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僕の海馬を君に贈りたい  作者: ハイドランジア&シーク
【第五種「依存症」―僕のカウンセラー―】
155/172

腑に落ちない点

『一月十四日


 朝、目が覚めると、

 種が育っていて、双葉が芽を出していた。


 一つは実が生るらしく、もう一つは種が生るらしい。


 これから生る二粒の色違いの種と、

 元からあった透明な種を縁に渡して、

 それらを育て、そのうち一つの実を食べると、

 全てを伝えられるようだ。


 しかしそれにしても、

 随分回りくどいような気がするが、

 記憶の写しを渡すのだから仕方ないのかな。』


 種は、彼が育てたものだったと記されている。


 だとしたら、彼女が口にしたアレは……おそらく。



『一月十六日


 最近腸の調子がいたく悪いので、

 消化器科のある行きつけの病院に行ってみた。


 僕は昔から胃と腸の調子がよくなかった。


 そこで、明確な原因は分からなかったけれど、

 腸の動きがおかしいからと、

 大腸癌の検査を受けるように言われた。


 母と父に相談すると、すぐに受けるよう言われ、

 翌日、母と共に病院へ出向くことになった。


 なんだか、怖い。』


 昔から、

 胃腸が弱いらしいことはなんとなく知ってはいた。


 だけれども。



『一月二十三日


 大腸がんの検査を受けた。


 悪性腫瘍が見つかったと言い渡された。


 つまり、癌だ。


 それもステージⅢaだという。


 五年生存率は七十七・七パーセントほどあるというが、

 それはあくまで五年間生きていられる可能性で、

 平均寿命や還暦まで生きながらえることを

 保証してくれるものではない。


 僕の五年先まではある程度保証されているが、

 運が悪ければ、

 残りの約二十パーセントに遭遇するかもしれないのだ。


 あの夢の意味は、

 死期が近づいていることを教えてくれたのだろう。


 素敵な贈り物を添えて。


 限られた少ない時間を大事に生きるために。


 ありがとう、

 僕も勇気を出してみることにするよ。


 種も、もう花を咲かせている、

 時期に種をつけるだろうから。』


 とうにいは病気が原因で死んだのだろうか。


 そうだとしたら、腑に落ちない点がある。


 あのとき種が見せた映像では、

 とうにいは車に引かれて事切れていたはずだ。


 何かあるはずだと日記の続きに目を遣る。





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