第75話 最終話
「いえ、とても可愛らしい顔立ちだと思いまして。よく言われますでしょう? 正道様がお側に置いておくのも納得ですわ。獅童家の審美眼は富士の山よりもお高くありますから」
「俺は別に顔で人を選んだりはしないぞ」
「申し訳ありません正道様、今はわたくし、花宮さんと自己紹介の真っ最中ですの」
「うん、それはごめん」
「ええと、まぁ、それなりには……そういう綾小路さんも美人ですよね?」
「ふふっ、ありがとうございます。ねぇ、せっかく知り合えたのですから、桃花さんと呼んでも構いませんか?」
「うん、みんなも名前で呼ぶから桃花で大丈夫だよ。ええっと綾小路さんのことも真理亜さんでいいかな?」
「もちろんですわ。桃花さん、これから仲良くしてくださいましね。わたくしたち、きっと似た者同士で気が合うはずですから」
「そうか? あんまり似てないと思うけどな」
俺がまたまたつい口を挟むと、桃花と真理亜が揃ってやれやれという顔を見せた。
「正道様のお相手は大変でしょう? この調子ですもの」
「そうでもないよ?」
「ふふっ、桃花さんは可愛いだけでなく、心根もお優しいのですわね。正道様が気に入るのもわかりますわ」
「べ、別に正道くんとはそんなんじゃないし」
「ですが放課後におうちに一緒に帰るような関係なのですわよね?」
「それは、まぁ……うん」
桃花が頬を赤らめながら、チラリと俺を見た。
秘密の関係をフライデーされたみたいで、妙に気恥ずかしさを感じてしまう。
でも本当に、俺と桃花はまだただのクラスメイトなんだけどな。
「……ま、2人の仲が良さそうで何よりだよ。それで真理亜はこの後どうするんだ?」
「もちろん、正道様のおうちにお邪魔させていただきますわ。そこのタワーマンションの最上階と聞いておりますので」
「うちに来るのかよ?」
「正道様に会いに来たと言いましたでしょう? すぐに帰ったりはしませんわ」
「今後の予定とか、桃花と話したいことがあるんだけど」
母さんの誕生日パーティ用の桃花のドレスの採寸とか、その辺りの大まかな日程は詰めておきたい。
「それはわたくしに聞かれたら困りますの? それとも桃花さんをおうちに連れ込むにあたって、やはりわたくしはお邪魔でしょうか?」
「人聞きの悪いことを言わないでくれ。友だちを家に呼ぶだけだよ」
「でしたらご一緒しても構いませんわよね?」
……この会話は少し俺の分が悪いな。
「って、真理亜は言ってるんだけど、桃花はどうだ?」
「せっかく会いに来たんでしょ? 追い返すのはかわいそうだと思うけど」
「まぁ桃花がいいならいいんだけどさ」
「では3人で正道様のお部屋へと参りましょう。ご安心を、2人の蜜月のお邪魔はしません」
真理亜はそう言うと俺の左手を取って歩き出す。
対抗するように桃花が俺の右手を取って歩き出した。
こうして急転直下、桃花だけでなく真理亜も俺んちへと来ることになってしまった。
といっても、真理亜は先住者である桃花をよく立ててくれて、波風も立たずに話は進んでいく。
さすが綾小路家の淑女。
お転婆ではありながらも大事なところは外さない。
そんな平和な俺たちだったが、しかし。
この後、俺たちは真理亜の実家の綾小路家を巻き込んだ大事件に巻き込まれることになる。
もちろん今の俺はそんなことを知る由もなく、真理亜のお土産の高級茶葉で桃花が入れてくれた紅茶を、のんびりと嗜んでいたのだった。
(第一部 完)
10万字を超える長編を最後までお読みいただき、ありがとうございました~!
ダーダネルス電機の陰謀を暴いていい感じに終わりつつ、エピローグもさらに書けそうで、長編も行けそうな感じでの結末となりました。
桃花はお母さんに紹介する時点でもうほぼほぼお嫁さんルート確定ではないかと(笑)
そして新作、
異世界で勇者だった俺、なぜかモブ男子高校生に転生してしまう。~ざまぁした奴らが改心して慕ってきて、気付いたら一大勢力をのボスになっていた~
https://ncode.syosetu.com/n7886mr/
が始まりました!
『勇者がモブ男子高校生になってしまった!』
から始まる中身最強勇者なモブ男子が、ラブコメをしつつ降りかかる火の粉を次々にざまぁしていたら、みんなが慕ってきて一大勢力になっちゃった!?
という感じの、痛快で軽快なラブコメになる予定です。
こちらもぜひぜひ読んでいただけると嬉しいです♪




