表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の海馬を君に贈りたい  作者: ハイドランジア&シーク
【第三種「受容の種」―自分を受け入れる―】
110/172

恋をしたら、

「別に紹介してもいいけど、

 多分、彼氏にはなってくれないと思うよ」


 と悪戯っぽく、微笑んでみせる。


 多分、なんて確率ではないけれど、

 僕は冗談混じりにそう言ってみた。


 彼女たちは不満げに駄々をこねて、理由を要求してくる。


「ええー、どうしてー?


 付き合ってる人とか、好きな人いるの?」


「それとも、年下好みじゃないとか?」


 僕はにっこり笑顔で言葉を吐いた。


「んー、内緒。


 本人に訊いてみたら、すぐに分かることだけどね」


 僕がこんなにも意地悪で優しい教え方をするのは、

 今、僕の機嫌が頗るいいからで、

 この秘密を独り占めしたいからだろうね。


 そこに、得も言われぬ優越と特別を感じるんだ。


 今すぐにでも彼女を追いかけたい気分だけれど、

 それは仕事中のためにできない。


 休憩はもう暫く先のことだ。


 それに、このことについて言及するのは、

 明日のバイト時の方が楽しそうだね。


 五日ぶりに会う彼女は、

 どんな顔をして僕を迎えるのかな、

 それを考えただけで胸の昂揚が治まらないよ。


 どんどん、

 彼女に傾倒しつつある自分に気づいてはいるけれど、

 それはまだ友人や姉のような親しみと憧れで、

 恋愛感情ではない。


 時々、

 ドキドキさせられることもあるけれど、

 それだけでは恋には発展しないんだ。


 文化祭は無事終了し、結果発表が行われた。


 僕らのクラスは食品部門で八店中、

 一年生にしてなんと、二位の座を獲得する。


 総合では、三年生が表彰されていたが、

 一年生でこれは好成績だと言っても過言ではないはずだ。


 このままてっきり打ち上げかと思いきや、

 それは体育祭を終えた後日する予定らしい。


 だから今日は、

 文化祭の買い出しの子たちが買ってきてくれていた

 ジュースとお菓子で乾杯する程度だった。


 体育祭に向けて頑張ろう! 


 というようなやりとりをしたり、

 今日頑張ったことについて励まし合ったりしていた。


 そこで、仲が深まり、

 カップルが成立しそうだなと

 横目に見ることもあったが、割と気にならなかった。


 文化祭前後に成立するカップルの寿命は、両極端だと聞く。


 長続きするところは何年ももち、かたや、

 一ヶ月と経たないうちに別れる

 カップルも続出するそうだ。


 どちらにしても、

 長続きするならおめでたいことだし、

 短いならその程度だったということで

 それ以上の関心は持たない。


 最近は心が満たされる生活を送っているから、

 それで十分なんだ。


 彼女が欲しいとも思わないし、

 いらないとも思わない、どっちだっていい。


 恋をしたら、

 付き合いたくなる衝動には駆られるだろうけれどね。


 と言った具合だ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