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僕の海馬を君に贈りたい  作者: ハイドランジア&シーク
【第三種「受容の種」―自分を受け入れる―】
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「私は、罪滅ぼしのため」

 帰り際、二人に祝福の言葉をかけ、

 彼女はご祝儀を、僕は粉末だしセットを手渡した。


 中身が見える包装になっていて、

 それを見た二人は大層喜んでくれた。


 出汁はある意味、二人を繋ぐきっかけだったから、と。


 帰り道、由野さんは祝福のブーケを抱えながら、

 複雑な表情を浮かべていた。


「どうしたんですか、由野さん。


 ブーケトス取れたのに、嬉しくないんですか? 


 幸せの兆しですよ?」


「いや、そんなことはないが、

 ただ、私なんかが幸せになってもいいのかと思ってな」


 ニカッと白い歯を見せて笑う彼女だったけれど、

 上手く笑えていなかった。


 だから、僕は溜まらず、こんな質問を投げかけたんだ。


「どうして、由野さんは色んな人を救っているのに、

 幸せになっちゃいけないんですか」


 疑問形よりももっと、重くのし掛かる思いからだった。


「私はね、自分のやっていることを

 善行だと思っているわけではないんだよ。


 あくまでエゴだと自覚してやっていることなんだ。


 決して他人のためなんかじゃない、自分のためだ。


 そこをわきまえないと、

 全ては狂ってしまうんだよ、全て、ね」


 ククッと高笑い気味に彼女は声を上げて笑う。


 全然答えになっていないのに、

 何かを教えてくれているような気がした。


「つまりそれは、

 由野さんがしたいようにしている、ということですか?」


 しかし、僕の問いに彼女は首を振る。


「いや……そうではないんだよ。


 私の場合は、エゴでやっていることではあるが、

 やりたいことをやりたいようにやっている、

 というのとも違っていてね。


 私は、罪滅ぼしのためにやっているのだから――」


 彼女はそう言うと、俯いたまま、

 矛盾しているかもしれないがね。


 と、呟くように、嘆いていた。


 そして、本来の質問に対する

 答えを思い出したかのように、答えてくれて。





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