第28話(3)
ー三毛が動画を送信しましたー
「はい、こちらは大盛り上がりの春祭り会場でございまーす!去年SNSで話題になったこともあり、今年は更に多くの人が訪れているようです!」
[Q.去年の春祭りも参加しましたか?]
「あ、しましたー。去年マジで飯美味かったんで、今年も絶対行こうと思って。今回はキッチンカーがメインらしいって聞いて、春祭りのチラシとか見ながら色々まわる予定っす」(10代男性)
[Q.商店街の雰囲気はどうですか?]
「地元民なんですけど、なんか今みたいに新しい世代の人たちが動くまではちょっと行きづらいっていうか、自分みたいな若いのが入っていいのかなー?って思っちゃう感じだったんですけど」(20代女性)
「今ホント娘さんとかお孫さんとかいわゆる次世代の人たちが継いだお店が多くって。ご飯もお菓子も美味しいし、SNSもOKで、気軽に入りやすいしめっちゃ好きです](30代女性)
[Q.何を食べましたか?]
「キッチンカーで総菜クレープ買いました。サーモンカツ入ってるんですけど、すっごい美味しいですこれ」(30代男性)
「お好み焼き屋さんで、関西風のお好み焼きと広島風のお好み焼きどっちも買いました。丁度良い量半分ずつ食べれて嬉しいですね」(50代女性)
「パニーニ買いましたー!店主さんがイケメンでサイコーでした!!パニーニも超うまい!」(10代女性)
「キッチンカーでライスバーガーっていうのがあって、生姜焼き味があったので買いました。うふふ、美味しそうで」(60代女性)
「焼き鳥と牛串です。あとライスバーガー屋さんで豚キムチバーガーと…フルーツジュース屋さんでバナナスムージー買いました」(40代男性)
「フライドチキンのお店でヤンニョムチキンとカリカリポテト買いました。優勝!」(20代男性)
「料亭のね、はなやぎ弁当ってのを買ってね。あとで持って帰ってばあさんと一緒にね、食うんです」(70代男性)
「と、いうわけでですね!このようにキッチンカーをメインに出店しております今回の春祭りですが!
なんと今年は、キッチンカーを巡って集めよう!商店街シールラリー!という企画がメインに行われるようです!」
『今回のイベントも商店街の皆で企画し、協力して行っています。お陰様でキッチンカーでの出店を望まれることが増え、今年はそれを生かしたイベントを開催することになりました』
「お祭りが終わるまでに8枚シールを集めたら、商店街のグッズがもらえるということですね!」
『はい。シール1枚からグッズをお持ち帰り頂けます。こちらのグッズ引き換え所で引き換えてもらいます』
「こんなにかわいいグッズがもらえるなんて!枚数に応じてもらえるグッズが変わるようで、商店街のキャラクターがあしらわれていますね!」
『はい。プレゼントするグッズには全て作成したお店の名前を記載していますので、是非お店の方にも足を運んでいただけたらと思っています』
「鉛筆、ぬいぐるみ、木のスプーンとお箸とコップ、フェイスタオル、コインケース、レジャーシート、トートバッグ、保冷バッグ!どれもセンスが良くてとっても可愛らしいですね!」
『ありがとうございます』
「先ほど既にフェイスタオルをゲットして首にかけていらっしゃる方を発見しました!イベントが盛り上がっている証拠だと思いますが、いかかですか?」
『皆で時間をかけて練ってきた企画ですので、とても嬉しく思っています。夜からももう一つのメイン企画[丼!丼!鉢!鉢!(ドンドン!パチパチ!)]が始まりますので、ご興味のある方は是非お立ち寄りください』
