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僕の海馬を君に贈りたい  作者: ハイドランジア&シーク
【第三種「受容の種」―自分を受け入れる―】
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****「一年に一度のその日を」**** 


 二月十三日、

 僕にとってそれはバレンタインの前日なんかではなく、

 きっと一生忘れられない一日だ。


 だから珍しく、

 この日だけは僕からバイトの休みを申し出たのだけれど、


「いや、その必要はない。


 その日は、店を休みにしているからな」


「そうですか、ありがとうございます」


「それにしても珍しいな、

 君がバイトを休みたいだなんて。


 何か大事な用でもあるのか……

 いや、何でもない、気にしないでくれ」


 彼女はそうして、

 自ら出した問いを封じ込めてしまった。


 まあ、そのまま訊かれたとしても、

 答えられはしなかっただろう。


 彼女も僕のそんな心情を悟ったのか、若しくは、

 それを自分に返されると思ったからだろうか。


 店を休みにする理由を敢えて話さないあたり、

 知られたくない事情があると窺える。


 だから、お互い今日、

 二月十三日には不干渉でいよう。


 その他を歩み寄っても、

 これだけは隠していたいんだ。


 僕は当日、ある人に会いに行っていた。


 ――毎年、この日しかあなたとは会えない。


 この日くらいしか、

 僕はあなたに会いに行く勇気が出ません。


 こんな臆病な僕を、どうか笑ってやってください。


 その代わり、

 あなたのことは一生忘れないつもりです。


 この先の未来もきっと、

 あなたを忘れることはできないでしょう。


 あなたは僕にとって、それくらい大切な人でした。


「また、来年会いに来ますね」


 二月十三日はあなたに会いに行く日。


 あなたにもらった優しさを胸に、

 明日も生きていきます。





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