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彗駆の勘銃手〜オレは何しに異世界へ!?〜  作者: 諏訪秋風
第一章「彗星の如く駆けるは異世界」
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第8話 「神様の居る世界」

異世界からやってきた者の歓迎会は、騒がしすぎない程度に賑わいながら進行する。


「それじゃあ自己紹介も済んだところで、質問ターイム!!」


村人たちが興味を示したことは「おーっ!」という歓声が裏付ける。

クライスさんは組み込んで正解だったね、という柔らかな顔でこちらを見た。


元は、同じ質問にいちいち答えるのは面倒だからという理由で俺の方から提案したものを、いっそのこと楽しめるようにしようとクライスが手を加えてこのようになった。

俺の提案そのままでは堅苦しいものになってしまっただろう。それでは出るものも出ない。

どんな質問だろうが、今後の方針を決める役に立つはずだ。なら、些細なことも質問できる気楽さはあった方がいい。


さっきと違って、今はかなり落ち着いていて余裕がある。根拠が《勘》とはいえ、隠す気が無くなったのはやはり大きい。


カノンの言葉も少なからず影響している?

いや、でもあれは…流石に…。

これがカルチャーショックというやつか…。


悩む頭を切り替え、村人の方に意識を向けた…


「この場でパッと答えられそうな質問に限られちゃうけど、早い者勝ちでどうぞー!」


シュババッ!!!


…瞬間、手が挙がった。


いや、気がついたら、既に挙がっていた。

と言った方が正しいだろう。


同時に上がったから判断つかない、という事態ならまだ分かる。


「手、挙げるの速すぎて見えないって、ど─


「はいっ!ミラミーさんね!!」


─…え?」


見切っていたと言わんばかりの迷いもない声で指名が入る。声の主は曇りなく1人の女性を見ている。


その視線の先にいた女性は、肩まで伸ばした髪を後ろに軽く束ねた二十代後半くらいのとても綺麗な人だった。見た感じ、とても大人しそうな女性だ。


だからこそ、恐ろしかった。


千里眼が発動している元テニス部の動体視力でも、彼女の手の動きは見えなかった。

いや、彼女だけではない。今、手を上げている4人全員、見切ることができなかった…。


だが、クライスさんは平然と見切った。


頭に浮かぶ言葉は「怪物」「異常」「敵襲」

だが、違うことはすぐに分かる。


そうじゃない。

これは彼らにとって日常的な光景なんだ。


勘と考察によりある結論を導き出す。


ここは超人の住む農業村だ。


身体能力だけで終わる筈がない。

カノンがあれほど凄い魔法を使えているのに、自分のことを普通と言っていた理由も、今なら容易に想像できる。

だが、それを想像するのは後回しだ。


熾烈な競争の末に勝ち取られた質問を、聞き逃しでもしたら大変だからな。


「フーガ君のいた世界のキャベツって、どんな感じなのかしら?」


……。


『俺のいた世界の様子』の空耳か?


そんなことはない。

聞き逃すまいと神経を集中させていた。

彼女はハッキリと、キャベツと言っていた。


─訂正。


超人じゃない。


変人だ。


ここは、変人の住む農業村だ。


他の村の人達は、この質問を咎めたりすることはせず、むしろ笑って俺の答えを待っている。


この質問は彼らにとって訊く価値があるということなのか?

それとも、彼女ならそれを訊くだろうと分かっていたのか?


困惑しながらも、隣りに見覚えのある金髪の優男が座っているのを発見したことで、後者であると半ば呆れて理解する。


さっき温泉で『夫婦揃ってキャベツバカ』っていわれても否定しなかった、彼の奥さんだったら、こんな意味不明な質問もするだろう。…と。


「えっと…、緑で丸くて…こう、葉が重なってできていて…パリパリしてて…してる野菜…です。」


拍子抜けかと思いきや、キャベツの説明なんてしたことなかった俺には緑で丸くてパリパリしてるとしか言いようがなく、思わぬ苦戦を強いられる。


だが、彼女はその拙い回答に満足したようで…


「へぇ〜!そっちのキャベツってぜーんぶ丸いのね!?」


「いや、全部がそうかは知らないですけど…。そういえば、こっちのキャベツはいったいどんな形なんですか?四角いとか?」


「チッチッチッ。うちのキャベツに、決まった形なんて無いのよ。それぞれに個性や表情があるから、丸いとか四角いなんて一言では言い表せないわ。でも強いて言うなら……─(中略)─……。でも、やっぱり百聞は一見にしかずよ!魅せてあげるから、カノンと一緒に今度、家に来てちょうだい!歓迎するわ!」


