両親に紹介したのはは座敷わらし
織の衝撃的な告白から数時間後俺たちは何故か家族と一緒にご飯を食べていた。
それも...…
「久しぶりね〜織ちゃん、いつ以来かしら〜」
「一さんが8歳の頃にここを一度離れたのでそれ以来です」
「もうそんなに経っていたのね〜、それにしても織ちゃんたらべっぴんさんになって〜」
「あ、ありがとうございます...…」
「こんな子がうちに来てくれるなんてもう一も隅に置いてけないんだから!」
織と母さんが何故か意気投合していた。
それに母さんは織の事をちゃんと覚えていて座敷童ってことも何故か知っていた。
ついでに嫁に来ることは母さんの中ではもう決定事項になっているらしい。
いや、まあ断る理由なんてないけどさ、織はその、どちらかというと可愛いし。
ちらっと織の方を見てみるとたまたま織と目があってしまう。
目が合うと織は柔らかく微笑む。
それだけで自分の顔が真っ赤になるのが自覚できた。
「あら、一ったら初心なんだから」
「母さん!」
それを見ていた母さんに茶化されて思わず声を上げる。
「将来の旦那がこんなのじゃ織ちゃんも大変ね〜」
「いいのですお母様、だって私の事を意識してもらえてるのですから、それだけでも嬉しいのです」
織の言葉に母さんはさらにヒートアップし始める。
「織ちゃんも一途なんだから〜、それにお母様なんて、もう!ほら!甲斐性見せてやりなさい一!」
逃げ道はない、そう思った俺は料理に気を向かせることにした。
「ほら、母さん。今はまず料理を食べような、な!」
「んもう、仕方ないわねぇ、あとでどうするか聞かせてもらうからね!」
どうにか料理に逸らすことが出来たとほっと一息つこうとすると母さんが爆弾投下をする。
「あ、ちなみにこの料理は全部、織ちゃんが作ったから」
聞かなかったことにして俺は箸を料理に向けることにした。
カチャカチャと食卓に箸を動かす音が響く。
俺は無言で箸を机の上にある美味しそうな料理へと箸を持って行こうとするがその前に口元に唐揚げをつまんだ箸がかざされる。
「どうぞ一さん、あーん、です」
それをやった張本人は断りづらいように笑顔を浮かべながらずずいっとさらに突き出してくる。
こいつ、策士だ……と内心独りごちながら恥ずかしさを振り払い、少し口を開いてからその料理をパクッと食べる。
サクッと衣が音を当てる、そして肉まで到達すると程よい弾力が帰って来る。
一噛みするたびに肉汁が口の中に溢れ返し肉の旨みが口の中を蹂躙していく。
咀嚼する光景を織は目をキラキラさせながら見てくるので普通に料理を楽しむ余裕もできない。
ごくん、と飲み込むとどうでしたか?と可愛らしく首を傾げながら言ってくるので素直に感想を言う。
「すごい美味かったぞ」
「それは良かったです!ささっ他にもまだあるのでこれもどうぞ」
パアーッと嬉しそうな笑顔を浮かべて他の料理を箸でつまみ再びアーンをしてくる。
その光景を俺の母さんは生暖かく見守ってくるので対処しきれない状況に俺は思考を放棄して普通に料理に舌鼓を打つことにした。