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記憶共有的異世界物語  作者: さも
第1章:白紙の少女
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第7話:白紙の少女

「い、いや、その」


しまった。動揺が口に出た。

こいつにこれ以上の動揺を悟られるのはマズイ。


とりあえずここはテキトーな理由をホラ吹いて....思いつかねぇええええええええええ。


「ほ、ほら。ここ最近オカルトにはまってさ、【実践憑依術!】って教材を買おううとしたら、変な宗教団体から勧誘のチラシが毎日届くようになってさ、それが急に来なくなったから何しているんだろうなぁ~って...ハハハ」


どうだ?行けたか?


「もぅ~そうやって俊介は私に隠し事するんだぁ?」


ダメでした。

じゃぁどう言い訳すればいいんだホント。


下手にシュンヤのことをしゃべるとどんな事態に発展するか想像すらつかない。

向こうは魔法なんて概念があるし、異世界から人が入ってくることも珍しい事じゃない様だ。

だからこそシュンヤは僕の存在を周りの人間に堂々と喋れたんだ。


能力に恵まれるだけに留まらず、生まれる世界にさえ恵まれるってどういう状況だよ全く....。


仕方ない。


僕は深い溜息を一発ついて、自身の気分を落ち着かせた。

自分に落ち着けと自己暗示をかけて、頭の思考回路を一度リセットした。


これでいい。


「いや、別に隠し事ってわけじゃない。恋愛とかのくだらない事じゃなくて、普通に死活問題の話なんだ。だからこそ下手に人に話せない、でも僕の脳じゃ今の状況を理解しきれない。だからこそ人からアドバイスをもらいたかった....それだけの話だ。変に心配かけて悪かったな」


ありがたいことにベストアンサーが出た。

そうだよ、何も嘘をつく必要は無い。


「そんな言われ方したら逆に気になるんですけどぉ~?ほらほら、私にだけ特別にぃ~」


そう言ってワクワクしているように....いや、メシウマしているように顔を近づけて来た奈恵のその笑顔を見ながら、急に意識が薄くなっていくのを感じた。


おい待て、これって...。

このタイミングで来ちまうのか...【憑依】。

頼むから下手なこと口走らないでくれよ...シュンヤ...。




***



辺は暗い部屋。

いや、暗すぎて屋根や地面があるのかさえ分からない。

それ程真っ暗な空間。


一体シュンヤはどこに来たのだろうか?



!!?



手が動かない、足が動かせない。

体が重いとか言った事じゃなく、体そのものが【動かない】。


視界が動かせない、眼球が動く感覚が無い。


ギシギシと古び腐った木を踏みしめる足音が聞こえるが、自分の意思で動いている感覚はない。


「ミレイ様、お時間です」



目の前に一人の男が現れた。

ミレイ様?僕を指しているのか?


「えぇ、分かってる。すぐ支度するって伝えといて」


!!?

無意識に声が出た。

というか声すら出せない事に気付いた。


現れたその男はこちらに一礼し、闇の中に消えていった。


「はい、これでここにいるのは私と貴方だけ」


「俊介君....だっけ?君にここに来てもらったのは他でもない...【憑依】についてよ」


正直思考が止まっている。

何を考えたらいいかすらわからない。


しかしひとつだけ分かる事がある。


こいつは...【害】だ。

本能がそう言っている。


未だにしゃべれない。

そして僕が何故か憑依したこいつはシュンヤではない。


ミレイ...と呼ばれていたか?

鏡のようなものがあれば何程現状を理解できることか。

人間は情報が少ないというだけでこうも思考を制限される生き物なのだろうか。


全く思考が働かない


「ちょうど困惑している頃かしら?だけどね俊介君。この世界にはキミが何をしようが逆らうことの出来ない絶対的な力ってのが存在するの」


「それが私、【時と運命を司る女神】。ミレイ・ノルヴァ」


絶対的な力?女神?

訳のわからない事が続きまくっている。

思考停止のさらに先は思考再開だった。

結局のところ僕が人間でいる限り、許されるのは考えるか考えないかの二択だけか。

本当に面白い生物だ。


ならば考えた先の【答え】をこのお力様に見せつけてやる必要があるようだ。

ナメるなよクソ女神。

こちとら適応力に関しては人一倍の自信があるんだ。


「君をわざわざ呼んだのは、大きく分けて2つの意味が有る、一つは謝罪、もう一つは警告」


謝罪?警告?


いや、今はそんなことはどうでも...。


「いいから聞きなさい」


!!?

考えてる事が読まれた?


「さっきから全部丸聞こえよ、痛いから止めて」


....


「いい?君はもう気づいてると思うけど君とシュンヤは君達が生まれた時から共同体になっているの」


「そしてその共同体になっているのは私のミス...なんだけど聞きたい?」


いや、何の話ししているのか...じゃなくて...。

待て待て、思考でまでテンパってどうする。


そりゃ聞きたい、僕は人間だ。

情報がなくては思考が働かない。


「そうね、私はこれでも女神、時と運命を司っているからこそ、その概念は私と言い換えられるの。だから私の持つ能力は、貴方達が普段使用している時間や運命と同じなの。暦は進むでしょう?縁は巡るでしょう?それが私」


「でも、この世界に存在する【生物】って奴らはみんな私に抗おうとする。他の神もみんな口を揃えてそう言っているわ、人と呼ばれる種族はタイムマシン理論だのなんだので時間軸を歪ませてくるし、エルフと呼ばれる種族は高度な占いの技術だのなんだのって確定された未来を予測しては壊してくの」


「そんなことされると流石の神も狂いが出てね、その狂いの一つが貴方。おめでとう、時と運命を司る女神初の失敗が貴方よ。誇ってもいいんじゃないかしら?」


あ?

心の底からその言葉が出た。

そりゃそうなる。

困惑と怒りが同時に湧き上がっている。

ミレイ・ノルヴァと名乗った女神が僕にものすごい上から目線でグダグダと何かをしゃべっている。


「じゃぁ、僕が憑依を体験し始めたのは...」


!!?


声が出た....。

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