発見!!
バキバキッ ドサッ
勢いをつけ過ぎたのか、私の重さに耐えられなかったのか。
枝がぼっきりと折れ、私は落ちてしまった。
頭の中は真っ白になり、そして情けなさでどうしようもなくなり涙が溢れ
その木を何度も殴り、何度も何度も頭を打ちつけた。
気づけば頭もこぶしも血だらけであった。
体の力が抜け、ガクッと枯れ葉の上に崩れ落ちた。
何故...何故なんだ!!!
私は死ぬ事すらまともに出来ないのか!!!
落ち葉を掴み、地面を叩き投げつけた。
何度もそうしているうち、落ち葉ではない何かが手に触れた。
何気なく目をやると、それは小さな古い小瓶だった。
それも投げつけようとした時、ふと見ると中に紙が入っていた。
誰かの遺書か...?
そんな事が頭を過ぎり、枯れ葉まみれの私はゆっくりと体を起こし
木に寄りかかって座った。
コルクの栓がしてある手のひら程の小瓶。
白い紙が入っている。
木々の間から漏れる月明かりだけではその位しかわからない。
私は小瓶を開け、細い木の枝を使って中の紙を取り出してみた。
やはり何か書いてある様だが読めない。
明かり...明かり...そうだ。ライターだ。
脱ぎ捨てた上着を拾い、胸のポケットからライターを取り出した。
小瓶の落ちていたその木の下にまた寄りかかり、ライターに火を点けその文字を読んでみた。
『この手紙を読んでいるあなた。もしかしたら人生に絶望されてここへいらしたのでしょうか。過去の僕のように。
僕は過去をやり直し、未来を変える事が出来ました。
あなたがもしそれを望むなら、僕が埋めた物を差し上げます。
木の高い枝に目印として僕の腕時計を引っ掛けています。
その木の根元に埋めました。』
なんだこれは?いたずらか....。
私はバサッとその場に仰向けに寝転んだ。
これからどうしよう。自殺する気も失せてしまった。
このまま何処かでホームレスになってしまうしかないのか...
どの位の時間が過ぎただろう。
仰向けのまま空を見つめていると、薄っすらと空が白く明るくなってきていた。
...掘ってみるか...?
どうせ時間はあるんだ。いたずらに付き合うのも悪くないじゃないか。
そう思った私はグルッと上を見回してみた。
すると自殺に失敗したその木の上の方の枝に腕時計らしき物がぶら下がっている。
思わず立ち上がり、木に近寄ってみた。
やはり時計だ。黒い腕時計。
私は年甲斐もなく少しワクワクした。
木の根元の落ち葉を掃い、一箇所掘ってみた。...無い。
もう一箇所掘ってみた。...やはり無い。
もう辞めようかとも思ったが、私なりに良い事を思いついた。
木の枝を拾い、木の根元の周りにグサグサと刺していった。
そんな作業をしばらく続けていると、何かが当たった。
これだ!!
必死のそこを掘った。子供の頃に戻ったように私の心は高揚した。
すると、錆びたクッキーの缶があった。
缶の横はガムテープのような物で何重にも巻いてあった。
テープを剥がすのに苦戦したが、やっと蓋が開いた。
中にはビニールに包まれた物体と手紙が入っていた。