第二話 気づいたら人脈がすごいことになるのが異世界物のお約束
正直四月からの新しい環境に適応出来る気がしないでござる(´・ω・`)
あ、現実の方の話です。
「帝都に行って冒険者になるって・・・かげひー・・・私たちを・・・悪魔を
見捨てるの・・・?」
「いや、違うから!?というかなんで俺がお前らを見捨てるって思ったんだよ?」
上目遣い、涙目、トランスグラマー、幼げボイス、・・・何だこの属性てんこ盛り。
俺の理想が現実になった、具現化したというべきか・・・!
「だって・・・悪魔を召喚する人間は・・大抵用済みになったら見捨てる・・・」
「そういうもんなのか?」
「・・・うん。それで最期は召喚した悪魔が暴走して死ぬのがほとんど・・・」
クスとの話を終えて部屋に戻ってベルフェに話をした。
召喚した後で本を読み漁って悪魔の召喚が大罪って知ったときはマジで失神しそうに
なったけど今では普通の人と何変わらない生活をしてるところを見てやっぱり正しく
知られてないこともあると実感したな・・・。
つーか召喚した奴の末路怖すぎだろ。召喚した悪魔が暴走して殺されるって
何だそのサスペンス的展開。いや、割と典型的な展開?
「ベルフェだけに話すとは・・・影人様、私のことを・・・。」
「何落ちこんでるんだよサタン、君が実質的なリーダーなんだからしっかりしないと!」
いつから居たのか、サタンが机の影で子供みたいに泣きじゃくっているのを
アスモが慰めるという誰が得するのか分からない状態になっていた。
サタンってあんな風になるんだな・・・見てはいけない物を見た気がする。
「影人様ぁぁぁ!!ちょっと匿って下さいぃぃぃ!!!」
って思ってたらマモンがドアを蹴破り部屋に突入してきた。
焦っているのは分かる。何やら事情があるのも分かる。だが・・・。
「入るときはノックしてちゃんと手で開けて入ってきなさい」
「あ、すいません・・・。ってそうじゃなくてですね・・・ってうわぁ!?
何泣いてんだよサタン!気持ち悪いぞ・・・!?」
「黙れ・・・貴様には関係ないことだぁ・・・!」
いい加減泣くの止めてくれサタン・・・。さすがに男が泣きっぱなしの絵は
精神的にくるんだ・・・。気持ち悪い。
「ああもう!そうじゃない!影人様!俺をあのレヴィから匿って下さい!」
「マモォォォンンンン・・・!どこだぁぁぁぁ・・・!!」
マモンがそう言ったと同時に廊下から断末魔のような声がしてきた。
何だ、あの暴獣の如き唸り声は・・・!怖い、怖すぎる・・・!
嫉妬ってこれほどまでに人を変えるのか・・・!?人じゃないけど。
・・・レヴィってあんな声出せたんだな・・・。恐ろしい子だわー(棒読み)。
「マモン・・・レヴィが怒ってるとかのレベルじゃないんだが・・・。一体何を
したんだ。正直に話せ。」
強がってはみるがやっぱり震えが止まらない。一番怖いのってもしかして
レヴィだったのか・・・!?
「俺悪くないっすよ!?ただレヴィに「お前じゃその服似合わないだろ・・・主に胸が」
って言っただけですし!」
・・・なんという事だ。こいつは地雷原でタップダンスでもしたいのか。
案の定、ベルフェとアスモからは呆れた表情を向けられ、サタンですら泣くのを止め、
「・・・謝ってこい、・・・魂は供養してやる」と言われる始末だ。
そしてルシファーはソファーで寝たまま動かない。・・・お前・・・傲慢ですねぇ・・・。
そりゃそうだな。名前が傲慢だもん。
ちなみにその後マモンは俺たち全員によってレヴィの眼前に縛った状態で提出され、
「・・・感謝します。我が主、影人様。・・・この恩は必ず」と言われた。
ゆあうぇるかーむ。マモンは最後まで抵抗したが結局・・・。
当然、マモンは半殺しにされた。むしろよく生きてたな。
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「これで悪魔に帝都に行く事は話したし、久しぶりにクルミに会いに行ってくるかな」
という訳で突撃!クルミのお家!いや、探訪、魔王のお宅訪問?・・・でどっちでも良いな。
尚、同行者は女神サマーとゴスロリ冥土的幼女と、狼的なメイドさんの三人でお送りしまーす・・・。
(人間・・・いや魔の者の血や神の血が混ざった者と見た・・・。このような場所に
何の用だ・・・。用が無ければ立ち去れ・・・!)