数分間、彼女の口からキャベツへの並々ならぬ愛情が溢れ続けた。


それが唐突に終わってからの勧誘なのだからタチが悪い。


「えっ、あっ…はい。じゃあ、そのうち行きます…」


《勘》が警鐘を鳴らす。


「ふふ、待ってるわよ…?」


だが、彼女の迫力ある笑顔を前に、もはや断ることなど出来なかった。


歓迎会なのだからどんな質問も構わない、とクライスさんには伝えてある。

むしろ、こういった悪ノリとも言える質問こそが友好関係を深めてくれるということも知っている。


ただし、それを最初の質問にすると逆効果なのは今の俺が受けている印象からして言うまでもない。


何事も無かったかのようにサラッと流して次の質問者がクライスさんに呼ばれる。

今の空気を流すあたり、村人もマトモじゃない。


「じゃあ、次はキーザ兄さん!どうぞ!」


次に立ち上がったのは見覚えのある男性。

昼間、神器を鑑定した後あろうことか売ることを勧めてくれた現実重視の資本主義お兄さんだ。

他にも何か勧めてくれてた気がするが、細かいことは2回目の失神で忘れてしまって思い出せない。


俺は真面目で有意義な質問を期待する。

彼で駄目ならば、もはや、誰からも真面目な質問は来ないだろうとさえ思う。


「フーガ君の世界にも、牛はいますか?」


期待通りの真面目な声で、彼はそう言った。


「……はぁっ!?」


心に留めた負の感情が、2人目にしてもう限界を迎えてしまった。


変人村おそるべし。


「いましたよ!?いましたけどッ!!な、なんで今その質問するんですかッ!!?」


ははっ、こうなりゃもうヤケクソだ。

逆に質問してやる。

聞きたいことは山ほどあるんだからな!!


ミミズもあっさり(姉妹が)倒したし、夜の帰り道も何もなかったし、温泉でのんびりしていたから忘れていたけどさ!

俺は!異世界人は!!

世界の危機の予兆なんじゃないのか!!?

歴史の授業でそう習ってるんじゃないのか!?

なら、もっと気になる事があんだろ!!

そんな呑気で大丈夫か!?

大丈夫じゃない、問題だっ!!!

俺の存在が大問題だっ!!

なのに、俺<キャベツ&牛って!!

アホか!!変なも大概にしろ!!


口が追いつけないほどに、心の叫びは饒舌に吐き捨てる。しかし、気持ちが先走って大半は言葉にはならないでいたおかげで全てをぶち壊さずに済んだ。


だが、いっそのこと壊した方がが良かったのかもしれない。


「え?それは勿論、気になったからですよ!種類は?餌は?色や大きさはどんなですか?牛乳以外に何が搾取できますか?こっちの牛にはない特徴ってありませんか?あ、こっちの牛の特徴はですね……(略)」


俺の心の中の本音に気づくことなく、お兄さんは嬉嬉として牛について語り出す。

これまた周りの人達は何も言わずに、ただただ俺の言葉を待っている。


言い方以前に、どうやら本気で世界に迫る危機には興味がないらしい。何を言っても無駄だと《勘》で分かる。

もはや、荒んだ心の叫びを言葉にしてまで言う気にはなれなかった。


とりあえず聞かれたことに対しては分かる範囲で説明してあげることに決めた。心配が空回りしたせいで、今はとても投げやりな気分だ。


ええ、お兄さんが嬉しそうで何よりですよ……。



─続く二人の質問も、薬草ハーブと木材加工についてだった。追加質問も飛び交い、割と有意義な質問タイムだったと思う。


俺の知る薬草とはハーブの類であるため、結局この世界の薬草講座の時間になった。

結論からいうと、この世界の植物全てが薬草であり、その効果も様々らしい。傷を癒したり状態異常を治したりするのは勿論、筋力や魔力を高めてくれたり、武器や道具の素材としても使えたりするそうだ。


