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8.飛び入り

 アミョーは大きい。

 真ん前に立つと私二人半分くらい。

 ……ダチョウくらい? でも、真ん前に立ったことがないから分からない。

 茶色と白のまだらの首が、熱帯のシダ植物みたいな風格で立ってる。

 これでも、前の場所で生まれたばかりで細いほうらしい。

 くちばしはダチョウより長い。先端が細くて下に曲がってる。上くちばしが黄色で下くちばしはちょっと緑がかってる。

 ()(づめ)には、紺色に白い星がいくつも散ってた。


「ポッポキ、初めまして! エーヴェです」


 ストストから教えてもらった名前。

 ポッポキは頭を左右に細かく揺らした。

 リボンみたいな長い四角が頭から飛び出ていく。

 ……どんな気分なんだろ?


「わたしたちは杖とアミョーの蹴爪を足場に乗るんですけど、エーヴェさんはまだ小さいから誰かに乗せてもらったほうがいいでしょうね」


 マレンポーは杖を地面に突き刺し、杖の側面と蹴爪を足場にしてアミョーの背中に乗った。杖を引き抜くと、アミョーは二、三歩進む。


「おちび、ポッポキ、準備がいいなら乗せてやるぞ?」

「エーヴェ、準備いいですよ!」


 システーナに両脇から持ち上げられて、ポッポキの背中の高さになる。


「おわ!」


 ポッポキが羽を広げた。

 端から端まで、三メートルくらいありそう。


「両足を羽の内側に納めます! 人間で言うと脇の下……ですかね」


 システーナがポッポキの背中に降ろしてくれる。

 ふかふかの茶色い羽の下には、薄い筋肉と骨の感触。

 マレンポーの説明を聞きながら、上手いこと足をたらして背をまたぐと、羽がたたまれて体がしっかり守られた。

 視線が高くて怖いかと思ったけど、羽でおおわれてるから安心感。


「あったかいですよ!」

「エーヴェさん、両手はポッポキの羽の付け根をつかんでください」

「ほら、ここの出っ張り。こう手をかけて」


 ペードが側にきて指示する。

 アミョーの肩の骨に手をかけるらしい。


「お、おお?」


 思ったよりずっと位置が低い。

 前傾姿勢で、ロードバイクみたい。

 地面が目に入るから、高さが分かる。


「アミョーが急に止まったら、上手くしないと前に転がり落ちるんだ」

「なんと」

「冗談、冗談。アミョーの首にぶつかるから、しがみつけばいい」


 ペードはからから笑うけど、自分の背より高いから必死にしがみつかなきゃ。


「走っていないうちは、普通に座って大丈夫ですよ」


 ストストに乗ってるニーノは、まだ普通に背を伸ばして、ストストの様子を見てる。

 無表情だけど、ちょっと物珍しそう。  


「あたしも乗りてーなー。こんど乗せてくれよ」

 ――いいぞ。ニーノ、見た目より軽い。みんなでも乗せられるぞ。

「え? じゃあ、あたし乗れんぜ!」

「代わるか」

 ――シス、よかったのじゃ! 重くても乗れるのじゃ!

「よかったぜー!」


 ぴこんぴこんするお屑さまを、またシステーナが受け取る。

 全員でアミョーに乗れます!



「あれ? あいつってお前たちの仲間じゃなかった?」


 カウが指さした先には、アミョーを遠巻きにテーマイが立ってた。

 ナームが気づいて、カウに合図したみたい。


「テーマイ! おはよう!」

「――水が飲みたいなら来るといい」


 ニーノが声をかけると、二、三歩近づいて、考えこむ。

 ほわっと頭の上に白いギザギザ? とげとげ? が浮かんだ。


「マレンポー、あれ、どんな気持ちですか?」

「え……? テーマイさんはまだあんまり知りませんが、たぶん緊張してるけど、何かしたい気分ですね」

「おお! テーマイ、きっと一緒に来たいです」

「テーマイさんは自分で走れそうだから、アミョーについてくればいいですよ」


 テーマイはうろうろして、耳をパタパタ動かす。


 ――どこに行くのじゃ? わしも行くのじゃ。


 ちょうどいいタイミングで、ひょいひょいお骨さまがやってきた。

 ントゥが足下を、縫うように走ってる。

 草むらがきらっと光るから、ペロと追いかけっこしてるみたい。


「おや、テーマイさん、安心したみたいですよ」

「お?」


 マレンポーの言葉に振り向くと、テーマイの上の形はトゲがゆるんで、だんだん広がっていく。色はうっすら黄色っぽい。


 ――おお。おお! 骨さまと走る、楽しみぞ!


 システーナを乗せたストストがいっぱいミモザを飛ばした。

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― 新着の感想 ―
[一言] テーマイとントゥとペロの友情が垣間見えた! あとお骨さまも安心感があるんだろうな。ここまでずっと一緒に旅してきた年月の長さを感じます。 アミョー、乗るとなるとよりダイレクトに生き物の命や逞し…
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