クリスマスプレゼント
「このあと、一時間ほど時間はあるか?」
何のことだか分からなかったが、
プレゼントを渡すにもちょうどいいので僕は頷いた。
すると彼女は僕を店の奥の小部屋へと誘導してくれた。
真っ暗な部屋の明かりを付けると、
二人程度の小さなテーブルいっぱいに
ご馳走が敷き詰められていた。
「わぁあ、すごい。
これ、全部由野さんが準備したんですか?」
無言でコクコクと彼女は頷き、
棚の上に置かれていた包みを僕に手渡してくれる。
「僕にですか、ありがとうございます。
開けてもいいですか?」
彼女の合図を確認するよりも前に、
その包みを開封していた。
「あ、手袋だ」
「君が、よく手を真っ赤にしていたからな。
その、仕事をやりにくそうだと思ったんだ。
まあその、クリスマスプレゼントというやつだよ」
彼女はなんとなく決まりが悪そうに少しだけ、
視線を外してしまう。
ああ、先を越されてしまったな。
でも、これなら僕も丁度いい。
「あのこれ、
僕からも由野さんにクリスマスプレゼントです。
どうぞ、開けてみてください。
気に入ってもらえるか、分からないですけど」
「ありがとう、いただくよ」
彼女はそれを受け取り、
包みを開けると、感嘆の音を漏らした。
「おぉ、これは使いやすそうだな。
ありがとう、早速使わせてもらうことにするよ。
うん、あったかいな」
ふわりと頬が緩んで、表情が和らいでいく。
「因みに、
これって一緒に食べようってことでいいですか?」
「ああ」
意外に恥ずかしがり屋な彼女の頬が紅く染まり、
けれど今度は僕の目を見据えて答えてくれた。
こんな変化も僕にとっての
クリスマスプレゼントかもしれない。
ああ、それから言い忘れていたね。
「メリークリスマス!」
この宵ばかりは、
嫌なことを忘れて
みんなが幸せなひとときを過ごせますように。