次の質問は木材加工。お昼ご飯のときに使った木製のナイフのおかげで、これについては上手く違いを説明できた。

ちなみに「あのナイフは硬度が金属に匹敵する、コズムという木を削って作っている」そうだ。作った職人さん御本人が、そう解説してくれた。

話を聴く限り、この世界は優れた素材に溢れている一方で、技術力では日本の方が優れているようだ。

素人の俺にどんなアドバイスできるか分からないが、工房に行く約束も交わした。こっちはちょっと楽しみだ。


ここでようやく、彼らの質問は自身の職業に関係していることを知った。さっきのお兄さんも酪農家だったらしい。


それでも納得いかない。


何故、誰もシリアスな質問をしないのだ。

俺が想定していたのはそっちなのに。


「最近、村の周りのモンスターが活発なのだが、それと何か関係があるのか?」


とか


「君が異世界から来た勇者なら、封印された神様達を助けに行くのか?」


とか!


「王都では戦力を求めていると聞くが、向かわなくていいのか?」


とか!!


そういった話が進みそうな質問は!?

田舎のくせに平和すぎなんだけど!?


ツッコミを我慢に我慢して、はや5人。

ようやく期待していた質問がきた。



「えっとね!ゆめの中にでてきた神さま、もしかしたらわたししってるかもしれない!どんな神さまだった?」


こう言ってくれたのはセオリーちゃん5歳。

綺麗な赤髪ショートの女の子だ。

小さいのにとてもしっかりしている印象で、神官(笑)のカノンより神様のことを知っていそうだ。


─ちなみに、6〜15歳の子どもは一人も見当たらないのだが、学校が遠いという理由で寮生活をしているということはもう《勘》で分かってる。


俺を拐った神様がどんな神様なのか。

その神様の教えや象徴するものによっては、俺の行動も大きく左右されるだろう。


…ただし、今度の件は俺側に問題がある。


「ごめんな…。夢に出てきた神様、もうハッキリと思い出せないんだ。ここに来てすぐにくらった魔法でお兄ちゃん、気を失っちゃったから…」


「ええっ!?そんな〜…だれにやられたの?あたしがソイツをやっつけてあげるよ!」


っ…!なんて可愛らしくて頼もしいんだ!

この子は間違いなく立派な大人に成長するだろう。

だから、不用意に危険へと近づけさせてはならないのだが…。


「……だそうですよ?シュロンさん」


唯一の手がかりの夢を思い出せなくしてくださった元凶シュロンさんへの仕返しを頼むことにした。

…言葉が通じるようになったとはいえ、あの一撃は普通に痛かったからな。


流石にシュロンさんなら、幼女に手を出す訳がないだろうしな。


「あらあら、セオリーってば強気ね〜。私に勝つには10年と4ヶ月くらい早いわよ〜?」


「えっ!?だいししょー!?カノンじゃなかったの!?…だいししょーじゃ、かてないかな〜…」


出させるまでもなく勝ったよ、この人…。


「おいちょっと待った!!その言い方だと、師匠である私には勝てるみたいじゃない!」


おっ?

なにやら話がカノンに飛び火…いや、カノンが話に飛び入ってきたぞ。

虫か、アイツは。


「だって、カノンにはかったじゃん!!」


「あれはノーカンよ!ノーカン!!あんな風に不意を突かれれば、誰でも倒されるわ!」


「あら、それは違うわ〜。私だったら常に周囲112mを警戒してるから、セオリーの不意打ちを食らうことはないわ〜」


「おおー!!さすがはだいししょー!!やっぱりししょーとはアレがちがいますな〜…アレです…。あの、えっと…」


「女子力?」


「そうそれ!ししょーとは、じょしりょくがちがうもんね!」


「それを言うなら格でしょ!?セオリー…明日覚えてなさいよ!!」


これは酷い。


「おいカノン…。お前、5歳児相手になにするつもりだよ」


「えっ…?(チラッ」


「全く、お前は……。おい。今、期待してたな!?馬鹿にされてるってことが分からないくらいバカなのか!?」


「べっ、別に期待なんてしてないし、けなされてるのも分かってるわよ!」


「嘘つけぇっ!!口元緩んどるわっ!!!」


「ふぁっ!?」


…あれ?今何してたんだっけ?


