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記憶共有的異世界物語  作者: さも
第6章:真の預言者
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第47話:加護の宝玉

未来に帰った後のプランはざっくりとは言え練ってあった。

トウと合流して戦力を固め、エルフ探しをする...と言ったものだ。

しかし問題はニーナ・ノルヴァの言った通り【記憶】の方だ。


僕の予想が完全に的中していて、記憶共有現象が起こったとしよう。

そうすると過去の僕等に今の僕等の記憶が流れていく事になる。


ナエラが死んでしまうこと、冬弥が憑依されること等色々な情報が向こうに行ってしまえば未来が変わってしまう。


それはミレイ・ノルヴァに対する敵対を意味するし、同時に未来が変わったことによって出来た別時間軸の僕等がどんな行動を取るか予想もつかないという危険性もある。

それでこちらの時間軸に干渉でもされたらたまったものじゃない。


考えれば考えるほどにこの作戦は非合理的で不毛に思えてくる。


僕がそんな事を考えているとミレイ・ノルヴァは大きな溜息を付いた。


「私が何処でこの会議をしてる事を知ったと思う?」


「え?」


「質問の仕方が悪かったわね、私がなんで鍵を渡したと思う?」


どうして僕にあの鍵を渡したか?

ナエラの罪滅ぼしか?


「私たちの目的を知ったからですか?」


奈恵が答えを出した。

が、それは違う気がする。


「違うわ、理由は簡単。貴方達がシュンヤをこっちの世界に移してる時に実は一度未来から来訪者が来たのよ」


場の空気が一瞬固まった。

全員の理解が追いつかなかったのだ。


この場にいた全員。

僕、シュンヤ、冬弥、奈恵、馬場さんに至るまで全員が理解できなかった。


「まさかそれって...」


一番最初に口を開いたのは馬場さんだった。


「えぇ、貴方達よ」


「思いっきり時間軸を歪ませられたからそれの修正作業で忙しかったんだけど、そのタイミングでナエラちゃんが瀕死状態まで追い込まれるものだから...」


奈恵は苦い顔をしていたが、同時に何かに納得するような顔をしていた。


「待て、僕とシュンヤはどっちもその未来の僕等の記憶を持ってない。って事は未来の僕等はバーミアに行けなかったのか?」


「行けたよ?貴方の読み通り記憶もしっかり共有された。記憶がないのは、ホラ」


そう言ってミレイ・ノルヴァはニーナ・ノルヴァを指差して、ニーナ・ノルヴァは誇らしそうにしていた。


「記憶を司る女神...」


ここまで来て全てに合致が行ったのだが、他のみんなはそうはいかなかったようだ。

困惑故に苦い顔をしていたが、まぁ実際に僕等がバーミアに行くことになれば全て理解するだろう。


「ニーナ。分かってるね?」


「はい。姉様」


そう言うとニーナ・ノルヴァはスッと消えた。

理解できないことと理解できたことが交互に頭の中を行ったり来たりする。

この奇妙な感覚にもだいぶ【慣れ】が来た。


人間とは本当に【慣れる生き物】だ。


「あ、そうだ」


シュンヤが口を開いた。


「ミレイさん、あんたグリシア・ヴァレンって知ってるよな?」


ミレイ・ノルヴァの目の前には何処から持ってきたのかコーヒーが置いてあり、ミレイ・ノルヴァはそのコーヒーを一口含んだ。


「その名前を何処で?」


「やっぱり名前は知ってた...って事はあいつの言ってた事は嘘ではないのか...」


ミレイ・ノルヴァはシュンヤを冷たく睨んだが、その目からはさっき感じた怯えの感情がハッキリ見えた。

どうやら彼女はヴァレン家の人間が僕等に接触することを恐れていた様だ。


「ついさっき俊介が彼女に襲われたんだよ、ほんの数時間前さ」


ミレイ・ノルヴァの表情はより一層険しくなり、コーヒーを一口含んだ。

フゥ...とひとつ大きな溜息をついて、今度はこっちを睨んできた。


「貴方よく生きてたわね、私の側近はバッサバッサ殺されたって言うのに...」


「純也のおかげだよ。本当に助かった」


ミレイ・ノルヴァは何かを考えるような仕草をしていたが、その答えはすぐに出たようだった。


「貴方からステンエギジスって単語が出た時点でなんとなく分かってたけど、貴方本当に純也を憑かせてるのね」


「あ、あぁ」


「それが裏目に出ないことを祈ってるわ」


ミレイ・ノルヴァから出た不穏すぎる言葉は、僕を恐怖させるのに十分なモノだったが、しかし今僕の持つ【決意】の前ではそれさえ心地よく感じられた。


「にしてもグリシアが来たのね....」


「割と瞬殺だったけどな」


シュンヤが半笑いでそう言うと、ミレイ・ノルヴァは殺気まみれの眼光で睨んだ。

シュンヤはシュンと身を縮めたのだが、この一連の流れがコントのようでクスッと来てしまった。


「ヴァレン家が貴方達に敵対してしまったって事は貴方達の本当の敵はエルフじゃなくてヴァレン家の追っ手になりそうね」


そんな話をしていると、ニーナ・ノルヴァが再び現れた。


「持ってきました、姉様」


ニーナ・ノルヴァの手には光る宝玉のようなモノが握られていた。


「これは一種の【加護】。貴方達がヴァレン家に狙われるようになるって事は、ノルヴァ家としてもあまり好ましくないの。だからノルヴァ家は貴方達を【守る】事にしたわ」



そうしてミレイ・ノルヴァはその宝玉を差し出してきた。


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