表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
グレース~エレノアの手記~  作者: 栗橋真縫
第一章
58/79

56話 婚約者〜5〜

「エリー。久しぶりね。」

「…お姉さま! お久しぶりです。

どうしてここに?」


お姉さまは普段婚約相手の屋敷に住んでいる。

それなのに屋敷に帰るとお姉さまがいた。


「実家に帰らせていただきます!!って言ってね。」

「本当は?」

私が聞くとお姉さまはクスッと笑って言った。

「久しぶりに妹に会いに来たのと、結婚式のお知らせよ。」


「ようやく日程が決まったのですね。」

「ようやくよ。日程のすり合わせに思ったより時間がかかったのよね。」


「おめでとうございます。お姉さま。」

「ありがとう。」

お姉さまははにかみながら言った。

表情も少し曇っていた。


「なにかあったのですか?」


「…だって……エリーのことがあるのに私だけっていうのは…」

「お姉さま!せっかくの結婚なのですからそんな申し訳なさそうな顔しないでください。私のことは気を使っていただかなくて大丈夫ですから。」


「エリーは優しいわね。」

「そうですか?」


私はもう優しくない、と思う。でも、お姉さまの幸せは絶対に祝福したかった。



結婚式の日、私は好奇心の的になっていた。

アルジエル派とはいえ、一枚岩ではなかった。私は今まで比較的に私に好感を持っている貴族にしか、ほとんど会ってこなかった。

だからこそ、自分の中に残っていた甘さを痛感した。

マートルのところに自分の家の娘を嫁がせようと考えていた、私を引き込もうとしていた、そもそも私の行動を面白く思っていなかった。そんな内容の言葉があちらこちらで聞こえてきた。


けれど、そんな言葉も一瞬でどうでもよくなった。

そこには、真っ白なウェディングドレスに身を包んだお姉さまの姿があった。

綺麗だ…

お姉さまは嬉しさのあまり口角が少し上がってしまっていた。

そんな様子のお姉さまを見て、私もすごく嬉しかった。家族の幸せそうな顔でこんなにも自分まで幸福感を得られることを知らなかった。



結婚式も終わり、着替えたお姉さまと話していた。

「それにしても運がよかったわね。」


「そうですね。」

私はブーケを胸に抱えて答えた。

「でももっと取りやすいように投げてくれてもよかったのですけど…」


「エリー。幸せは自分で掴むものよ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