「おーふたーりさん?イチャついてるところ悪いんだけど、次の質問いっちゃうよー?」


「「イチャついてない!」ですよ!」


「ハイハイ。じゃあ、次はコメッツ!!あ、先に言っておくけど、小麦に関するの質問は禁止ね。長いから」


「オイオイッ!!オレは駄目とか差別だろ!そりゃないぜ!!」


あぁ、誰かと思えばお風呂であった小麦バカアニキか。…って、小麦バカなのに名前は米なのか。

さっきは全然気づかなかった。

そういえば、クライスにもライスがあるな。

うん、凄くどうでもいい。


「まぁ、今度でいいか。長くなるし」


なるんかい。じゃあ、今度でも嫌だよ。


「オレ、バカだから事情とかよく分かんねーんだけどさ。やっぱフーガはカノンと結婚するために連れてこられたんじゃねえのか?今見てても、やっぱお似合いだしよー」


おい、自己紹介でキッチリ言っただろ。

何も知らずに異世界から来た奴をいきなり結婚させんなよ。


だが、周りの人もウンウンと頷く。


……俺は、自己紹介を聞けば、少なくとも結婚の誤解は解けるだろうと思っていた。


しかし、甘かった。

異世界の文化は考えの根本から違うらしい。


「逆に質問なんですけど、会ったばかりの人と結婚するのって『変』じゃないんですか??」


俺は地球を代表して、この質問を投げかける。

この質問で文化の違いを明らかにするっ!!


「「「…………」」」


どうしよう…皆、困った目をしてる…!

何を言ってるんだコイツは…って目だ!!


「変…だとは思わないな。オレだって、会って3日で結婚したし…」


「マジですか!?」


「おう!マジよ、マジ。そんなに多くはないけど、変ではないぜ。むしろ、アイツらみたいに最初は喧嘩ばっかしてたくせに、後々くっつく方が珍しいって!」


そういってニヤケながら、ピースサインの形でクライスとシュロンの二人を指さす。


「「バースト」」


「うぐはぶっ…!!」


ガタンッ!ガクッ…


冷徹な瞳の二人が放った光の塊は、見事コメッツさんのおでこと腹に命中し、強制的に着席させられた。


笑いが巻き起こる中、


「ええええええええええ!?」


強烈なカルチャーショックにより絶叫した。



───────────────────



「「「ええええええええええ!?」」」


俺の話を聞き、皆さっきの俺のように叫ぶ。

だが、咎める者は1人もいない。


だって、まわりも騒がしいからな。


「なにそれ!めっちゃ面倒くさい!!結婚相手なんて直感的に分かるもんじゃないの!?少なくとも、私はそうだったわよ!?」


「リコン…ねぇ〜…。結婚した後で別れるなんてどうすりゃそうなるのか、想像つかねーや。時間のムダもいいとこだな」


「いや、全体的に時間の無駄だろ。そんな腹の探り合いみたいな事をしなきゃ、結婚する気になれないなんて可笑しいぜ!?」


「しかも、それって結婚しない人もいるってことですよね?そんな調子で人口は減らないんですか!?」


俺は彼らに、日本での結婚までの流れを話した。

現在、俺がよく分からんダメ出しをくらいまくっている。俺に言うな、日本に言ってくれ。


自由な恋愛という点では一致していたようだ。

だが、明らかに違う。


さっきだって話の流れで、

「結婚してからも上手く行かず、浮気したり不倫したり昼ドラしたりして、最後は離婚することだってある」


と話した。そしたら…


「リコンって何?」


…だそうだ。

カルチャーショックは隙を生じぬ二段構え。

俺にはカタカナで聞こえるその言葉は、俺の名前が『風雅』ではなく『フーガ』と呼ばれるのと同じ感覚だった。

それはつまり、この世界に『離婚』という意味を持つ言葉は存在しないことを示している。

ただし、浮気や不倫は翻訳されたようで、それらの意味が聞かれることはなかった。



──俺の絶叫とほぼ同時に、質問タイムは予定通り終了の時刻を迎えた。


最終的に全体に共有された情報。

地球のキャベツと牛とハーブと木製製品。

それと、カノンの醜態と結婚観の違い。


以上!