「そうなんです!今年はメインの企画が何と2つ!夜からは前回活躍したプレートを使用したテイクアウトイベントが行われます!」
『肉屋と魚屋が主体となって、計16種類の丼と鉢が提供されます。お腹を空かせてご参加ください』
「三毛さん、まだまだ盛り上がっている春祭りですが!今年も来場された方々へ最後に一言お願いします!」
『前年度話題にしていただいたことで、今年は更にたくさんの方々がお越しくださっています。伝統の春祭りを盛り上げていただき感謝します。少しでも満足してもらえるよう我々も精一杯努めますので、是非奮ってご参加ください』
三毛
〔というわけで、今年も代表してテレビのインタビューを受けてきた〕
〔去年よりも余裕を持って受け答えができたように思う。だが、やはり今年も一つだけ謝りたいことがある〕
〔俺はあの時〕
〔緊張のあまり社会の窓が全開だった しかも白いズボンに赤色のパンツが良く映えていた〕
〔テレビを見ていた全ての人に見たくもないものを見せてしまったことを、無意味だとしても此処で謝らせてほしい〕
〔広報担当にあるまじき行為だったと思う。本当にすまなかった〕
おその
〔前回よりえげつないやらかしで草も生えません〕
〔何やってんのお前は…〕
〔赤色のパンツが良く映えていた じゃないのよ〕
RisukE
〔まさかお前…!前回で味を占めて、出すもんなくてパンツ出したんじゃないだろうなぁ!俺の鼻クソよりひどいぞそれは!〕
おその
〔出すもんなくてパンツ出すってどういうこと?〕
〔パセリの次がパンツってあのさぁ 公共放送で本気出しすぎでしょ もう次出るもんないでしょ〕
〔あと三毛のパンツより理助の鼻くそ見る方がキツいけど普通に〕
RisukE
〔はぁぁぁ?!!俺の鼻クソより三毛のパンツの方が良いってのかよチクショー!〕
〔あっちは出しちゃいけないもん出してるんだぞ?!俺のは自然現象なのに!勝てないワケないだろ!〕
おその
〔倫理的にはそうかもしれないけど、汚さで圧倒的に負けてるわ〕
三毛
〔前回のパセリは思ったより誰も触れなくて安心しているんだが〕
〔今回のパンツは誰かがきっと言うだろうな…〕
〔春祭り大成功を祈って赤いパンツを履いてしまったが故に、公共の場でまるで見てくれと主張するような形になってしまった…〕
〔商店街の代表として答えたのに、とんでもないところを露出してしまって本当に済まない…〕
おその
〔そんな理由で赤いパンツを…〕
〔お前は良い奴だよ本当に…〕
RisukE
〔ちなみに春祭りのBGMで今年もインタビュー受けたけど、今回は俺大丈夫だったから!ちゃんと鼻クソ確認して出たから!〕
ーさつまいもが動画を送信しましたー
「さぁ、今年の春祭りでもBGMを作成されたクリエイターの理助さんです!今回はどんなイメージで作りましたか?」
『えっとぉ、前回がさわやかーな感じだったんで、今年もそんなテイストを一つと、あと太鼓の音が入ってるようなザ・祭り!って感じのも仕上げました!夜からの丼鉢企画ではさらにさらに盛り上がってノリノリになれる感じのを一つ作ってますんで!楽しみにしてもらえたら!』
「お祭りでBGMが好評を受けるというのは中々ないことだと思いますが、理助さんのBGMはとても耳心地が良いですよね!前回同様既に話題に上がっていますが、いかがですか?」
『なんかぁ、やっぱりそういうのって有難いことだと思うんで、じゃんじゃん活躍して、色んな人に聞いてもらえたら嬉しいなって思ってます!ありがてぇっす!』
「はい!そんな理助さんの作成したBGMは動画投稿サイトからも聞くことができます!では以上、クリエイターの理助さんでした!」
