第12話 光と闇の守護者
村が焼かれた後、青年とルーメンは共に手を取り合い、新たな国を築く決意を固めた。
彼らはこの大地に再び平和と繁栄をもたらすために力を尽くすことを誓った。
その過程で、ルーメンは村の端にあった家にある程度の権力と権限を与えた。
そして、青年がその家の者を護れるように、青年にもある程度の権力と権限を与えた。
その後、彼らは光と闇の力を使い、ババ様も加わって勢力を伸ばし、わずか数年で帝国を造り上げた。
ルーメンは帝国の皇帝として君臨し、青年は新しい名字を授かった。
そして、村の端にあった家の者を、皇家の命令よりも優先できるように、青年は闇の世界で生きる道を選んだ。
無論、それはルーメンも望んだことだ。
ルーメンはそのことが途絶えないように、皇家の決まりとして残すようにした。
それは、この先たとえ皇家が邪魔しようとも、青年の子孫がルキとレシアの子孫を必ず守れるようにするためだ。
ある日、ルーメンは青年と城の中を歩いていた。
煌びやかな装飾は、彼の趣味ではない。
しかし、皇帝とて君臨するならば、必要なのだと人になってから理解した。
装飾品は彼の力を示し、彼がいない時でも威厳を表す。
「なぁ、リオ……君は後悔していないのか?」
ふと、ルーメンが青年に尋ねると、青年は首をかしげた。
「何がです?」
「いや……だから、闇で生きることだよ」
困ったように頭をかきながらルーメンは尋ねると、青年は「あーなるほど」と呟いた。
そして、前を見ながら、興味なさそうに答える。
「後悔してませんね。そもそも、俺はあの日以前の記憶はないんですよ? あったのは、ただあの家族を守りたい想いだけです」
「今もそうなのか?」
「今もその気持ちは変わりません。ですが、最近……俺の中にいるエレンブルが静かになりました」
「そっか、ちょっとエレンブルも疲れたんだろうね」
「そうですね。最近は安心したように、眠っていることが多いです」
「君が後悔していないならいいさ。それじゃ、今後も頼んだよ」
「任せてください。必ず護ってみせます」
「さーって、僕はおとぎ話でも書くかなぁ~」
ルーメンは手を振って歩き出し、青年はルーメンと逆の方向に歩き出した。
それから月日は流れ、幾度も季節は巡り、青年は年を重ね父となった。
ルキとレシアの子どもも大きくなり、新たに家族を増やしている。
ある日、ルキとレシアの家にリオは息子を連れて行った。
そして、息子に語りかける。
「俺の力が弱まったら、この力はおまえが次に受け継ぐ。エレンブルとの契約は永遠に続く。我々の使命を決して忘れてはならない」
息子はリオの顔を見てから、シルバーの髪の少女を見つめた。
シルバーの髪は、毛先に向かうにつれロイヤルブルーに変わり、ロイヤルブルーの瞳が煌めいている。
「誓うよ、父さん。エレンブルの力と記憶を受け継ぎ、この家族を守り続ける」
「それなら、あいさつして来い」
リオはそう言うと、息子の背中を押した。
変わらない明日などない。
けれど、ルキとレシアがいなくなった世界は、変わらずに時を刻み、歴史を造り上げていく。
そして、エレンブルも変わらず契約という名に縛られ、リオの子孫に力を貸し続ける。
それは彼が望んだことかもしれない。
だが、この先……人族になったルーメンの命は尽き、リオの命も尽きるだろう。
誰も彼を覚えていない世界を、彼は生き続けなければならない。
リオは息子に背を向けて歩き出すと、エレンブルを思って悲観的に鼻で笑った。




