ちょっとした仕返し
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ティアラとコロネに依頼された魔法陣を作り転写したあと、二人はセフィリアとミストさんには隠れて習熟訓練をしていた。なんとか形になったのを確認した二人は各自の師匠に手合わせを申し込んだ。
「セフィリアおねえちゃん!」
「おかあさん」
「「手合わせをお願いします!」」
「なんじゃ?やたらと気合入っておるの」
「…何か企んでない?」
ティアラとコロネはフルフルと首を横に振っているが、ミストさん達は思いっきり怪しんでいた。
「………まあいいでしょう。じゃあ外に行きましょうか。あら?ソーイチローさんも外にいくの?」
「…ええ、ちょっと外で実験したい気分なんで」
ティアラとコロネに施した描画魔法がどの程度使えるのか自分の目で確認したい、とは言えない。
「ふむ…」
と、こちらを見ていたセフィリアがなんとなく怖かった。
そのまま場所を外に移し、名目上俺は二組の修練をまじまじと見るわけにもいかなかったが、それとなく見るとちょうど同時に修練が始まるようだった。
ナイフを主に使うティアラは1mほどの距離を開けミストさんと打ち合っている。ナイフとナイフが擦れ合う甲高い音はこの二人からだろう。
コロネはセフィリアとくっつくほどまで近寄り拳打を放ち、鈍い音はこの二人から聞こえているのだろう。
二組とも俺の目が追いつかないほど早く動いているため何をどうなってるかさっぱりわからないのだが、それでも発動のタイミングだけは把握することが出来た。
コロネは一歩だけ下がりそして再度突撃し、拳打をセフィリアにガードさせるタイミングで、
「『浸潤』!」
コロネの拳はセフィリアがきっちりガードされてしまったが、『浸潤』はガードをすり抜けた先で起動する描画魔法。
狙い通りにガードの内側で描画魔法が爆裂!…すると大変なことになるので、墨を散布させる魔法陣が炸裂し、白いセフィリアが黒くなっていた。
「わぷっ!」
「ぶふぁふぁふぁふぁふぁ!」
「やったぁ!!」
思わず笑ってしまった俺と喜ぶコロネ。一方ティアラも勝負を決めるべく描画魔法を起動した。
「『幻抜剣』!」
ティアラも手にあるナイフを振りミストさんに迫るが同じくナイフで迎撃されてしまう。が、今のティアラのナイフは『幻抜剣』で作ったナイフ。このナイフは見せ掛けで何かと接触するとその部位からポロリと崩れてしまうが、すぐに再構築され、ガードされた反対側でナイフが顕現する。
ガードをすり抜けたナイフがミストさんの胸を切り裂く!…と俺がすごく悲しいので、『幻抜剣』のナイフは水に変わり彼女の胸を濡らしていた。そう、服が肌にぴっちり張り付いて巨乳の形を見事に浮き出していたのだ。
「よし!」
「…!」
ティアラは無言でガッツポーズをし、俺は眼福をとてもとても喜んでいた。もちろんミストさんの胸は色々としているが、こういうたまたま(?)起きたハプニングで見るのは別腹だ。
ティアラとコロネは師匠に一矢報いたことから手を取り合ってはしゃいでいる。そんな様子を呆然と見ていた師匠達だったが、
「お主ら、見事じゃ。よくワシ達に一撃を入れたもんじゃな」
「ですね。ティアラ、コロネ、よく頑張りました」
ミストさんとセフィリアはとてもにこやかに二人を褒めていた。だがその笑顔は、まるで作ったかのようなにこやかさだった。
「ほんとっ!やったぁ!」
「…」
無邪気に喜ぶコロネと何かを察したティアラ。遅れて何かを感じたのかコロネも静かになった。
「「……」」
「コロネ、手加減無用でお仕置き…鍛錬できるの?」
「ティアラ、これで鍛錬を一段階強くしても問題ありませんね?」
「ぎゃぴいいいいいいいいいいい!!」
「?!?!?」
ミストさんとセフィリアはティアラ達に襲いかかっ…鍛錬を再開し、二人の悲鳴が森にこだましていた。
「やっぱこうなったか」
ある程度予測できていた未来だったため、ぼろぼろになっていく二人をぼーっと眺めていると、教育が終わったセフィリアがこちらにやってきた。
「で、ソーイチロー、どういうことじゃ?」
「説明しよう!実は俺の魔力を受けた人は俺が描いた描画魔法を起動できることが判明したんだ。で、実験がてら転写した描画魔法でティアラ達は一矢報いたという訳だ」
なんていうか企みが成功したときって誰かに説明したくなるよね。悪の総督がべらべらと企みを言いたくなる気持ちがわかったかも。
「ほう…お主の描画魔法ならなんでも使えるようになるのか?」
「無理だと思う。出力が足り無さすぎるし他にもまあいろいろ」
「ふむ、詠唱魔法とどちらが良いのか?」
「ケース・バイ・ケースかな。魔力効率は描画魔法、自由度は詠唱魔法が有利ってのは普通の人と同じ。たださっきみたいに不意打ちに使ったりするのは描画魔法が有利。総じると、魔力量が少ないティアラ達は描画魔法を使える場面ならそっちのほうがいいって考えてる」
「なるほどの。また手が空いた時にはワシ達にも描画魔法を作っておいてくれ」
「了解」
「ところで…なぜ描画魔法が転写できることを黙っていたんじゃ?」
「そりゃ黙ってるほうが面白そうだからに決まってる…あの、どうしてふたりとも、指鳴らしながらこっちに近づいてくるの?」
「それはの、真っ黒になってしまった鬱憤…お礼をしようかと思ってな」
「私もよ?ソーイチローさんには私が濡れてしまった仕返し…お礼をしたいからよ」
セフィリアもミストさんも顔は笑ってるが目はマジになってる。
「あ、あれ?これ俺が悪いの?」
「沈黙は罪じゃ!」
「おイタはダメよ!」
「ぎゃあああああああああああ!!」
人間の股が180度開くってすごいよね?
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