おその
〔ひょ、ひょえぇぇぇぇぇぇ 鼻毛が出てるぅぅぅぅ…!〕
RisukE
〔あ、あれ?!マジじゃん!!うわー!鼻クソしか気にしてなかったから鼻毛出てるって思わなかったー!やべー!〕
さつまいも
〔今年は大丈夫だったかな?って見てたら案の定でしたわ〕
〔何か大成功お祈り赤パンツマンと、鼻毛丸出しマンいない?〕
おその
〔薩摩おつー〕
〔勘違い鼻くそマンからの鼻毛丸出しマンはさすがに草〕
さつまいも
〔そのおつー〕
〔鼻クソ気にしすぎて鼻毛見えてないの本当意味分かんなさ過ぎて〕
RisukE
〔よしよし鼻クソオッケー!って思ってたら鼻毛出てたなんてびっくりだわ!!〕
〔いつも出てるからあんま気になんなかったのかもなー〕
おその
〔確かに、たまに両鼻から出てることあるもんね…〕
さつまいも
〔気になんなかったのかもなーって何でちょっと他人事なの?〕
〔マジで両鼻から出てるのやばすぎでしょ 鏡知らないの?〕
RisukE
〔あ、鋭利なツッコミやめてねー〕
〔ひげだけはちゃんと毎朝剃ってるよーん〕
さつまいも
〔じゃぁついでに鼻毛も処理しといてねー〕
三毛
〔お疲れ、薩摩〕
〔今回の件は前回に引き続き本当に済まなかったと思っている〕
〔大成功お祈り赤パンツマンなど呼ばれても仕方がない 甘んじて受け入れよう〕
さつまいも
〔あのさぁ あんだけ真っ白なズボン履いて社会の窓全開にしてたらスタッフの人絶対誰か気付いてくれたでしょ〕
〔まさか今回もやらかしたんじゃないでしょうね〕
三毛
〔違うんだ、聞いてくれ スタッフの人が声をかけてくれなかったわけでも、俺が誰かの指摘を無視したわけでもないんだ〕
〔インタビュー直前にトイレに行きたくなって〕
〔慌ててトイレから戻ったら中継3秒前だったんだ…〕
おその
〔悲しそうなのが余計笑えるんですが〕
〔三毛にとっては笑えないよな…ごめんな…〕
〔広報担当来年から変わってあげたいけど、次は何してくれるんだろうってちょっと期待してる自分がいる〕
さつまいも
〔ま 三毛のパンツのお陰で今年の春祭りもきっと大成功間違いなしですわ〕
おその
〔去年は三毛の前歯についたパセリで、今回は白パンツに良く映えた赤パンツが大成功の兆しです、か…〕
〔あのさぁ、もうちょっと良い象徴くれない?〕
三毛
〔すまない…〕
さつまいも
〔まぁまぁ、三毛らしくて良いと思うよ〕
三毛
〔さて、ひとまず謝罪は済んだ〕
〔夜の丼鉢イベントまでまだまだ時間は有る 無理をせず、今年も最後まで乗り切ろう〕
おその
〔はーい〕
さつまいも
〔がんばりまっしょーい〕
RisukE
〔マジでさぁ、皆で協力して色々イベントやってんの楽しいわ!!〕
〔いつもありがとな皆!!〕
三毛
〔皆のお陰で今がある〕
〔こちらこそ、いつもありがとう〕
さつまいも
〔あんたたち、鼻毛とパンツ出てるだけあって性根が正直でいいね〕
〔楽しいイベントいつもありがとね〕
おその
〔鼻毛とパンツは関係ないと思うけど、本当におかげで毎日楽しいよ〕
〔みんな ありがとねー〕
「てなわけで、じゃーん!」
ーーー活気で賑わう、春祭り会場にて。
無事にランチを購入した面々は、イートインスペースにて集まっていた。
様々なところがイートインとして開放されており、SNSでもどの場所にどんな席が有るのか写真で確認できるようになっている。
だらだらと席に座るだけの人がいないよう、商店街スタッフが各場所を飲食店同様に管理しており、席が空けば綺麗に拭いて次に待っている人を案内。
