↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
推しのパラディン様 —美貌の騎士は懐も肝っ玉も極小。見栄と気合で死線を凌ぐ顔面国宝を、限界オタク女子が見守ります—  作者: あめたす
第6章 偶像の包帯と、無傷の天使編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/47

第36話 暴走する承認欲求と、真実の傷

第36話 暴走する承認欲求と、真実の傷


 ドクン……ドクンッ!!

 ルカの口元にある『黒いホクロ(呪印)』が、脈打つごとに不気味な膨張を始めた。


「ああああッ!! 見て、僕をもっと見てくれッ!!」

 ルカが狂ったように叫ぶ。

 その瞬間、観客席にいたクレアを含む熱狂的な女性ファンたちの身体から、赤い光の糸(生命力リソース)が強制的に抽出され、ルカの体内へと吸い込まれていった。


「きゃあああっ!?」

「力が、抜けて……っ」

 バタバタバタッ!

 生命力を吸い上げられた観客たちが、次々と糸の切れた操り人形のように倒れ伏す。乾いた衣擦れの音がスタジアムに響き渡る。


「う、うわぁぁぁぁっ!?」

 膨大なリソースを吸い上げたルカの身体が、メリメリと音を立てて異形へと変貌し始めた。

 端正だった顔は醜く肥大化し、全身を覆っていた包帯を突き破って、無数の巨大な触手が蠢き出す。香水が腐ったような甘ったるい悪臭が、スタジアム中に撒き散らされた。


-----------------------------------------

【SYSTEM MESSAGE】

▶ 異常事態検知:プレイヤー『ルカ』が《バグ・エネミー:承認欲求の化身》へと変貌しました。

▶ クエスト目標が変更されました:暴走個体の討伐。

-----------------------------------------


「ヒィィッ! なんやアレ!」

 安全地帯にいたぽんずとクロイツが悲鳴を上げる。

 逃げ惑う観客たち。だが、ハルは一歩も引かなかった。


(ここで逃げたら、また莫大なペナルティを課されるかもしれない)

 ハルは極めて打算的な計算を巡らせていた。

 それに、あの異形を見て、ハルの脳裏に浮かんだのは、自分たちを守るために『本物の傷』を負い、今も病室で動けないアラタテの背中だった。


(アラタテさんがいない今、壁役(タンク)は僕がやるしかないんだ……ッ!)

 ハルは白銀の盾を構え、無数の触手をうねらせる巨大な魔物と正面から対峙する。


「おじさんを馬鹿にした報いだよ、偽物!」

 ハルの背後から、ひとみが悪魔の衣装を翻し、巨大斧を構えて跳躍した。

 彼女の眼には、アラタテの『真実の傷』を愚弄したルカへの静かな殺意が宿っていた。


「ギィィィィィィッ!!」

 魔物(ルカ)が咆哮を上げ、四本の巨大な吸血触手をハルめがけて突き出した。

 まともに受ければ、全身の血とリソースを吸い尽くされる致命の一撃。


「遅い!」

 カィィィンッ! ガキンッ! ギギギギギギッ!!

 ハルは極限の0.01秒パリィで、四本の触手の攻撃軌道を全て『足元の石畳』へと弾き落とした。

 地面に突き刺さり、身動きが取れなくなった触手。


「ひとみ、今だ!」

「うんっ!」

 ハルは自らが弾き落として固定した触手を『立体的な足場(スロープ)』として逆利用し、魔物の巨大な顔面へと向かって一気に駆け上がった。

 ひとみも反対側の触手を駆け上がり、魔物の退路を完全に塞ぐ。


「ギギィッ!?」

 魔物が慌ててハルを振り払おうとするが、ハルはすでに、巨大な醜い顔面の真正面に到達していた。


「僕をもっと見ろと言ったな」

 ハルは一切の防御を捨てた。

 白銀の剣を『逆手』に構え直す。

「なら、その醜いテクスチャのバグごと、切り落としてやる」


 氷のように冷たい無機質な瞳が、魔物の口元にある『0.1ミリ浮いた黒いホクロ(呪印)』を正確に捉えていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。