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ゴミとして捨てられた聖女、魔王と手を組み王国に復讐する  作者: ふりっぷ
第二章 王都決戦編

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陥落の代償と、闇の裏切り

ロンデル陥落後、王都では新たな動きが始まる。

王妃であるはずのノリスは、ジギスムントの本心を知り、

すべてを捨てる。

王都ブリューテ。

玉座の間。


ロンデル公国から戻ったジギスムント王は

地図の上に赤い旗を一本、打ち込んだ。


「――ロンデル公国、陥落だ」


満足げにそう告げ、ゆっくりと背筋を伸ばす。

側近たちは一斉に頭を垂れた。


「お見事です、陛下。

 ノリス様も初戦の大戦果、今後も期待したいものですな」


その言葉に、ジギスムントは小さく頷いた。


玉座の脇では、ノリスがワイングラスを傾けている。

艶やかな笑み――しかし、どこか張りがない。


その違和感に、王は気づいた。


「どうした、ノリス。勝利の酒だぞ」


彼女はゆっくりと立ち上がる。


「……おめでとう、ジギスムント」


祝福の言葉は丁寧だったが、声音は冷えていた。


「ただ、少しね。力が弱くなった気がするの」


ジギスムントの眉が、わずかに動く。


「弱くなった?」


「ええ。昨日話した通り、城との接続が切れた。

 私の魔力は、あの城を基点に循環していたから」


王は地図から視線を離し、ノリスを見つめた。


確かに――

ロンデル攻略戦終盤での彼女の力は、

かつてほど圧倒的ではなかった。


裏でこそこそノリスが魔王城に出入りしていたのは把握している。

それでも城を奪われたのか――。


「……あの役立たずに?」


低く呟く。


顔も思い出せない小娘。

ただ、処分済みの失敗作が、ここまで影響するとは思っていなかった。


ノリスの戦力低下は、彼の独裁計画にとって看過できない問題だ。


だがジギスムントは、動揺を表に出さなかった。


「問題ない」


淡々と告げる。


「次はサンドランドだ。

 軍事力は低いが、資源が豊富」


彼は地図の別の地点を指す。


「今回は力押しではない――婚姻による併合を行う。

 サンドランド王女を正妃に迎え、内部から掌握する」


ノリスの瞳が、細くなる。


「……婚姻?」


「そうだ」


ジギスムントは微笑んだ。

冷たく、計算だけで作られた笑み。


「もう、君は側室でいいだろう。

 今後も力は借りるが、正妻には不要だ」


一瞬、空気が凍る。


「負けた魔王には過ぎた扱いだが――。

 ロンデル攻略には役立ったからな」


沈黙。


次の瞬間――

ノリスの表情が、ゆっくりと歪んだ。


怒りでも悲しみでもない。

もっと深い、冷えた感情。


「……そう」


彼女は静かに笑った。


「あなた、最初からそういう男だったわね」


黒い霧が足元から立ち上る。


「安心して。もう、期待しない」


そのまま霧に溶けるように姿を消した。


ジギスムントは追わない。


「行き場を無くして帰ってくるさ」


そう呟き、再び地図へ視線を戻した。


彼はまだ知らない。


ノリスの瞳に、復讐の火が灯ったことを。



魔王城・最下層。


作戦室では、ヒマリとフェルマーが新たな配置図を検討していた。


空間が、わずかに歪む。


黒い霧が滲み出し、一人の女の姿を形作る。


瞬間、魔物たちが武器を構えた。


「待って!」


ヒマリが手を上げる。


ノリスは両手を広げ、敵意がないことを示した。


その表情は、かつての嘲笑や余裕とは違う。


静かで、張りつめた怒りを帯びていた。


「ヒマリ……話があるの」


ヒマリは警戒を崩さず、答える。


「ここは、もうあなたの城じゃない」


「ええ、分かってる」


ノリスは小さく笑った。


「でも、今はそれでいい」


そして、静かに言った。


「……ジギスムントに、騙されていたの」


語られるのは、利用され、

切り捨てられる算段を組まれていたこと。


婚姻という名の政治道具として扱われていた事実。


「力が弱ったら捨てるつもりだったのよ。最初から」


ヒマリは目を細める。


「それで? 私に何をしに来たの」


「手を組まない?

 ――一緒にあの男を殺してやるの」


静かな声。


「あなたは無能女として捨てられた。

 ――少なくとも、あの男にはそう見えていた」


「私は使い捨ての花嫁」


「……あなたに奪われた城なんて、どうでもいい。

 でも、あの男に捨てられたことだけは、許せない」


ノリスの長い睫毛から悔し涙が流れた。


「ヒマリ。あなたが私を終わらせたのなら――

 あなたの手で、あの男も終わらせて」


室内がざわめく。


ノリスは一歩前へ出て――

膝をついた。


敬意でも、忠誠でもない。


怒りのためだけに捨てた誇り。


「……これで信じた?

 この抑えられない怒りをぶつけてやる」


ヒマリはしばらく黙っていたが、

やがて口元に薄い笑みを浮かべた。


「……無能女、昔、それに近いこと書き込まれたっけ」


(……結局、一人じゃ何にも出来ないくせに)


 ――SNSでは頭に来てブロックしまくってたな。


小さく頭を振って、唇を引き締める。

 (今は違う)


「条件がある」


「私の組織に入るなら、あなたの欲望構造を解析する」


「裏切り防止のため、上書きもするわ」


「それでもいい?」


ノリスはゆっくり立ち上がり、楽しそうに笑った。


「いいわ」


「この怒りを、全部ジギスムントに叩きつけられるなら」


こうして――

かつての魔王は、ヒマリの陣営に加わった。


復讐を目的とする、危険で歪んだ同盟。


王の知らぬところで、

彼の支配は、内側から静かに崩れ始めていた。


――物語は、次なる段階へ進む。

ついにノリスがヒマリ側へ。

復讐で繋がる危険な同盟が成立します。

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