大人数用のスペースで順番待ちしていた潮達は、空いたテーブルに着席して早速食事を広げた。
「パニーニ配りまーす」
「クレープ買った人ー」
「お好み焼き買った人~!」
「ライスバーガー買った人!」
「フルーツジュース配るね」
「フライドチキンとポテトー!!!」
「他にもこまごま買ってるから、広げとくよ」
「わーい!」
それぞれ購入したものを目の前に並べ、早速手を合わせる。
「いただきまーす!」と元気に合掌して、それぞれ好きなものを口へと運んだ。
「うわーーー!!!パニーニう゛ますぎるぅぅぅぅぅぅ」
「おい、公共の場だぞ。声抑えろ?」
「ごめん!!でもうまいいぃぃぃ」
「パニーニ本当美味しい~!農家カフェ最高~!」
「農家カフェが開店したら、このパニーニがいつでも食べられるってこと?俺めっちゃ通っちゃうなぁ」
「それはそれは、バンビが喜びますな。さて、私はクレープでも食べますか…おっほ、サーモンカツうんまー」
「お好み焼きおいしー!萌、どっちも好き!」
「美味しいね。新キャベツしゃきしゃき…ソースの味も好き。また買いに行こう」
「ライスバーガーうんまいっすわコレ。オムライスバーガーかわいいし最高」
「オムライスバーガーまじで美味そうなんだけど。今度絶対買いに行こ」
それから、その他にも色々と買ったものを広げた後。
それぞれで貰ったシールをシール台紙に貼っていく。
「よっしゃー!!丁度8個埋まったー!!保冷バッグまで全部コンプだーーー!!!」
「三鼓家も家族合算で保冷バッグまでコンプと、さらにもう1枚はシール3つでぬいぐるみまで貰えます」
「じゃぁ、媛ちゃんと萌ちゃんでお揃いのぬいぐるみだね~!」
「ママがかわいいリボンつけてあげるね」
「やったー!うれしい!」
「わいはフェイスタオルまでですわ。ありがたや」
「うお、コインケースまでだった。うわー、シールもらうだけもらって戻ってきたけど、シール台紙見たら全部埋めたくなるのやばいなぁ」
「わ!フルーツジュース屋さんのシールってそんな感じなんだ!めちゃめちゃかわい~!」
店舗ごとに違うシールデザインも見比べて楽しみながら、美味しいランチに舌鼓を打つ。
他のテーブルでも、老若男女問わずシール台紙ににっこにこでシールを張り付けていた。
「ご飯だけ食べたい人は台紙もシールも貰わないし、シール貼りたい人とかグッズほしい人は貰うし。皆楽しそうで良いね」
「でも面白いことに、8割くらいシール楽しそうに貼ってるんよな。童心に帰れていいよね」
「ていうか、シール台紙もシールもデザインがかわいすぎる。これは貼りたくなっちゃうよ」
「え?シール関係も栄さんがデザインしてる?」
「シールはね、おそのと豆腐屋さんの娘さんが考えたって言ってた!そのデザインを知り合いにお願いしてシールだけ用意したって言ってたかな~」
「そういえば、シール作るんだけどアドバイスもらっていい?って相談受けて色々言った気がする」
「おそのあいつ…がんばってるんやな…おそのが蛍に相談するなんて…」
「そうそう。おそのが私にアドバイス求めてくるなんて珍しいことだから、めちゃくちゃアドバイスしたったわ」
「えー。そう思ったら余計このシール台紙が特別なものに思えてきた。アトリエに飾っちゃお」
「てかシール印刷お願いできる知り合いがいる栄さんさすがすぎる」
「ね!史さんすごいよね~!」
「お、彼女さん。彼氏が褒められてご満悦ですねぇ」
「ちょっと!イジるのやめてよね!」
頬を紅くした周がむすっとして言って、「またまたー」と潮たちが茶化す。
