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村を出て数日。
俺は山のふもとへと到着した。
「ここがペリクルム山か……」
山を見上げると、山頂の方は雲がかかっており見ることはできない。
どこからか魔物か獣の声が聞こえてくる。
ゴクリと生唾を飲み込む。
「こんなところで立ち止まっていられないよな」
俺は前へ進む。
山に入って数分。
「助けてーーっ!」
俺は山の中を逃げ回っていた。
「無理無理無理! あんなの傘で倒せるのか?!」
逃げながら後ろを振り返る。
グアァァァァァァァッ!
そんな咆哮を上げ俺を追いかけてくる虎型の魔物。
恐らくレベルは30を超えているだろう。
今の俺には到底敵う相手ではなかった。
目の前に小さな洞窟があり俺はそこに飛び込んだ。
そのまま転がり落ちる。
「いててっ……」
ぶつけた頭をさすりながら俺はハッとして入口の方を見と、虎型の魔物は獲物を逃がさないとばかりに無理やり入ってこようとしていた。
「傘召喚!」
召喚した傘を手に俺は虎型の魔物へと突きの攻撃を何度も放つ。
何度も突きの攻撃を放っていると、それは虎型の魔物の目に突き刺さる。魔物は悲痛な叫びを上げるも、まだ諦めない。
「もう諦めろよ!」
それから数分後。諦めたのか虎型の魔物はその場を去って行った。
だが油断は出来ない。近くに潜んで俺が出て来るのを待ち構えているかもしれないからだ。
外はすでに暗く、俺は入り口近くで焚火を焚いて寒さを凌いだ。
持ってきた食料は無駄には出来ない。だから今日の所は少しだけ食べ明日の朝から食料探し兼トレーニングを始めることにし、早々に眠りにつくのだった。
翌朝。
俺は眠い目を擦りながらも起床した。
昨夜は至ることろから魔物の叫び声が聞こえ中々寝付けなった。
少しだけ外の様子を覗き確認する。
「大丈夫そうだな。よし、ここを拠点にし、周辺の探索からだな」
この山は十分に危険だ。気を引き締め必要な物を持ち外に出た。
どうやら虎型の魔物はいなくなったようだ。
慎重に移動をし近くの川を発見した。周辺に魔物がいないか気配を探りながら確認するがいないようだった。
川に近づき水面を覗くと水は透き通っており綺麗だった。手に掬い問題ないか確認するも普通に美味い。
ゴクゴクと水を飲んでいると足音が一瞬聞こえた。
すぐに水を飲むのを中断し周囲をくまなく警戒する。しばらくすると反対の川岸に一体の、緑色の肌が特徴で身長1メートル程のゴブリンが現れた。
「ゴブリンだ……」
近くに仲間がいるかもしれないと警戒するも現れない。なら倒すしかない。傘を召喚し手に持つが、その手はわずかに振るえていた。
この震えは初めて魔物を相手にする恐怖なのかもしれない。
だが俺は強くなるためにこの山に来たのだ。ここで逃げてはダメというものだろう。
俺は意を決してゴブリンの前に姿を現した。
「グギャ?」
ゴブリンの脳は俺が現れたことに対して理解が追い付いていないように感じた。
だがそんなゴブリンもすぐに俺を敵と認知したのか、大きな声を上げて川を渡り襲ってきた。
「こ、こいよ!」
傘を構えるも、ゴブリンは木で出来た棍棒をもっている。勝てるのだろうか?
そんな疑問が脳内を過ぎったが、頭を振るって目の前の事に集中した。
俺なら勝てる。そう己を鼓舞し傘を持つ手に力が入った。
振るわれる棍棒を回避し傘でゴブリンを叩くが効果はあまりないように見えた。
「うわっ!」
ゴブリンがお返しとばかりに棍棒を俺に振るったが、それをギリギリのところで回避する。
「くそっ、ゴブリンってこんなに強いのかよ!」
中々有効打が決まらずに苦戦する俺。何か方法は無いかと摸索し――思い出した。
傘には叩くだけではなく、突くという方法があることに。
虎型の魔物にも効いたのだ。ゴブリンなら倒せる、そう確信し一度距離を取り態勢を整える。
距離を取った俺に向かってゴブリンが無造作に突っ込んできた。
棍棒を大きく振りかぶった。
「――ここだっ!」
大きく空いた胴体に、俺が繰り出せる最高の突きをお見舞いした。
その一撃はゴブリンの胴体にグサりと突き刺さった。
倒れるゴブリンだが、再び立ち上がった。
致命傷にはなったが倒しきるまでにはいかなかったようだ。
どうやら力、というよりもレベルが足りないようだった。
弱り切ったゴブリンに、警戒しながらも俺は何度も突きの攻撃を放ってようやくゴブリンを倒すことに成功した。
その時俺の体から微弱な光が放たれた。
聞いたことがある。これはレベルアップした時に出る光だ。
ということは、俺はレベルが上がったようだ。
レベルが上がったのは嬉しいが、ゴブリンから流れる血の匂いを嗅ぎつけた魔物や獣が集まってくるかもしれないため、一度拠点に戻ることにしたのだった。




