クリスマス・イヴ
それから季節は巡り、世間はクリスマス・イヴ。
さらに、凍てつくような外気にさらされた屋外では、
カップルたちが人目も憚らず愛し合い、
互いの愛を確かめ合っている。
近所にホテル街がなくて、
本当によかったと思う一番の季節だ。
今夜は雪が降り積もりそうだけれど、
だからと言って、はしゃぐような年頃でもない。
寧ろ、バイトの後、自転車で帰られるかなぁ、
はあぁ、という気持ちになる。
ここまで言えば、言わずもがなであるが、
僕は今日も明日もバイトだ。
カップルたちを羨む気持ちはないでもないが、
今日ぐらいはそれをめでたく思える。
クリスマス限定メニューに加え、
今日は予約で埋まっているんだ。
商売熱心な由野さんにとってのクリスマスは
書き入れ時でしかないように見える。
僕はクリスマスの熱に浮かされる単純な奴だから、
由野さんにクリスマスプレゼントを買ってしまっていた。
おとなしめのベージュマフラー、
羽織ったり、毛布にもできるという優れものだ。
ただのバイトと雇い主なのに、
こんなものを渡すのは少々気が引けてしまうけれど、
それだけではない関係に変わりつつある日々。
まあ、と言っても、ほんの僅かな変化でしかない。
満員な店内に賑やかな笑い声と、
せかせかと動き回る僕らの足音と共に時は流れていく。
ようやく一息吐けるようになった頃には、
八時半になっていて、
ラストオーダーを締め切り終えたところだった。
今日は明日の仕込みもあり、店を九時に閉める予定だ。
少しずつ、店内は静かになり、
八時五十分にはもう客は全員帰ってしまっていた。
これなら九時半には片付けを終えられそうだ。
今日は、盛況だったため、まだ夕食を摂っていない。
空腹を通り越した僕のお腹は、
何も文句を言わなくなっていた。
店も閉め、後片付けも終えた九時半、
着替えを済ませた僕に、由野さんは唐突に尋ねてきた。