楽しく過ごしている間に、美味しいランチはあっという間に空になった。
全員が食べ終わったのを確認して、皆で揃って「ごちそうさまでした!」と手を合わせる。
「あー!美味しかったー!!!」
「ふぁー。あれだけ頼んだのに美味しいものばっかりだったなぁ。この商店街の底力がえげつなさすぎる件について…」
「何時から夜の部が始まるんだっけ?」
「大広場のはたらくくるまイベントと、ふれあいホールのおめかしイベントとハンドメイドマルシェが引き上げられたら、17時くらいから丼鉢イベントが始まるらしい」
「春祭りの夜からドンパチ始まるの良いなぁ」
「血の気多くて良きですな」
「良いのかな…?」
「メニュー詳しく聞いてなかったけど何が出ますのん?」
「えーと…丼ものは、肉屋の焼肉丼と焼き鳥丼、魚屋の海鮮丼と天丼、定食屋の親子丼とかつ丼、韓国料理屋のビビンバ丼、中華料理屋の五目あんかけ丼」
「鉢は、ラーメン屋さんの煮干し醤油ラーメンと鶏白湯ラーメン、うどん屋さんの牛肉わかめうどんとカレーうどん、そば屋さんのとろろ月見そばと肉ごぼう天そば…あと韓国料理屋さんのジャージャー麺と、中華料理屋さんの焼き豚中華そばだね!」
「結構食べたはずなのにもうお腹空いてきたわ」
美味しそうなラインナップを皆で眺めて、うんうんと頷く。
それからチラシを再度確認して、芹が腕時計を見ながら言った。
「さて、てことはまだまだ時間有るね。我が家はとりあえず、コミュニティセンターの木材遊具だっけ。そこで子どもたち遊ばせてこようかなと思ってるけど」
「わーい!やったー!」
「写真で見たけどすごかったよね。わいが子どもだったら足繫く通って一生遊んでるわ」
「さすがに混雑してると思うから、遊べるか分からないけど」
「コミュニティセンター内に1個と、中庭に1個あるみたいだから…まぁ上手く遊んでもらおう」
「潮たちはどうする?」
「うちらはあもなちゃんのパン屋さん行ったり、和菓子屋さん寄ったり、喫茶店寄ったり色々しようかなと」
「あと、前におそば食べた時におそのが買ってきてくれたお揚げ美味しかったから、お豆腐屋さんも寄ろうかな~って話してた!」
「あとは料亭のはなやぎ弁当ね。どのタイミングで食べるか難しいところではあるけど」
「いるならパンも和菓子も喫茶のケーキもお揚げもはなやぎ弁当も、全部適当に買ってくるよ」
「マジでありがたいんだけど頼んでいいの?」
「了解了解、任せといて。詩津さんのお土産としても買っときます」
「ありがとう、助かるしめちゃくちゃ喜ぶよ」
「全然っす」
コミュニティセンター組の三鼓家と離れ、潮と周と蛍とかのあは顔を合わせてスマホを開き、再度地図を確認する。
「ほんじゃ、我々はまずどこに行きますかい?」
「道順的にはパン屋、喫茶店、お豆腐屋さん、和菓子屋さん、料亭の順番かな?」
「んじゃそんな感じで。まずはあもなちゃんの顔でも見に行きますか」
「やったーーー!!!連絡しとく!!」
「その後はシール台紙とグッズ引き換えして一旦車戻りますか。車にクソでか保冷クーラー積んで来てるから、諸々終わったら一通り全部突っ込んじゃおう」
「マジでナイスじゃん!!」
「ほな行きますか」
「「「はーい!」」」
つけていたカラビナフックを、それぞれ付け替える。
かのあは潮に、蛍は周に。
再び繋がった面々は、人混みを見据えてまずはパン屋さんへと進み始めた。
* * * * * epilogue
(待って!普通に付け替えたけど、これおかしいよね?なんか私、ずっとかのあと繋がってたせいでこの状況がおかしいって感覚を忘れかけてたかも!)
