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『半径1メートルの日常』  作者: 八神 真哉
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『秘密の花園』

さて、秘密の花園の話をしよう。

皆さんが決して踏み入ることの出来なかった男子校の話である。

竹宮恵子である。ジルベールである。


……と書いては見たが『風と木の詩』は、めくった程度であるので、よくは知らない。

最近、竹宮先生の回顧録のようなものが出たので想い出したのである。


今はどうだか知らないが、わが校にも中学・高校用の寄宿舎ならぬ寮があった。

ただし、期待に添えず申し訳ないが、そのような噂は聞いたことが無い。


あるのは、歪んでいく女性観だけであった。

わたしの親友は、理想の女性について「顔だけでレポート用紙1枚は必要」と言っていた。


言うまでもなく理想と現実にはギャップがある。

バレンタインデーに「おれはもらった」と言っていた奴を、わたしは1人しか知らない。

中学生の後輩からの、「僕のお姉さんが○さんにあげた」という情報も加えてようやく2件である。

むろん6年間で、である。


モテない男ばかりだったとも言えるが、まだまだ、バレンタインデーがメジャーで無かったこともあろう。

義理チョコなど飛びかっていない時代でもあった。黙っていた奴もいただろう。

かくいうわたしももらった。ただし、顔も知らぬ仲である。マンガ関係者である。

彼氏がいる気配はなかったので「仮想」であったのだろう。マンガ関係者は男女問わず歪んでいた。


当時、わたしは「○月うさぎお茶の会」というものを主催していた。

ある時、女子校から参加したいと打診があった。顧問から一蹴された。

かわいそうなのは中学を含む後輩たちである。

わたしには先輩に引き込まれたサークルがあったが、彼らにとって残された出会いの場は文化祭しかない。

(彼らを同じサークルに引き込む気はなかった。主催者や先輩が「八神は女嫌い。変わり者」と吹聴していたからだ)


イスとテーブルを用意した。お茶もお菓子も用意した。だが無駄であった。

生徒会から脅し半分で奪い取った最高の立地が災いしたのである。

人目が多すぎたのである。ことごとく遠慮されてしまうのであった。


彼らは真っ当な「青春」を謳歌することはできないと思われた。

そこに、救世主が現れた。お嬢様学校の中学生から手作りクッキーの差し入れである。

興奮のほどがわかろうと言うものである。それほどの女旱状態であったのである。


ある日のことである。

男2人でグラウンドに佇んでいると、わが校の幼稚園児たちが先生に引率され目の前を通った。

隣の男が言った。「うちの娘たちは皆かわいいなあ」

危ない発言である。が、思わず同意した。しかも賢いのである。ほとんどが○大付属を受験する。

くじ引きに外れると、やむなくわが校の小学校に入る。

中学受験で再度○大付属を受験する、といった具合だ。

つまり我々は「残念な世代」なのである。


後輩で「八神さんの絵が欲しい」と言っていた奴は、その○大医学部に進んだが、ロリコンマンガの同人誌を作った。「小児科に進むと、犯罪者になりそうなので外科にする」と言っていた。


東京で、わたしの描いていた6歳の女の子の絵を覗きこんで、「八神ちゃんの描く女の子はかわいいなあ」と言っていた男はロリコンマンガで一世を風靡した。家も建てたと聞いた。


「女嫌い。変わり者」との評判を、鬱陶しいと思っていたが、ロリコンと呼ばれるよりはましだと思った。

もっとも、連載の話を棒に振らなければ、そう呼ばれていただろう。

近所で「変態」が出るたびに警察が訪ねて来たに違いない。


主人公をロリコン気味に設定したのである。

誤解されたくないので言っておくが、載る予定だったのはエロ本ではない。

『LaLa』である。


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