なんという質問タイムの無駄遣い!


あの後、歓迎会は第二部に移り、教会でそのまま晩餐会が開催されている。

ありがたいことに、その晩餐会はどちらかといえば宴会と呼べるものだった。


『教会では騒ぐな』なんて言ったのは誰だ?

正しくは『礼拝中は騒ぐな』だってよ。


教会内に12台ものテーブルが出現し、美味しそうな料理で埋め尽くされた。各自が料理を持ち寄ったことでメニューの統一感がまるでない。

だが、それがいい。料理に温かみがある。

どの料理も美味しすぎてフォークが止まらないのだが、赤茶色の飲み物だけは後味がなんだか苦辛かったのであまり飲んでいない。おそらく、この世界独自の味わいだ。


俺はタイミングを見て、全てのテーブルをまわることになっているが、ここはまだ最初のテーブルだ。内容は結婚に関する話題だから、同時に3,4人の会話している。


「なるほどね〜。ようやくさっきフーガ君が戸惑っていた訳が分かったわ。地球とこっちでそんなに違ったんじゃ、むしろ当然ってことね」

「なぁ、リコンのあとはどうなるんだ!?そのままじゃ流石に可哀想すぎるだろ!本当に結ばれるべき相手がいるんだよな!?」

「それで、フーガさんは結局どうしたいんですか?カノンちゃん、本当に運命の相手と思ってますよ?ううん、こんな出会い方してたら、私でもそうとしか思えないです!」


「うーん、どうすればいいのかな……。あっ、離婚したあとに結婚することは有り得ますよ、再婚っていいます。ただ、それで幸せなれるかどうかはまた別であって、神のみぞ知るって感じですね〜」


「アタシも別に結婚しちゃっていいと思うけどね〜。そうすればカノンも自由なわけだし」

「だよな〜。いくら変わっているとはいえ、夢は人それぞれだもんな〜」

「な、なんだって!?でも、まぁ…リコンなんてそんな罰当たりなことしてれば当然か…」

「ふーん…。フーガさんの世界の神様って、ちょっと意地悪なんですね…」


「へー…そうですかね…。いや、意地悪も何も…神様は知ってはいても、教えてくれはしないじゃないですか」


「「「……………えっ」」」


突然、4人が固まった。


「「…えっ…?」」


俺達の会話を聞きながら食事をしていた人達も同様に固まり、静寂が波紋のように広がる。

気がつくと全体の半分近い人間が固まっていた。


誰かの落としたフォークがカランと、木独特の澄んだ音を立て落下する。

その音で全体が静まり返る。事情のわからないテーブルの人たちがザワついているのがよくわかる。


「それ本当!?冗談じゃなくて!?」

「…本当か!?それは」

「なんという…そうか、だから…!」


「!?」


今、俺は何をした!?何て言った!?

神様?神様が…教えて……


「…フーガさん。フーガさんの世界では、…神様ってどんな存在なんですか?」


カノンと同い年だという女子のか細い声が教会に澄み渡る。彼女自身の不安とともに俺への心配が含まれるような声だった。


「…それは人によって違う。

死んだあと天国に行けるように信じて祈りを捧げる存在だったり、合格や成功を願うだけの存在だったり…。

こっちの神様なことは何も知らないけど、…俺にとっては、神様なんて、いてもいなくても変わらない存在だった」


「そう…なんですか」


他の人たちも絶句した。

俺の言葉はかつてない衝撃を与えたようだ。

これまでの呑気さは無い。

あるのは困惑と悲痛だ。


「フーガは神様に会ったこと…ないの?」


皆が振り向くうねりの先には、不思議そうにこちらを見つめる翠の神官がいた。


彼女だけがいつもと変わらない。

その理由は分からない。

だが、分かることはある。


「あぁ、会ったことない。夢に出てきたことはあるけどな」


出てきたのであって、会ったとは根本的に違う。


カノンは神様と直接会って話したことがある。

それも、胡散臭い神様じゃなく本物と。


その予想を《勘》が肯定したのだ。

だから、このあとの展開は分かった。


「じゃあ、神様に会ってみない?これからどうすれば良いのか教えてくれるわ」


大変遅くなりました。思いつきで書けるほど甘くないと知り、自分の力量不足を感じます。


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