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僕の海馬を君に贈りたい  作者: ハイドランジア&シーク
【第三種「受容の種」―自分を受け入れる―】
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二人揃って

「というと、具体的にはどのようになりましたか?」


「はい、先日の三日に交際を始めさせてもらいました」


 ほっ、なんだ、交際の方だけだったか。


 とんでもない展開が始まるかと思って、

 冷や冷やしてしまったよ。


 その後、

 一粒のお代を受け取った由野さんは彼女に鉢植えを返し、

 そのまま育て続けることを薦めた。


 植物セラピーという観点からすると、

 このまま種を育てることはとてもいいことらしい。


 僕も育てている。


 心の平安を維持させるためだろう。


 彼という一番の精神安定がいる限りは、

 大丈夫そうだろうけれども。


 少しでも離れたときなんかには、役に立つだろう。


 若しくは、彼といてもそれはそれとして、

 ささやかでも、いい影響を与えるはずだ。


 この日の彼女はマフィンを購入して、早々に帰っていった。


 少し寂しい気もするが、

 彼女が幸せになれたようで嬉しい。


 何よりも、自分自身を

 受け入れられたということが一番の喜びだ。


 自分を受け入れてほしいと思う先は、

 他でもない自分だから。


 翌週末、二十二日の土曜日に、

 氷川さんと一条さんが二人揃って、店を訪れた。


 これはどういうことだろうかと思ったけれど、

 今までのことを整理すると

 そういうことかと今さら気づかされる。


 もっと早く気づいていても、不思議はなかったくらいだ。


 氷川さんの頼みでセッティングした

 二人の初デートは見事、成功を奏した。


 由野さんが彼に教えて、

 一条さんに食べさせた料理などを

 参考にメニューを設定したんだ。


 デザートは白桃と苺のタルトだった。


 一条さんの好きなタルトに、

 氷川さんの「白桃」、

 一条さんの「苺」を二人に

 見立ててつくってみたものだ。


 勿論、フルーツは代用品だけれど。


 こんなにも喜んでくれる人がいるというのは、

 働きがいがある。


 生計を立てるために、働かなくてはいけないけれど、

 それでも、自分のしたいことや、

 やりがいのあることを

 仕事にできたらいいなと思ってしまう。


 世の中、そんなに甘くないことは

 分かっているつもりだけれど、

 それぐらいの希望がないと人生つまらない。


 ささやかでいいので

 光と癒しを与えてくださいということだ。


 今日、彼らの記念日は、

 僕にとっても思い出に残る日となるにちがいない。





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