(何を気付き始めているのかね。これは誰かが見ておかしいかどうかを判断するような事象じゃないんだよ周くん)
(これはね、何か起きた時にはぐれてしまわないようにという超合理的判断なのだよ)
(この人混みの中で、あれ?蛍いなくね?あれ?かのあいなくね?って道を引き返すのがどんだけ阿呆らしい作業か分かるかね)
(リード自体も短いんだから、誰かに引っ掛かって迷惑かけちゃうってことも早々ないわけだし、むしろかのあがぶつかって迷惑かけちゃう方が問題でしょうに)
(私だって、気付いたら君たちからあうあう言いながら遠ざかってるんだよ?そう考えたら、リードが引っ張られて私があうあう言ってることにいち早く気付いた方が効率良いでしょうに)
(そうだよ!!今までリードとして繋がってることに気付いてすらなかったけど、今日よくよく思ったら意外と合理的でかのあにとってはとっても良い代物だったってことに気が付いたよ!!潮ありがとう!!)
(苦肉の策だけどね)
(そう…か…そうなのかな…。確かに、この状況がちょっと異質で恥ずかしいってこと以外は、すごく合理的かもしれない…蛍が隣にいるかどうか確認する必要がなくなるわけだし…そうか…そうかも…)
(そうそう。そういうこと。じゃ、パン屋さん行きますか)
(やばい、セリーがいなくて自分が正常な判断ができてるのかどうか分からない…!セリー戻って来て~!)
(まぁまぁ、でもこれないと本当に危なかったかもね。去年も多かったけど、今年は更に多いからなぁ。せっかく設けてあるレーンも守れてない人多いし)
(確かに…レーンがレーンとして機能してない瞬間結構見たわ)
(やっぱり人数が増えるとね)
(それでも上手くやるしかないんだよ。だって我々日本人は、調和と秩序と自由のバランスをきちんと知ってるんだから)
(調和と秩序と自由のバランスを知ってる、か。かっこいいなそれ)
(一長一短で学べる知恵じゃない、価値のある智慧だね。引き継がれてるんだから、きっと上手くやれるさ)
(それで我々が上手くやろうとした末が「リードで繋ぐ」なの本当草なんやが)
(今の我々の最善策がこれです)
(いいと思う!!いいと思うよ!!!)
(ま、まぁ…とりあえず行こっか…)
(あ!皆さんこんにちはー!……えーーーー!?なんか繋がってるー!)
(あもなちゃんこんにちは~!苺デニッシュとキッシュ買いに来ました!)
(こんにちはあもなちゃん。お客さんはどうですか?)
(ありがとうございます!お陰様でめちゃくちゃ好評ですー!苺デニッシュとキッシュ、まだまだじゃんじゃん焼いてるんで!たくさん食べてくださーい!)
(あもなやっほーーー!!苺デニッシュ3つ頼む!!明日の朝も食べる!!)
(毎度アリですー!皆さん、この後どこ回るんですか?)
(この後はね。とりあえず丼鉢のイベント始まるまで、喫茶店行って、お豆腐屋さん行って、和菓子屋行って、料亭行ってーって感じかな)
(え!次喫茶店行くんですか?そしたら、かのあ!お願いごとしてもいいかな!さっき喫茶店のマスターからカフェオレの持ち帰り用のカップ在庫少し分けてくれないかって連絡があって!)
(えええーーー!!めっちゃ助け合ってるじゃん!!なんか自分の妹ががんばってて誇らしーー!!姉ちゃんに任せろ!!)
(ごめんね、任せろとか言ってるお姉ちゃんをカラビナで繋げてて)
(マジでめちゃくちゃ面白い状況すぎて、もう写真撮っていいですか?てかめっちゃ画期的すぎる!!遊園地とか遊びに行った時、すぐ走ってっちゃうんで困ってたんですよねー。真似させてもらいます!)
