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バトルステーツ・リベレイション〜若き番の叙事詩〜  作者: 騎士誠一郎
熱闘! 奮闘! デジタル体育祭!!
65/65

EP65 波乱含みの前夜祭・エリィト学園の陰謀を添えて

エリィト学園のキラキラ世代排除計画がついに動き始めた。

その一方で、芸能界に復帰した美浦は、ネグレクトの襲撃に遭いながらも無事にCMとLPの撮影を終えた。

そして、愛川とともに義人のまつ神戸へひた走る!

高速道路へ合流した瞬間、光の運転する水素車は――

 法定速度ギリギリを全力で突っ走った。


「ちょっと光ちゃん!? スピード出しすぎ!!」


「大丈夫よ! 私は“法定速度遵守系女子”。安全かつ迅速に最短ルートで案内します!」


 水素エンジンが気持ちよく唸り、車体が滑るように走る。

 近年のカーボンニュートラル社会の主力――濃縮水素を燃料にした水素車。

 大手石油グループが確立した“海水からの水素生成技術”が、今の日本の交通網を支えている。


 未来のエコカーは、今日も元気に荒ぶっている。



---


◆神戸・ラグジュアリーホテル


 光の「合法スレスレ走法」によって、車はあっという間に神戸のラグジュアリーホテル前へ。


「明石美浦さまですね?」


 フロントマンはすぐに美浦を認識した。


「はいっ」


「藤宮さまと御一行はすでにご到着です。20階ロイヤルルーム209号室にてお待ちです」


「えっ……VIP待遇!?」


「えぇ。皆さまのご活躍に当ホテルも最大限の敬意を払わせていただきます」


 稲毛アウルズの世界的人気ゆえの破格の扱いだった。



---




「まぁ……明石さんと藤宮くんって、ほんと“私たちとは違って”いいご身分ですねぇ……?」


 背後から、冬より冷たい声が降る。


 振り返ると――

 供花が満面の“怒り笑顔”で立っていた。


「あっ、小泉先生……」


「と、供花!? その声……まさか“アレ”飲ませる気!? やめなさいって!!」


 光が慌てて制止する。彼女は知っている。

 高校時代、供花が作った“特製スムージー”の恐怖を――。


「光ちゃん。高校の同級生として言うけど、あなた、わかるわよね?」


 供花の目が細くなる。


「あの地獄スムージー、飲ませたら美浦の胃腸が死ぬって!!」


「教師として言うわ。生徒がロイヤルルーム泊なんて……許すわけないでしょッ!!」


「なによこのスカポンタン!!」


「言ったわね、このオタンコナス!!」


 次の瞬間、光と供花は取っ組み合いの乱闘へ。

 義人たちが止めるのに一時間かかった。


「ふ、藤宮くんは黙ってなさい!!」


「黙りなさい!!」


 怒号のダブルパンチ。


「いい加減にしなさぁぁい!!」


 ついに美浦がブチギレ、怒気が部屋を震わせる。


「ひっ、美浦さん落ち着いて!」


「すいません愛川さん。美浦は本気で怒ると、俺でも無理です」


「……よしくんが言うなら許してあげる」


 一瞬で機嫌を戻す美浦。

 その切り替えに、光と供花はひとつ誓った。


((絶対に怒らせない))



---




「うわぁ……!」


 ロイヤルクラスは、まるで“天空の貸別荘”。


 神戸の夜景を一望でき、専属シェフがつくるコース料理つき。

 世界ホテルランキングでは堂々1位のクオリティだ。


「こんな世界、初めて……!」


「でも、これだけじゃないんだよ」


 義人が指した先には――


プロゲーマー向け・最新VR筐体。


ネオスフィア・ZX3


「これ……!!」


「反応速度とか視覚補正が日本人向けに最適化されてるやつ。世界大会のプロも使う超上位機種だぞ」


 美浦の瞳がキラキラと輝く。


 そして――

 義人がVRヘッドを美浦にそっとかぶせてあげた瞬間。


「っ……ありがとう、よしくん」


 美浦が“自然に”義人の手を握る。


 義人は固まった。


 美浦の方も気づき、顔が真っ赤になる。


「あっ……!! い、今のは……! その……!」


「べ、別に変な意味じゃ……」


 二人だけの空気がふっと甘くなる。


 ――ほんのわずかに、顔が近づきかけた。


 


「二人とも、ログインの準備できた?」


 光の声が割って入り、二人は飛び退いた。


「はいはいログインします!!」


「い、行きましょう!!」



---



 ログインすると、ホテル専用メタバースは学生で溢れていた。

 テコンドー部門の猛者たち、全国240校のフリースクール生たち――

 そして、エリィト学園の生徒たちまで揃っている。


「部長! コーチ!」


 アリサが駆け寄った。


「他のみんなは?」


「それぞれの部屋からログインしてます! でも部長たちの部屋、すっごい豪華ですね……!」


 アリサがほっぺを膨らませる。


「わかったわかった、今は交流楽しもうな」


 今年は参加校の面子もいつもと違う。

 稲毛アウルズの快進撃を止めるため、どの学校も本気だ。



---


 しかし――


「図に乗るなよ……豚どもが」


 どす黒い悪意が混じった声。


 学ランに学帽。

 エリィト学園“工作チーム”リーダー・竹田だ。


 美浦の聴覚拡張ツール――テストプレイヤーズ仕様が、遠距離でも完全に拾う。


「よしくん、今年のエリィト……本気で仕掛けてきてる」


「噂より厄介だな」


 竹田は仲間とヒソヒソと話している。


「例のものの設置は完了したな?」


「はい。起爆すれば、この豚どもも百姓どもも一掃できます」


 義人・美浦・アリサはすぐネットで照合する。


「――あった。広範囲殺傷兵器。これ、軍事条約で禁止されてる……!」


「よしくん、もしかしてこれじゃない?」


 美浦が表示したのは、


NB44クラスター爆弾


 起爆すればベアリング弾が広範囲にばら撒かれる、凶悪兵器。

 テコンドー会場どころか、周辺住民まで巻き込んでしまう。


「仮想空間からはアクセス不可か……」


「つまり」


「――現地に行って解除するしかない」


 義人・美浦・アリサの目に、強い光が宿る。


「行くぞ。俺たちの仲間も、一般市民も……守るために」


「うんっ!」


「よしくんと一緒なら、怖くないもん!」


次回はBSOでキタのおかんと再びバトル!

パワーアップしたなにわ魂をご覧あれ!

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