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Ice A GE(アイスエイジ)  作者: 重山ローマ
3章 名前を呼んでほしい
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2 始動

 ミドウをナナカが殺した後、エイジは彼女を連れて念のために、生き残りたちが隠れていた家に向かった。

 そこには死体はひとつもなかったが、致死量を超えているであろう出血痕が大量に残されていた。

 おそらく全員が、エッジにやられてしまったのだろう。

 きっとまだ近くを、彷徨っているに違いない。


 そして基地に戻った。

 ヒビキはエイジたちを見て全て察したのだろうか、ワタリのことは聞いてこなかった。

 人の死にはやはり慣れているのだろう。


「これからのことを考えないとな」

「そうですね。マザーの情報も全くないですから」


 食事を終えた後、二人は向かい合って座った。


「エイジ何飲むー?」

「……お茶でいい」

「ヒビキもお茶ね」


 う、と声を詰まらせるヒビキ。

 二人揃ってずいぶん年下になめられたものである。


「そういえば、あいつに調べさせてはいたんだろう?」

「ああ、ナナカですか」


 二人で揃ってお茶を運ぶナナカを見た。


「あの子には初めから期待していませんので」

「なるほどな」

「なによ。あたしだって出来る子なんだからね」


 そうして、色の付いていないお茶を差し出した。

 エイジはひとくち口に含んで、頷く。

 ヒビキは慣れたようにため息をついた。


「お湯だ」

「お茶葉入れること忘れてたの。いいじゃない、温まるのは一緒だし」

「決定的に違うところがあるだろうが……」


 味がないのはなんともいえないところだった。

 確かに、温まりさえすればそれでいいのだけれど。

 エイジはもうナナカの適当さ加減に慣れつつあった。


「こいつに期待していないとなれば、他にも助手がいるのか?」

「ああ、言っていませんでしたね。もう一人いるんです。彼女はとても優秀で、ナナカと二人で行かせたはずなんですが――」

「いつのまにかいなかったの」


 ナナカはいい香りのするコーヒーを口にして言う。

 やはり自分のものだけはしっかりしているようだ。


「連絡がとれなかったのは?」

「充電できる場所が見つからなくて、念のために電源を切っておいたの。もしものときに使えなきゃこまるでしょ?」

「ヒビキ、いいのかこんなので」

「エイジさんさっきも言いましたよ」


 期待していない。

 なるほどこれでは期待しようがないというものである。

 それでも、最低限は役に立つといったところか。

 エイジはお湯を口に含んでため息をついた。


「待てよ。もう一人との連絡もつかないのか?」

「ああ、いえ。彼女は機械に触れないんです。なんと言いますか、すごく不器用なので。だからナナカと一緒にしたんですけども」

「なんだよ二人とも変わらないじゃないか」

「二人とも戦闘能力は高いんですけどね」


 それだから外の世界で生きていけるのだろうが。

 エイジはすでに、ナナカの戦闘能力を知っている。

 片腕だけで頭部を破壊できる握力。

 エイジを超える脚力。

 おそらくエイジは彼女と争っても勝てないだろう。

 決定的ななにかが違うようだった。

 もしかすれば彼女であれば、素手で結晶を破壊できるのかもしれない。


「最終目標はマザーの捕獲として、まずはもう一人と合流したいところだな。もうすでに何か掴んでいるかもしれないんだろ?」

「ええ、期待していいと思います。私は研究を続けますので、外のことは頼みます」


 エイジは席を立つと、思い出したようにヒビキに声をかけた。


「もう一つ調べて欲しいことがあるんだが、いいか?」

「なにか気になることが?」

「氷河期の本当の意味だ」

「本当の意味?」


 ヒビキは腕を組んで考える。


「氷河期まであと5年。ずっと変だなんて思っていなかった。違和感すらなかった。でもおかしいんだよ。A798年9月16日。その日に急に氷河期がくるのか? 今は氷河期じゃないのか?」

「……そうですね。おかしい。なぜいままでそんなことにも気がつかなかったのでしょうか。確かに調べてみる必要がありそうですね。任せてください」

「よし」


 エイジは食器を片付けているナナカに声をかけ、外へ行く準備を始めた。


大変申し訳有りませんが

しばらくの間、投稿間隔をあけさせていただきます


次回の投稿は4月8日21時の予定です

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