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記憶共有的異世界物語  作者: さも
第1章:白紙の少女
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第2話:悪夢

記憶に続きが出来上がっていた。

向こうではあの女性の呼びかけで僕はシュンヤを取り戻した~みたいなことになっているようだ。

仮に僕の意識が向こうの世界に行ってる時に現実の僕の体を操作していたのがシュンヤだとしたら、もしそう考えるなら一つの恐ろしい結論に達する。


【僕とシュンヤは一心同体で、別世界を何かしらのチカラで結んでいる】


曖昧だ。

この解釈の仕方はものすごく曖昧だ。

でも正直これ以上のベストアンサーが思いつかない。


僕は高度な妄想癖を持ち、不眠症でそれでいて統合失調...みたいなのが一番現実的だが、流石にそこまでボロボロだってのはありえない。


僕と一緒に成長しているように感じていたその記憶は本当に一緒に成長していて、向こうも僕と同じ状況だった...と考えるとすべて説明がつく。

仮に妄想癖だったとしたらどこか矛盾するだろうが、どこにも矛盾は見当たらない。


【別世界】の存在を認めなくては始まらないし、僕は【別世界】を一度【経験】したのだ。

いつ向こうの世界に飛ばされるか分からない以上、警戒や脳内シミュレーションはしっかり練っておかないといけない。


「なぁさっきからボーッとしてどうしたよ。本当に大丈夫かい?」


「いや、大丈夫だ。昨日ちょっと嫌な夢を見てな」


「どんな?」


「詳しいことは覚えてないんだが、不快感だけが残る夢....」


嘘だ。夢の内容はハッキリ覚えている。でもこれを人に伝えるのはどうしてもしたくなかった。

それが原因で面倒な事に発展する可能性が高すぎるからだ。


「そうか。災難だったね」


その瞬間、視界にブロックノイズの様なものが走った。

フフフフと女性の笑い声のようなものが聞こえ、意識がうっすらと薄れていった。

==========================

空が緑。雲が赤。


さっきまで学校にいたはずなのに、気付くと外にいた。


また来てしまった様だ。

辺に人はおらず、正真正銘の一人ぼっちだった。


もうこれでハッキリした。

妄想癖では無いのだと。

夢では無いのだと。


これで本当に認めざるを得なくなったわけだが、問題は認めた後だ。

認めたら何になる?次はどうしたらいいんだ?


互いに存在を認め合う事ができればコミュニケーションだって取れるはずだ。

僕は地面に落ちていた枝を拾い、地面に文字を書き連ねた。


『 もし貴方がこれを読んでいるのなら、恐らく貴方はシュンヤなのでしょう。


私は俊介。貴方の記憶の中にいるであろう人物です。


貴方は私のことを周りの人間に伝えているようですが、私は伝えていません。


私の世界の人間が相手だと【痛いなこいつ】で片付けられてしまうからです。


だからこそ私はこの事を誰にも相談できておらず、貴方やそのお仲間を羨ましく思います。


そこで私は是非ともあなたとコミュニケーションをとりたい。


形はどうであれ返答が帰ってくることを心から祈っています ー俊介ー 』


これでこちら側の意図が伝わってくれればいいな。と思いながら、僕はその場に座り込んだ。

それほど長い時間こちらに滞在できなさそうだったから座って待とうと思った。


ちょうどその時だ。

ドス...ドス...と地面が揺らぐような音が聞こえ、目の前に地球では考えられないような化物が現れた。

緑色の体、2本の角。中途半端に生えた黄色の髪。どこをどう見たって完全な化物だった。


ヴゥ....ヴゥ....と唸り続けるその化物から敵意を感じた。

人食いの化物。本当に認めたくない世界だ。


逃げようと思ったが、気づいた頃には囲まれていた。

幻術のようにも見えたが、その全ての個体に実体があるようだった。


同じ顔と見た目をした化物に今にも食われそうになっている...か。

笑えねぇ。


幸いな事に体は軽く、地球の数倍以上の力が出せた。

ちょっと力を入れてジャンプするだけで圧倒的な跳躍力が確認できた。なにより動体視力が地球の比じゃないぐらいに跳ね上がってることも確認できた。


シュンヤに感嘆しながらも、使える武器が一つもないこの状態を、体術だけで乗り越えなくてはならない。


嫌な予感の裏に、なんとも言えない自信がある。

自分を信じてみよう。

いや、シュンヤの力を信じてみよう。


跳躍力と腕力はものすごく高く、化物に殴りを入れるとすごく飛んだ。

空を飛び、急降下しながら殴るその感覚はものすごく気持ちよく、ドーパミンがドバドバ漏れ出した。


生まれて初めての感覚。

生まれて初めて拳を生物に向けて、生まれて初めて風を切る感覚を味わった。

そう、生まれて初めての感覚。


それが仇となった。


跳躍力を利用して空中戦の様な戦いになっていたのだが、着地地点で足をさらわれた。


足を掴まれ引きづられた。

マズイ。


さっきまで感じていたドーパミンは一瞬で消えた。

恐ろしいまでの恐怖を味わっている。


怖い。


死にたくない。


喰われたくない。


あぁ、すごい勢いで化物が増えていく....。

恐怖を感じると強がるタイプの人間だと思っていたが、ある一定の恐怖を超えるとどうやら何もできなくなるようだ。


笑えない。


というかこれマジで....。



マズくね?

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