今日は不思議な夢を見た
『一月十一日
縁と「付き合う」ということについて話した。
まだ分からないけれど、
いつか好きな人ができたら、そうなりたいな、
と話してくれた。
僕は、縁の「好きな人」ではない。
ただ、いつかそうなれるといいな。
誰よりも近くで、
その笑顔を向けられる存在になりたい。』
またもや、彼女は赤面していたが、
どうにも気になることがあったので構わず、
質問を投げかけた。
「もしかして縁さんって、
誰とも付き合ったことないんですか?」
「……うだ」
「え?」
「悪いか?
この年で誰とも付き合ったことがなくて。
店を開業することで精一杯で、
色恋に現を抜かす暇などなかったんだ。
それに、透夜のことがあったのに、
そう簡単に恋なんてできるわけないだろう」
また自責するように、彼女は目を伏せてしまう。
「いいえ。
ただ気になったので訊いたまでです。
馬鹿になんてしませんよ」
「そ、そうか。じゃあ、続きを読もう」
再び、彼女の手元の日記へと視線を落とす。
『一月十二日
どうにも告白する勇気が出ない。
僕は臆病で口下手だから、
上手く伝えられる自信がないや。
僕の記憶ごと全部あげられたらいいのに。
記憶の中にある縁への好きの気持ちごと全て。』
今度は、縁さんの頬も紅く染まらず、
日記に綴られている言葉を読み解くように、
ただその文字の羅列を見据えていた。
どこか呪文めいたその言葉に、既視感があった。
聞いたことがあるというわけではないけれど、
そこはかとなく知っているような気がする。
けれども、あまりに情報量が少なすぎる故、
日記を読み進めていく。
『一月十三日
今日は不思議な夢を見た。
朝、目が覚めたら、
手の中に小さな巾着を握り締めていた。
紐を緩めて、中身を取り出すと、
ビー玉みたいに綺麗なものが三つと、
説明書みたいな紙が一枚入っていた。
これを土に植えてみる。』
多分、これは。




