No,16 孤児
僕は今、魔獣の巣へ来ている。
目的はディークから貰った混沌魔法の試用と新人祭での一応の攻撃魔法の模索と対策だ。
「さて、やってみますか。」
手のひらの上に混沌魔法を出してみる。その色は混沌とは程遠い虹色を発していた。
この魔法は閃虹魔法と呼ぼう。
《麻痺魔法+旋霧魔法=麻痺霧葬》
これで巣穴に居る奴らは全員眠るだろうな。
――グオオオォ!
成程。下っ端は兎も角、リーダーは流石に耐性位持ってるか。
《閃虹魔法×2=閃虹の雨槍》
虹色の雨粒が敵はおろか地面をも貫く。
これは...魔獣以外には使わない方がいいな。
―――――
「郊外にある魔獣の巣穴討伐、依頼完了です。」
その言葉と共に銀貨5枚を渡された。
これで新しい医学本でも買おうかな〜。
考え事をしながら歩いていると誰かにぶつかられる。
「助けてお兄ちゃん!」
見るとどこからか逃げてきたであろう5人の孤児だった。
「待てお前ら!」
恐らく奴隷商だろう成人男性が追ってくる。
「助けて!」
「お前、こいつらを使って何をする気だ?」
「お前には関係ねぇだろ!」
「いや? あるね。」
相手の足元に金貨を投げる。
「それで足りないか?」
相手は苦虫を噛み潰したような顔をして帰った。
さて、この子達をあそこに連れていくか。
僕が1ヶ月間住んでいた場所。アンギペル国立孤児院。
―――――
「ただいま。院長先生。」
孤児院の扉を開け、そう言うと老人が出迎えた。
「おかえり。また孤児を連れて来たのか?」
「あぁ。よろしく頼む。」
ここは唯一の国立孤児院だからな。
「突然ごめんな、今日からここがきみ達の家だよ。」
それでも僕の影に隠れる子達に少しプレゼントをする。
魔力で自立型の水うさぎを作る。
良かった。子供たちは目を輝かせている。
それ以外にも作ってみよう。猫、クラゲ、大きな犬、と色々作っていると孤児院の子供達も出てきた。
「拾ってきた時の君とは大違いですね。」
突然、院長先生がそう言う。
確かにそうだ。親を殺されて、殺した相手に引き取られて、仲良くなれって方が無理だろう。
「母様のお陰ですよ。」
実際そうだ。母様に引き取られて、あの屋敷で育ってからだいぶ変わった。
「それじゃ、僕はこれで。」
・魔獣について
奈落と呼ばれる大海から来る魔のもの。
穴を掘って種族別の生態系を築くことが多い。
一定以上の知能を持った個体は二足歩行を始め、一定以上の魔力を持った個体は魔族と呼ばれる。
・魔族について
一定以上の知能と魔力を持った魔獣。
魔力が多いほど人間に近くなる。
独自の生態系を築く者も居れば、人間社会に溶け込む者も居る。




