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記憶共有的異世界物語  作者: さも
第2章:世界の崩壊
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第8話:禁忌のエルフ

「へぇ~貴方もうそこまで憑依を使いこなしているのね、正直意外だわ」


おかげさんでな...と言ってやりたいがそうじゃない。

完全に気付いたら声が出ていた。


僕の声じゃない。

でも僕が喋った。


「なんだ、完全にコントロールしている訳じゃないのね。だったらそれはそれで恐ろしい話なんだけども....君は憑依についてどこまで知ってるの?」


「ほとんど何も知らない...って、そりゃそうだろ!僕は憑依がなぜ起こったのかすら未だに理解できてないんだぞ?」


声にものすごい違和感が有る。

自分の声がじゃない声が出るという事がこんなに違和感のあるものとは思わなかった。


「そりゃそうね。でも仮に目の前に猛獣が出たとしたら貴方はその猛獣に説明を要求するの?」


「『ねぇ、猛獣さん。貴方は僕を食べるの?』ってね」


煽られた。

ど正論で煽られた。


しかしまぁ、相手が人間である事に感謝しよう。

それこそ憑依の相手が言葉を話せない猛獣だったら僕は一生憑依を理解できないだろうから。


「一応断っとくけど私人間じゃ無いわよ?」


「え?」


「私はこれでも結構上級な神...下級な神なら実体を持っていても不思議じゃないけども、私クラスになればそれに耐えられる物質はなかなか存在しないし、少なくとも人型になるには相当力を押さえる必要がある。今の私は人型に無理やりなっているせいでその本質の半分以下...【運命を司る】部分の少ししか使えないの」


「なんでわざわざそんなこと....」


「まぁ憑依っていう現象が生まれてしまったのは私のせいなわけだし、貴方達に説明してあげないとアンフェアでしょ」


既にこの状況がアンフェアなんだが、気にしたら負けなのだろうか。


「負けね」


考えてることが全部筒抜けなのを忘れていた。


畜生。


「で、その偉大な神様が弱体化までして僕に伝えたかった【憑依】って一体何?」


「憑依は私のミスで生まれた...って話はしたわね?それが何かっていうと、エルフの占いが原因なのよ。これはシュンヤに説明したほうが早いのだろうけど彼は少し理解が悪てね、貴方はバーミアの存在は知ってるわね?」


「あ、あぁ。憑依先の世界の名前だろ?」


同じ声でしゃべっているせいで自問自答している感覚になる。

すごい違和感に耐えながらも、ミレイと名乗った神の説明をなんとか理解しようと必死に頭を回す。


「で、そのバーミアに生きる種族の一人がエルフ...いや、貴方は【記憶を共有】しているのよね?ならわざわざ説明しなくても大丈夫ね」


「で、そのエルフが貴方の存在を予知しちゃってね、異世界の存在がエルフの間で話題になったの。それでエルフはその欲のせいで禁忌を犯した...」


「知識をまとめる...ってやつか?」


「えぇ、といっても彼らがまとめたのは異世界の知識と貴方の人生そのものだけどね」


「バーミアの世界で知識をまとめるのが禁忌になっているのは、【知識を司る神】が制限をかけたのが原因なんだけど、もし制限がかかってなかったら地球は存在していないでしょうね。少なくともバーミアで習得できる知識はそれ程高度なものなの」


「で、そのエルフがその禁忌を犯したせいで完全に運命の概念が狂ったわ。私は必死にも元に戻そうとしたんだけど、禁忌の書のせいでモンスターが大量に生まれた....エルフは禁忌の書が生んだ化物のせいで壊滅寸前...私の担当は主に地球だけど、そのモンスターが地球に来たらそれこそ本当に全てが狂う...だから過去を含めてかなりの期間の運命をごっそり改竄したの」


「エルフが占った運命やまとめた知識も全部曲げた。そして占ってもお互いの世界に干渉できない【ルール】を作り上げたの。そりゃもう大変だったけど、これでほとんどが解決したわ。エルフの絶滅はドワーフと人間の協力で免れられ、人間とエルフの雑種が生まれたおかげで減少しまくっていたエルフもかなりの数を取り戻したの」


「でも一つだけどうしても解決出来なかった事があるの。当時生まれる前から異世界の実験として使用された地球の男の子」


「おい、それって」


「そう、貴方よ俊介。エルフが異世界の存在を知るきっかけとなった人間....。貴方の運命だけはどうあがいても変更出来なかった。彼らは運命に深く干渉しすぎちゃったの。彼らは運命を通り越して宿命の領域に踏み込んでしまった。そうなれば流石の私とてお手上げよ」


「彼らの見つけた異世界との共通点の記述にしっかり書いてあったわ、【異世界には共同体が存在し、コインが表と表になっているような曖昧で複雑な状態で対となっている】ってね」


「今となっちゃそんなルール存在していないのだけども、エルフは貴方の他にも何人かを対なる存在として認識してしまったの」


「【特別個体】が複数出来てしまって、その中の一人が貴方。憑依の正体は【特別個体の運命暴走】って表現すると分かりやすい?」



うん。すごく良く分かった。

すっごおおおおおおおおく良く分かった。

僕がこれほど頭を悩ませる羽目になったのは全部【エルフ】のせいなんだな。


ふぅ.....落ち着いた。


「で、ミレイさんって言ったっけ、あともう一つだけ教えてくれ。あんた最初憑依のコントロールがどうこう言ってたが憑依はコントロール出来るモノなのか?」



「私が教えてあげるのはここまで、後は自分の目で調べることね」


ミレイ・ノルヴァがそうつぶやくと立ちくらみに似た視覚障害が起こり、意識がフッと消えた。



▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲


気が付くと保健室にいた。

隣で奈恵が読書をしていた。


さっきのことがあったばっかりで正直頭がまともに回っていない。

しかし気のせいだろうか、体がやけに軽い。


「あ!俊介気付いた?大丈夫ぅ?悪い夢でもみたぁ?うなされてたよ?」


前言撤回。体が軽くても俺の精神は重いままだ。







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