(かのあちゃんさぁ…)
(違う!!違うの!!これでもちゃんとお姉ちゃんとして機能してる瞬間も有るの!!面倒ばっかかけてるわけじゃないの!!)
(じゃ、とりあえずカップ預かろうかな?渡したらまたかのあの方から連絡させるよ)
(ほんとすみません!ありがとうございますー!あ、御礼に超おいしいタイガーブレッドとシナモンロールおまけしときますね♡)
(いやいや、どっちにしても行くんでそんな、申し訳ないよ。でも美味しそうなんで代金払います)
(だめです!これは、今日来てくれて嬉しかったのと、御礼分ですから。もらってください♡)
(やばい、語尾に♡つけられたら断れない…!)
(ほな、レジも詰まってるし此処は一旦ありがたく頂きますか…これマジで美味いんよなぁ感謝)
(こちらこそなんです、お手数かけてごめんなさい!よろしくお願いします!)
(ありがとう。あもなちゃん、無理せずね)
(また来るね~!)
(はーい!皆さん、ほんとにありがとうございまーす!!)
(こんにちはー。蛍ちゃん連れて来ましたー)
(おい、やめろ。今後は絶対やめろそれ)
(あ、こんにちは!蛍さん、皆さん!ようこそいらっしゃいませ!)
(忙しそうなところあれなんですが…あの、パン屋のあもなちゃんからお持ち帰り用のカップを預かってきて…)
(えー!持ってきてくださったんですか!助かります…!)
(なんか、かなりバタバタですね。買うもの買ったらさっと出ます)
(そうなんですよ!ありがたいことに…今回特別に出すエスプレッソバスクチーズケーキがとっても好評で。あと、お豆腐屋さんから頂いた豆乳で作った、さくら餡入りの豆乳シューアイスがすごく良く出てて)
(何やそれめちゃくちゃ美味しそう)
(自画自賛ですが、美味しいのでぜひ食べてください!シューアイスも、豆乳がとにかく美味しいんです!今回使ってみたらどうですかって頂いたんですけど、完成がぎりぎりで試食して頂けなくて…終わった後にもう一回作って差し上げようか、それとも終わった後になって渡すのは失礼だろうか…とか色々考えてて…)
(お。じゃぁ、次豆腐屋行くんで持っていきましょうか?)
(ええ?!)
(いいね。全然行きますよ我々)
(そんな…!え、申し訳ない気持ちですが…!では、良かったらおやつにどうぞとお持ち頂けますか…!すみません、そしたらモカチーノとシューアイスおまけでつけさせて頂きますね!)
(いやいや、さっきもあもなちゃんに言ったばっかりですけど、どっちにしても行くところなんで…)
(いや…!いや!こればっかりは!こればっかりはさすがに手ぶらでお願いするわけには!)
(じゃぁ、えっと…すみません。一旦ありがたく頂いときますね)
(よっしゃーー!!めっちゃうまそーーーー!!)
(お手数おかけします!よろしくお願いします!今日は人が多い中、来てくださって感謝です!皆さんにお会いできたので、お陰様で最後までがんばれます!)
(いやいや。無理せずですよ、お疲れ様です)
(また来ますね)
(またきまーす!!おつかれさまでーーーっす!!)
(お疲れさまです~!)
(ほんとにありがとうございます!まだまだ楽しんで行かれてくださいね!)
(いらっしゃいませ!…あれ、もしかしてあなた方…)
(あ、どうも初めまして。おそのの友達です。冷奴用のお豆腐と、夏おでん用の厚揚げ買いにきました)
(ああ、やっぱり。前におそのと一緒にいる時に見かけたことがあって。改めて、いらっしゃいませ。お越しいただきありがとうございます。夏おでん美味しそう)
(おそのからお豆腐とかお揚げとか良く貰ってて、めちゃくちゃ美味くて感動してます)
(おからも良く頂いてて、お菓子作りに使わせていただいてます!すっごく美味しいです~!)
