僕らの知らない真実
きっと、気づかれてしまっただろう。
いや、気づかれたに違いない。
僕がとうにいこと、
浪川透夜と知り合いであることを。
僕はどうにも気まずくて、顔を俯かせて、
彼女と目を合わせないようにする。
それでもやっぱり気になってしまって、
横目でこっそりと一瞥すると、
彼女は驚くでもなく、
感慨深い表情で頷くだけだった。
どうしてだろうという不安に駆られるよりも、
ほっとした安堵の気持ちの方が大きい。
しかし、胸を撫で下ろしたのも束の間、
鏡子おばさんはさらに質問を投げかけてくる。
僕の急所を狙うが如くだ。
「それにしても、珍しい組み合わせね。
二人とも知り合いだったの?」
何て説明すればいいか分からず、
このタイミングで縁さんにあの話をするのも気が引け、
何も言えずにただ頷く。
そんな情けない僕の代わりに、
縁さんが口を開いてくれた。
「いえ、知り合ったのは一年前ですよ。
それよりも、
今まで一度もここに足を運ぶこともできなくて、
申し訳ありませんでした」
そう言うと、
縁さんは腰からしっかりと曲げ、深々と頭を下げた。
「頭を上げてちょうだい。
私は、あなたの目を見て、ちゃんとお話しがしたいわ」
その一言で、縁さんは渋々といった様子ながらも、
頭を上げ、鏡子おばさんの目を見据える。
それに応えるように、彼女は語り始めた。
「縁ちゃんがね、
ここに来られなかったのも仕方ないと思うわ。
あなたはきっと誤解したままだから。
だけど、あなたが来てくれて良かった。
あのときは証拠もない噂が色々流れたから……
そのせいで、
下手に事情を知っている私と家族は、
あなたに憎しみさえ感じていたわ。
でもね、真実を知った今は違うの。
これでやっと、本当のことを伝えられる。
あの子が遺してくれたものを渡せるわ」
縁さんはきょとんとした表情で、
何か疑問を抱いているようだ。
僕もそうだから。
種が教えてくれたように、
僕の知らない、
僕らの知らない真実があるというのだろうか。
もし、本当に新たな解が存在するとするなら、
それは僕にとって苦い答えでもいいから、
甘い答えをください。
鏡子おばさんはそう言って、
とうにいの机の引き出しからいくつか取り出し、
その一つを縁さんに手渡した。




