表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の海馬を君に贈りたい  作者: ハイドランジア&シーク
【第五種「依存症」―僕のカウンセラー―】
171/172

四年の月日が流れ

 それから四年の月日が流れ、

 僕と彼女は一児を持つ親となっていた。


 あれから僕と彼女は一応、数ヶ月の交際を経て、

 さらに数ヶ月後に婚姻届を提出した。


 その間に、今まで働いていた店を辞め、

 店を引き継いだ。


 今では、あのときの客が

 常連客としてよく足を運んでくれている。


 そして今日は、二月十三日、とうにいの命日だ。


 彼の死を、無理に忘れようとはしない。


 彼女が無理に忘れることはないと言ってくれたから、

 僕はその言葉を受け止めて、

 彼の死を抱いたまま生きることにした。


 だからこうして命日も

 月命日も家族で墓参りに来ている。


「ほら香澄、おてて合わせて、お祈りするんだよ」


 小さな体で精一杯背中を曲げる女の子は、

 僕と彼女の娘の香澄だ。


 名前の由来は、「透」の透き通るから取り、

 「澄む」という意味を取り入れて名付けた。


 彼の死を忘れず、抱いたまま生きている証だ。


 供えるのは菊や榊ではなく、

 心の種を育てた、花や果実だ。


 これでなければいけない、

 僕らと彼とを結ぶ、繋がりだから。


「これからもどうか、

 僕たちを見守っていてください」


 これから先、娘が成長していく過程、

 結婚して、子どもが生まれ、僕ら夫婦が老いる。


 そうして続いていく未来と記憶を、

 ずっと報告していこう。


 僕の記憶や思い出たちを彼と共有したい。


 言い換えるなら、

 僕の思い出全てをとうにいに捧げたい、だろうか。


 しかし、

 なんとなくしっくりこないところがある。


 もういい大人だというのに、

 彼をとうにい呼ばわりしているところかな。


 それに、キザすぎて性に合わない。


 何て言うべきだろうか。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