(ああ、あなたが。美味しいお菓子を作るお友達がいらっしゃると聞いてます。うちのおからを有効活用してくださって感謝です)
(こちらこそです~!)
(あと、こちらなんですが…喫茶店の花房さんから、試食としてお渡しできなかったのでおやつにどうぞと。バスクチーズケーキと豆乳シューアイスを預かってきました)
(えー!!すみません、わざわざ持ってきてくださったんですか?あとで連絡しときます)
(めちゃくちゃ好評らしいです。私たちも食べるの楽しみです)
(ありがとうございます。誇りをもってやってることなんで、褒めていただけて嬉しいです。落ち着いたら食べよう)
(あの、ちなみに…次和菓子屋行くんですけど、おそのに用とかあったりします?)
(えー。本当にタイムリーすぎて怖いんですけど、お豆腐で作った白玉使ってもらってたのが切れちゃいそうらしくて…さっき蛍のおじいちゃんから連絡があったんですけど、もし良かったら一緒に持って行って頂けますか。豆腐ハンバーグと豆乳プリン、おまけでつけときますね)
(いやいや、これで3回目なんですが、本当にどっちにしても行く場所なんで気にせず…)
(いやいやいや、これこそ義理人情ってもんじゃないですか。ご贔屓にしてくださってますし、つけさせてくださいよ)
(ああ、言ってる間にとんでもない早さで梱包されていく…!)
(すみません、じゃぁ、一旦ありがたく頂きますね)
(今後ともどうぞご贔屓に。この度はお手数かけて申し訳ないです、よろしくお願いします)
(なんか、善意が結果とんでもなくありがたいことになっててワロタ)
(えっと、買いに行ったものが苺デニッシュとキッシュ、エスプレッソバスクチーズケーキ、お豆腐と厚揚げ…)
(タイガーブレッドとシナモンロールと、モカチーノと豆乳シューアイスと、豆腐ハンバーグと豆乳プリン…)
(おいおいもう保冷バッグがぱんぱんのぱんやで)
(一旦駐車場戻って、車の保冷クーラーに入れてくるか)
(おそのは確か景品交換の方に行ってるんだっけ。んじゃじいちゃんの顔見に行って、はなやぎ弁当買ったら、その後おそのの顔でも見に行きますかぁ)
(おそののじいちゃん、最近やっぱりちょっとしんどそうにしてる姿を良く見てるけど…今回大丈夫かな?)
(今回、お父さんもお手伝いで入ってくれてるらしい。お母さんもフルでやってて、丼鉢のタイミングにはおそのも店に戻って交代して休んでもらうって言ってたから…ま、ひとまず様子見に行きましょうかね)
(お父さんもお手伝いしてくれてるんだ!なんか、すごくいいね)
(おそのが嬉しそうに教えてくれたのが、私も嬉しかった)
(ふふ。さ、和菓子屋までレッツゴ~!)
(わーい!!待っててねおそののじいちゃーーん!!)
第二十八話(三) 了
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物語内の商店街メニューについて、
以下の動画を参考にさせて頂きました
豆腐しらたま
*https://youtube.com/shorts/5t1QCyqxSK0?si=5CTXZO2hLOIW44AP
タイガーブレッド
*https://youtube.com/shorts/PM45ngJpWd8?si=DHH16z3KEvOynM9N
豆乳シューアイス
*https://youtube.com/shorts/ciN-gg_aX6g?si=mv-rJ5OqrRG_X6qd
ーともカフェ もか 様
エスプレッソバスクチーズケーキ
*https://youtube.com/shorts/GBUykmok5bA?si=XWKgAn3HGhfQepuy
ーChocolate Cacao チョコレートカカオ 様
2026.7.19 日三十 皐月




