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君がいない世界で生きるということは……  作者: 雪闇影


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第11話 契約の代償


 どれくらいの時が経ったのだろうか……

 エレンブルはそう思いながら、ゆっくりと瞼を開けた。

 目の前には一面の花畑が広がり、精霊たちはレシアとルキの死を悲しんでいる。

 精霊の目から零れた雫は、ホワイトドロップの花を咲かせる。

 大地は生命に溢れ、マナで満たされている。


 エレンブルはルーメンに目を向けると、横たわった彼の存在は霞んでいる。


「待って居れ、ルーメンよ。今存在を固定する」


 しかし、返ってくる言葉はなく、彼の存在は曖昧な物へと変わり続ける。

 体から放たれる光は、まるでルーメンが世界に溶けていくようだ。

 エレンブルはそれを繋ぎとめるように、闇の力を使う。

 時を止める魔法は役に立たず、精霊としてのルーメンを消していく。

 エレンブルは歯を食いしばると、生命を作り変えるように魔法を使う。

 徐々に闇の精霊は向こう側が透けて見え始め、ルーメンの存在は人族と変わっていく。

 息を吐く声が聞こえると、ルーメンだった者の胸が上下に動き始める。

 これで、2人は共に旅に出ることも、同じ時間も生きられなくなった。

 その現実はエレンブルには重く、彼は声を押し殺して泣いた。


 日が沈み始めた頃、足音が聞こえ、エレンブルは振り返った。

 茶髪の青年は「置いて行かれた」と呟き、光のない瞳で一点を見つめている。

 エレンブルは彼の視線を追い掛けると、レシアとルキがいた場所を見ていた。

 静かにエレンブルは青年を見つめ、違和感を感じて彼の中の魂を見つめた。

 すると、わずかばかり、ルキの魂が彼の中に感じられ「おまえも置いて行かれたのか」と呟いた。


 エレンブルはゆっくり立ち上がると、少年の元まで歩いた。


「貴様は誰だ」


 冷たく問う声に、青年は首を横に振って「分からない……」と答えた。


「貴様も、もうじき死ぬだろう……生きたいか? 力がほしいか?」


 虚ろな目がエレンブルを映し、力なく瞬きが繰り返される。


「生きたいし……力がほしい……」


「なぜだ?」


「理由は分からない……でも、守りたいんだ……」


「誰をだ?」


「分からない……でも、多分あっちにいる」


 青年はそう言うと、村の端にある小さな家を指さした。

 小さく見える家は、普通なら見えないのだろう。

 けれど、青年は見えているかのように、その場所を見つめる。


「良かろう。ならば我と契約を交わせ。だが、忘れるな。この契約は貴様の子孫にも受け継がれ、記憶も共に受け継がれる。苦痛が伴うものだ。それでも、契約するのか?」


「守れるなら……守りたいんだ……今度こそ……なぜそう思うのか、俺には分からないけど」


 胸の辺りを押さえて青年は言うと、エレンブルが「分かった」と小さく答えた。

 途端に、2人の足元には数えきれない文字が現れ、星の欠片が舞うように2人を包み込む。

 次第に少年の髪は黒く染まり、彼の緑色の瞳は赤に色を変えていく。


「忘れるなよ」


 頭の中で声が聞こえた瞬間、青年は辺りを見渡した。

 しかし、そこには誰もいなかった。

 その代わりに、横たわっていた青年がゆっくりと起き上がった。


「あれ? エレンブル?」


 サンライトゴールドの髪を左右に振り、青年は辺りを見渡した。

 しかし、エレンブルの気配を感じられても、彼の存在が見当たらない。

 咄嗟に、彼は自分の体に触れると、存在が変わっていることに気が付いた。

 そして、エレンブルの気配がする方を見ると、黒髪の少年が赤い瞳で彼を見つめていた。


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