現れたのは婚活中座敷わらし
他の作品を久しぶりに投稿したので自分をいじめ抜くために(作者は決してMではありません)新しいのを投稿します。
理由は簡単、恋愛ものにハマってしまったからです!恋愛なんかとは程遠い灰色青春を絶賛送ってますけど文では甘々なのをかけたらいいなぁと思います。
こんな作者ですが生暖かく見守っていただけると幸いです。
今俺はベッドの上でゴロゴロしながら本を読んでる。
本に集中してないと別の事に気が向きそうだったからだ。
本から視線を外しドアの方を見てみると見知らぬ少女が姿勢をピンっと伸ばしながらそこに正座していた。
夜の水面のように綺麗な黒い髪を腰まで伸ばしていて、身に纏っているのは一目で豪華だとわかるこれまた夜の景色を書いたのか黒の中に月の黄色、そして月を写す水面が描かれた見事な着物。
その少女は整っている顔に微笑を浮かべながらこっちを上目遣いでチラッチラッと見てきている。
正直言って気になってならない。
何故街を歩くと十人中十人が振り向くような美少女がいながらほっといてるかというとそれは彼女の登場の仕方が悪かったからだ。
それは今から30分程遡る。
休日ということで何時もより遅く起きた俺は伸びをしながら今日は何をしようと頭の中で予定を組んでいると不意にドアがガタガタ言い始めた。
それと伴い「よいしょよいしょ」と可愛らしい声も聞こえてくる。
なんだと思いながらそっちの方に目を向けると謎の美少女がドアを揺らしながら入ってきた。
...…それもドアをすり抜けながら。
あまりの事に唖然としているうちに美少女はドアをすり抜け足を床に着地させるとやりきったぜという感じにいい顔をしながら汗を拭う動作をした。
正直空いた口が閉まらない、誰が信じるだろう、ある日突然美少女がドアをすり抜けて自分の部屋に入ってきましたと。
それどころか俺も信じられなく現実逃避の為に本に逃げたした。
そして今の現状になる。
もう一度謎の美少女の方に顔を向けると何処から取り出したのか茶道の道具を一通り取り出してお茶を嗜んでいた。
少女はこっちを向く自分に気付いたのか緩んでいた顔に誰もが見惚れる花のような微笑みを浮かべて隣にこいという感じにぽふぽふと隣を叩く。
混乱してる自分はどうすればいいか分からなかったので取り敢えず。
「うん、これは夢だ、まだ目が覚めてないんだ、そうだ、そうに違いない」
全力で現実逃避に走った。
ネガティブオーラを全身から発しながら現実逃避に走ってると少女はしびれを切らしたのかこちらに近寄ってくる。
そして白く滑らかな肌に薔薇の色を添えて頬を膨らませながら初めて声を発する。
「いい加減こっち向いて下さい!一さん!」
鈴のようにりんとした少女の声が部屋に響き渡る。
俺は少女が声を出したことより別の事にもっと驚いていた。
今、少女は確かに一と言った、俺の名前を呼んだ。
「なんで、俺の名前を?」
名前を呼ばれたことで現実逃避から抜け出した俺は少女の事を真っ直ぐ見る。そうすると
「やっとこっち向いてくれましたね...」
と言いながら少女は肩を竦ませながら微笑んだ
「そんなの簡単ですよ」
少女はその場でくるりと着物を翻しこちらに背中を向ける。
「昔、一緒に遊んだでしょはーくん」
そう言って少女は背中をこっちに向けたまま顔を振り返らせ誰もが見惚れるようないたずらっぽい笑顔を浮かべた。
はーくん、その言葉を聞いた時記憶の一つが刺激されある記憶を思い出させる。
小さい頃の自分ともう一人その時の自分と同じくらいの少女が傍らに寄り添いながら幸せそうな笑顔を浮かべてる。
その少女の笑顔が今目の前にいる少女と重なった。
「織?」
その名前を呼ぶと少女はこっちを振り向いて。
「そうだよ、はーくん」
とまた今度は満開に開いた花の如く微笑んだ。
「え、織何でいるの?ていうか何で扉すり抜けてたの?」
頭の上に?を浮かべながら疑問を立て続けに言う。
「ちょっと落ち着いて、ほらお茶飲みますか?」
そう言って織と呼んだ娘は自分でついだお茶を差し出してくれる。
「で、何で織はここにいるんだ?」
お茶を飲んで落ち着いた俺は改めて目の前の少女、織に問いかける。
それに対する織の答えはというと...
「婚活しにきました!」
「...…へっ?」
ドヤァとか擬音が付きそうなほど自信満々に織は言い切る。
言葉も出ないでいると織はお茶を啜りながら話を進める。
「私、実はこれまで座敷童をやっていまして、まあ、そう言う事で壁をすり抜ける事が出来たのですよ」
「はぁ...」
「それでここからが本題なのです」
すると、織は何処から取り出したのかホワイトボードにグラフを貼ってから眼鏡をくいっと知的に上げながら説明を始める。
「座敷童の平均年齢は12から13歳となっていまして、その年を越えてしまうと座敷童の役目を果たしきれなくなってしまうのです、なのでその年になったら引退していくのです」
「ということは織は13歳超えたのか?」
「当たり前じゃないですか、と言うか昔遊んだ時に言ったじゃないですか私一さんと同い年って」
「あ、そうか」
「説明を続けますよ。こほん...…え〜、けれども引退した座敷童でも幸運を運ぶことも出来るので数年の花嫁修業を経てその幸せを与えたい人の元に持って行くのです」
「それで何で俺の所に?」
「もお、一さんはにぶちんですね」
織は俺の座ってるベッドにギシッと音をさせながら足を乗っけて猫の様に体をしならせながら近寄ってくる。
「し、織!?」
「私は...…」
目と鼻の先で少し顔を近づければキスできそうな距離で色っぽい声で囁く。
顔を真っ赤にしながら何をされるのかと思いながら織を見つめる。
そして可憐な唇がゆっくりと言葉を刻む。
「あなたの事が……好きなのですよ、一さん……」