クルミの家の前に、鋭い目、その巨大、て程でもないが大体3m前後、その巨躯を
包み込む毛皮、顔を見なければ何かもこもこした物体に見えなくもないし寧ろ飛び込もう
としたくなる動物。ただその正体を予測、推測、もしかしたら特定できる人物ならまず
距離を取り、その場から立ち去ろうとするだろう。
名前を熊、状況や情報を組み合わせて考えるとするなら、
日本の区分で、元の世界の呼び名で呼ぶなら・・・。・・・羆。
三毛別だとか北海道だとか獣害事件で調べたら間違いなく出てくるだろう
存在がそこで座りこんでいた。うーん見た目で言うなら目を除いてもふもふしたい
という感想を抱いてしまった。
(何か良からぬ事を考えていなかったか・・・?)
「いえ、ナンデモアリマセン」
というかどう考えてもただの熊じゃないよな・・・。どこの世界に人相手に思念伝達で
話しかける熊が居るんだって話だよな。大抵こういう時って次に衝撃の真実ゥ!って
流れになるがこの程度ならすぐ予想つくな。どうせこの熊がクルミの親族・・・
いや、具体的に言えば・・・。
「あ!お父さん?珍しいねここに来るなんて。何かあった?気まぐれ?」
・・・クルミ、正確には北見胡桃。その父親だろうと推測出来る。
まあ、本当にそうだと聞いて正直驚いたけど。
(まぁ・・・そんなところだ)
「そかそか!ん、やっほー影人!久しぶりー!おや?知らない女の子が一人、
やるねー・・・!どうやって自分の物にしたのかなー?」
「止めろそういう言い方!俺が犯罪者みたいに思えてくる!」
(む?もしや貴様らクルミの知り合いか?)
(ええまぁ・・・そんなところです)
(!・・思念伝達を持っていたのか、先程は失礼をした。申し訳ない)
「いえ、お気になさらず・・・」
「?とりあえず入って入って!立ち話もなんだからさ!」
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「ほうほう!つまり二人は帝都に行って冒険者登録をしてくる訳かー。
で、具体的にはどれほど滞在するご予定で?」
「お前は旅行代理店の店員さんか。まぁそうだな1ヶ月くらいは楽しみたいな」
「なるほどなるほど!ではお土産よろしく!」
「なんでやねん!」
はっ!しまった!つい関西弁で突っ込んでしまった!あ、このハリセンはどうしたって?
そりゃあ万能な影縫で作りましたとも。ええ!とっても便利!あなたもどうですか?
一家に一つ!影縫!影縫をよろしくどうぞー・・・!
「そういやあの・・・そう!シラミネちゃん!あの子いないけど何処行ったの?」
「シラミネならお前のお父さんと外で話してるよ。なんでも森のパワーバランスが
どうとか言ってたけどお前のお父さんって何者なんだよ・・・。」
「この森を統べる霊獣です・・・。このことは内密にしてもらえる?バレたら
下手すると討伐隊組まれて命の危機に晒されかねないからさ」
霊獣、か。確か一定以上の規模になった森林でその領域における生態系の頂点に立つ
生物で高い知能を持っていたり場合によっては討伐対象になったりすることもある
だったか?本でしか知らなかったから実際に見ると確かに周りとは一線を画するのは
なんとなーく分かった。・・・どうやったらこれとの間に子どもを作れるんだ?
クルミのお母さんって日本人の筈だよな?
「むしろこっちがシラミネちゃんの事聞きたいんだけど。あの子見た目は人間だけど
多分人じゃないよね?聞かせて欲しいなー・・・。」
「分かった!分かったから真顔で顔近づけてくるな!」
なんとも言い難い圧力を受けたので素直に教えました。というかさっきから
傍観してばっかの駄女神とハデスはせめて手助けぐらいしてくれよ!
「へぇー・・・あのフォレストウルフを手懐けたのか~・・・。やっぱ影人
可笑しいわ。一応、あれでもお父さんの一つ下ぐらいに位置してた魔物なんだけど!?」
ちなみに霊獣と魔物はほぼ同じだ。魔物のカテゴリーの仲に霊獣がいる感じで
大体合ってる。
「と言われましても、俺スキルで従えただけだしなー。でもあいつステータス的にはそんな
大したこと無いぞ。」
「そりゃそうでしょ。基本的に人系以外の生き物ってステータス以上の能力持ってる
んだから。あ、その反応、もしかして知らなかった・・・?」
・・・え!?マジですか・・・!?




