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記憶共有的異世界物語  作者: さも
第4章:記憶を司る神
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第26話:致命的なミス

彼が右手を動かすと同時に、僕は説明しようのないワクワク感に駆られていた。

最初は不思議だった。

彼は自分の能力を知っていたが、僕はその能力を知らなかったし彼の記憶にも存在していなかった。


そんな正体不明の能力に、説明しようのないワクワク感があっても何ら不思議じゃない。


【ウッドソード】


彼がそう唱えるのと同時に、机の一部がぐにゃりと歪んだ。

次の瞬間、歪んだように見えた机は茶色の液体となって地面にポタポタと落ちた。


「個体を液体に変える能力か?」


「いや、違う。この能力には続きがあるんだ」


そう言ってシュンヤはその液体を指さした。

液体は波紋を広げ、波紋の中心から一本の芯が現れた。

その芯は木剣を形作って、シュンヤの手にフィットした。


「俺はこの能力を直感で【ウッドソード】って呼んだんだけれども、俺自身この能力について詳しくは知らない」


「何時頃からできるようになったんだ?お前にそんな記憶はないはずなんだが...」


「どうだろうか、目が覚めたら使える事に気付いた...さっき使ったのが初めてだよ」


さっぱり分からない。

彼は直感で能力の存在と使い方を理解していたようだが、そんな事が可能なのか?

いや、可能性として考えられることが有る。


「お前が意識保ってたのってチュラル村でエルフと対峙してたところまでだよな?」


「それについてなんだけどさ、俺ってどうなったの?急にこっちの世界に体ごと転移されたと思ったら、知らない能力が使えるようになってたりで滅茶苦茶困惑してるんだけど...」


こっちの質問を取られてしまった。


「エルフの操り人形にさせられて、【禁忌の書】の運命通りにさせられそうになってた...って言ってもわかんねぇよな、多分能力が身に付いたのはその操り人形中なんだろうけど一体何があったんだよ」


「知らん」


「知ってる」


そんな不毛な会話を繰り返しながら、僕はある一つの仮説に頭を悩ませていた。

シュンヤの能力は、誰か他の神に取り憑かれたものなんじゃないかと言ったモノだ。

しかし僕と違いシュンヤに目立った身体的特徴の変化は見受けられない。

仮にその説が正しかったとして、一体何のために行ったかが分からない。


シュンヤは直感でその能力を理解していた。

だからこそ誰かに取り憑かれたと考えるのが自然なのだが、逆に考えてみよう。

シュンヤが元からその能力を持っていた可能性だ。


シュンヤ自身が【直感】と表現したという事は、体が覚えていたと言い換えられるだろう。

そう言い換えたならば、生まれ持っていた能力がエルフからの護衛反応で開花したなんて事だって可能性としては十二分にある。


僕が何故そこまで自信たっぷりか不思議に思うだろう。でも答えは簡単だ。


【ウッドソード】


シュンヤの持っていた木の剣は再び液体に戻り、その波紋から出た芯は再び剣の形を取り戻し、僕の手に収まった。

シュンヤと奈恵は目を丸くしてこちらを向いていたが、僕にとってはなんら不思議ではなかった。


「どうやら僕も出来るみたいだ、君の体感記憶を再現してみたんだけど、どうかな?」


「いや、普通に驚いた。俺には君のなんだっけ?【ステンエギジス】?は使えそうにないってのに...」


僕も彼と同じ能力を使えるからだ。

僕も彼と同じ能力を使えるからこそ、有力に思えた別の人物による取り憑き説が薄れていたのだ。

取り憑きの影響が僕の所にまで及んでいるのかと思ったが、そうだとしたらシュンヤに【ステンエギジス】が使えなくてはおかしい。


純也は自分を悪くは評価していなかったから、恐らくそうだ。


【ウッドソード・ステンエギジス】


右手に持っていた木の剣は消滅し、空間の歪みから木彫りの熊として再出現した。

どうやら【存在】を消した後の世界で変換する事が出来るらしい。

そして変換したものを【出現】させた。


「どうやら応用も利くみたいだな」


「なんかお前だけずるいな、それ」


「まぁ現役の神の加護だし...」


記憶を共有しているシュンヤには説明しなくても話が通るから楽でいい。

しかし奈恵は、理解と理解しきれない部分が合わさって、今にも頭がパンクしそうな顔をしていた。


「ところでエルフってどうやってこっちの世界に来るつもりなのかしらね」


奈恵の発言に、一瞬空気が凍った。

そういえばそうだ。

そもそも論だ。

そもそも、エルフに可能な事と言えばこちらの世界を見る事だけで、干渉までは出来ない。

一体どうやって僕等を狙うつもりだったのだろうか。


もっと気になるのが、ナエラのかけた睡眠魔法だ。

エルフの売りは高度な魔法技術だ。

いくら優秀な魔法使いと言えど、エルフの魔法をそう簡単にくぐり抜けられるのだろうか。


神の加護が優秀だったから思い通りこちらの世界にシュンヤを持ってこれたのだとばかり思っていたが、もしかして僕は何か重大なミスを犯してるのではなかろうか...。



物凄い悪寒がする。


後書きから失礼します。【さも】です。

いよいよ第4章が始まり、3章をプロット持たずに書いたせいで4章と5章のプロットを書き換える羽目になりました(半ギレ)

まぁそんなこんなで始まった第4章なのですが、シュンヤは何故【ウッドソード】を使えるようになったのでしょうか?

エルフはどうしてシュンヤをあっさり手放したのでしょうか?


色々な謎が深まる中での4章です。どうぞお楽しみに!

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