなものなのだろう。とても怖い。恐ろしい。声も出ない。


 グラグラと揺れながら地面が割れる。そして、大轟音と共に、玉雄と百姫が立つ地面が浮きあがり、宙に舞い上がる。


『ステージ7 クリア! ラストステージへようこそ!』


 舞い上がる、噴煙と石と共に、信じがたい言葉が浮かび上がる。ラストステージ、次で最後と知らせてきた。百姫は嬉しさの余り叫んでしまう。


「や、やったわ! つ、次で最後よ! が、頑張って!」


 玉雄に向けて激励の声を掛ける。だが、玉雄は這いつくばりながら浮かび上がた地盤の端に向かい、下の様子を見る。


 地盤のヒビ割れに飲みこまれながらも蟹が片腕を上げ振り続ける。

 

 玉雄との別れを惜しむかのように。

 玉雄が無事に脱出できたことを喜ぶように。

 玉雄が無事にゲームクリアできることを祈るように。

 

「ぼ、僕達を守ってくれたんだ。あ、ありがとおおお!」


 涙交じりに蟹に向けて、感謝の言葉を叫ぶ。もし、蟹を無視して山頂へと向かっていたら、地割れに飲みこまれロストをしていた。蟹は、それを直感し、玉雄達を威嚇し、進むのを妨げたのだ。


 玉雄の後ろで、百姫が白けた目を向けている。ゲームのキャラクターに何を感情移入しているのだろうと。馬鹿げたガキだと思う。自分と同い年の癖に、現実とゲームの区別もつかないのだろう。結局、あのキモデブと大した変りがない。


(早く、ゲームをクリアして元に戻りたい)


 百姫は切に願う。例え、玉雄が犠牲になっても自分一人が生き延びられれば、それでいいと思いながら、この狂った電脳世界から一時も早く、無事に脱出をしたいと。


 玉雄は直感を抱いている。ラストステージには必ず、ヤイコがいる。今回の出来事の元凶となる、神が創造したかのような電脳世界における唯一の電脳人。


 玉雄は確信をしている。この世界は、現実世界の人間では造りえない。あまりにも、出来過ぎている。幾らなんでもここまでの完成度は無理ではないかと。

 

(ヤイコを倒して、元の世界に戻さなきゃ)


 玉雄は心に誓う。自分達を守り、地割れの中に沈んでいった蟹のためにも、この狂った電脳世界を元に戻すことを。




 相反するかのような感情を抱く、二人の子供が、勢いよく宙を浮かび飛び続ける地盤と共に、ラストステージ『空中城塞』へと向かって行く。


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