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-5話- 四天王火属性のパロディ元はどうやらマッチ売りの少女 その2

 君守家の休日。今日は家族そろって動物園へお出かけである。朝太が水族館を気に入ったので、それなら行ってみようということになったのだ。

 動物園へは最寄りの駅から電車に乗って行く予定である。


「俺は留守番でもよかったんだけどな。目的地は動物園だろ。いまさら珍しい生き物でもないぜ。そんなのあっちの方がいろいろいるだろうよ」

 そう言いながらもついて行く真洋。あっちとは魔界のことである。

「なーに? 彼女とデートでもしていたかったのかしら」

「そんなんじゃない」

 羽春にからかわれて真洋は不機嫌そうな顔を見せる。

「別によかったのよ、動物園に行くのはあんた抜きでも」

「タヌキ? タヌキは日本中にいっぱいいて、犬の仲間で木登りもするんだって」

 朝太は動物園のことで頭がいっぱいなのか、そんな聞き間違いをする。

「ああ、動物図鑑を見て勉強していたんだな。朝太は動物博士だな」

 真洋は優しく対応する。


 歩いて駅までやってきた君守家一行。ここから動物園行きの電車に乗る。

「そういえば、朝太は、電車に乗るのは初めてでしたよね」

「うん」

 辰人の言葉に対して元気な返事をする朝太。

「それじゃ俺が電車のことを教えておこうか」

 真洋がいいところを見せようとしてか、そんなことを言い出す。

「電車は線路の上を移動する乗り物だ。主な用途は旅客や貨物の運搬だ」

「パンダ? パンダは中国に住んでいてササを食べるんだよ」

 朝太は動物園のことで頭がいっぱいなのか、そんな聞き間違いをする。

「これから行く動物園にジャイアントパンダはいなかったかもな。レッサーパンダならいたかもしれないぞ」

「やーね。電車の説明にそんな難しい言い方をしても分からないわよ」

「私も電車の乗り方くらい覚えておきたいですからね。何事も社会勉強ですよ」

「覚えるまでもないだろ。目的地までの切符を買って改札をくぐって目的の電車に乗ればいいんだから」

「何事も経験ですよ。まずは切符を買いましょう」


「四人分ですね」

 そう言って券売機で四枚の切符を買う辰人。

「あ、違うぞ。朝太の分はいらない。大人と一緒に乗る幼児は無料らしい」

「おや、そうでしたか」

「真洋の分の切符は子供用でも平気かもね」

 羽春が口を挟む。

「うるさいな。正しい電車の乗り方を覚えるなら不正を勧めるな。中学生以上は大人料金なんだよ。とにかく間違って買った切符は窓口で払い戻しができたはずだ」

「では、ここで待っていてください。払い戻しをしてきます。電車が来てしまう前にね」

「シマウマ? シマウマはアフリカのサバンナに住んでいて身を隠すために縞々なんだよ」

 朝太は動物園のことで頭がいっぱいなのか、そんな聞き間違いをする。

「シマウマはいたかな。ちなみにシマウマの縞模様の理由は身を隠すためという理由のほかにもいろんな説があるらしいぞ」

 真洋は動物園で説明するため事前に予習していたようである。なんだかんだ言って行く気満々だったようだ。


 駅の窓口には行列ができていたため、切符の払い戻しには思いのほか時間がかかった。

「お待たせしました」

 辰人はようやく払い戻しを終えて戻ってくる。

「乗る予定の電車行っちまったぞ」

「しかたありませんね。一本遅らせましょう」

 そして次の電車に乗る一行。

「あ、この電車は各駅停車だから動物園には次の快速を待った方がよかったな」

 なぜかこういうことは電車に乗ってから気付くものである。

「それならば、どこかで降りて電車を乗り換えましょう」

「降りるなら快速が止まる駅じゃないと意味ないぞ。それに、この電車が快速電車に追い越されるようなら乗り換えない方が早くつくかもしれない」

「やーね。どうしましょう。到着時間がルートによって変わるわよね」

「カンガルー? カンガルーはオーストラリアに住んでいてお腹の袋で子供を育てるんだよ」

 朝太は動物園のことで頭がいっぱいなのか、そんな聞き間違いをする。

「カンガルーはいるかなー。お父さんの影が薄い動物だよな」

 こいつらわざとやっているんじゃなかろうか。


「ちょっと、ルート検索してみる」

 真洋はスマートフォンを取り出し乗り換え案内を調べ出す。

「さすがに若者は新しいものをすぐに使いこなしますね」

「年寄りみたいなこと言うなよ」

 そうは言うが辰人の正体はドランゴンでありその年齢は三百歳を超えているのである。もっとも、真洋のほうも百歳を超えているのだが。

「一応、スマートフォンは持っているのですが、なかなか使いこなせませんね」

「……検索の結果によると次の次の駅で乗り換えると早く着くようだぜ」

 スマートフォンは連絡用にとタリュートゥが真洋に持たせているものである。連絡自体は魔法でもできるのだが、人前で使うわけにはいかないため文明の利器を利用している。

「便利なアイテムですよね。私には通話くらいにしか使えませんよ」

「何なら教えてやるぞ。頼れるものには頼った方がいいぜ。その方が楽だ」

「ラクダ? ラクダは砂漠に住んでいて、背中にこぶがあるんだよ」

 朝太は動物園のことで頭がいっぱいなのか、そんな聞き間違いをする。ここで基本が来たものである。

「ラクダはこぶの数によってヒトコブとフタコブの二種類がいるんだぞ」


 乗り換えのため、途中の駅で降りる。そこに――

「お客様にご案内します。路線内で事故があり列車が遅延しております」

 というアナウンスが流れる。

「うまくいかないときはとことんいかないもんだな」

 そして、電車が動きだし、予定よりだいぶ遅れて目的の駅に到達した。


 すでにお昼近かったため、ファミリーレストランで昼食を済ませてようやく動物園に到着した一行。

「大人二枚と中学生一枚。それから魔王一枚」

「俺と同じようなボケをかますんじゃねーよ」

 そんなやり取りをして、ようやく入園できそうだというときである。

「プルルル、プルルル……」

 着信音が響いた。タリュートゥの持つスマートフォンである。

「タリュートゥ様ー。申し訳ないでございます。緊急事態です。私の手に負えない事態が発生しているのでございます」

 ガーゴイルのガトーラからの通信であった。人間界で不自然にならないように、魔界からの連絡用の通信魔法も通信機器で受信できるようにカモフラージュしているのである。

「……了解しました。すぐに向かいます」

「何かあったの?」

 羽春が不安そうに尋ねる。

「申し訳ありません。仕事です。すぐに片付けて戻ってきます。やれやれ、すぐに連絡がつくのも考え物ですね。このシステムは一遍吟味しましょう」

「ペンギン? ペンギンは南極に住んでいて空は飛べないけど泳ぐのが得意なんだよ」

 朝太は動物園のことで頭がいっぱいなのか、そんな聞き間違いをする。

「実は暖かいところに住んでいるペンギンも結構いるんだ」

 これは狙ってやっているだろう。そうでなければ一遍吟味するなんて言わないだろう。朝太の方も隠れた動物の名前を当てるゲームだと思っているのではなかろうか。そうだとしたらちゃんと見つけているので賢い子である。


 そんな朝太たちを残し辰人は人気のないところまで行くと、転移魔法により魔王城へ移動した。

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