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弱虫テイマーは今日も頑張る。  作者: 一兄
2章 ~怒りを抱く少年に、笑う悪魔~
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第二章 第四話 ~苦難は彼方の先にありて~

「うぐっ……!」


激しい痛みと共に、地面に倒れ伏す。

周りからは仲間の悲痛な叫び、叱咤激励の声が聞こえるが、ピクリとも体が動かない。


「残念でしたね?……ケヒ!ケヒヒヒヒヒ!」


憎たらしい顔で微笑みながら、俺を打ち負かした相手は奇妙な声で笑う。


「あの子達は、あなたを倒した後でじっくりと、殺らせてもらいますから……」


「ヒッ……!」

男のいやらしい目線に、声をかけ続けてくれていた少女達は息を呑む。


「んなことっ……!させっかよ……」


苛立ちを声に出しつつ、相棒である黒刀を支えにしてなんとか立ち上がる。


「……おやおや、《不屈》と呼ばれるだけはあるようです。見直しましたよ」


「てめぇに見直されても、嬉しかねぇよ……!」


「酷いですね?私はまだ何もしていないというのに……」


そう言ってまた気味の悪い高笑いを繰り返す男。


「……《明鏡止水》」


スキルを発動させ、臨戦態勢になる。

意識が澄みわたり、次の一撃が研ぎ澄まされていく。


「……フッ。《パラライ」


「《花鳥風月》っ!」


薄紫色の閃光が、切り刻んだ。

……仲間を。


「ズ》、と。……は?」


思わず、奴も呆気にとられている。

俺の奇行に。

そう、俺は。

“味方を敢えて殺したのだ”。


少女達が、辛そうな顔をしながらポリゴン帯に変わっていく。

剣閃が当たるのが一番遅かったシャルが、何かを伝えようと口を動かしたが、それを聞くことはかなわず、少女達は白く淡い光となって消えた。


「くっ、ヒヒ!ヒヒヒヒヒ!」


また不気味な笑い声を上げだす男を睨もうとするが、奴の打った《麻痺(パラライズ)》のせいで瞼すら動かすことができない。


「……あぁ〜、笑い疲れた。愉快愉快!ほんっとうに、貴方は」


男は、俺が手放したいつもの黒刀を手に取って、俺の手に突き刺す。

痛みを感じるも、麻痺のせいで悲鳴すらあげられない。


「愚かですね!」


そう叫んで、刀を頭に突き刺した。

痛覚設定が狂っているのか、痛みが明らかに異常だ。

泣き叫びたくなるような痛みが俺を襲う。


「《不屈》のナン、敗れたり!、と」


スクリーンショットでも撮ったのか、満足げに頷きながら男はこちらを向いて、笑いかける。


「約束通り、この刀、貰いますね?返して欲しかったら……」


告げられた言葉に、思わず固まる。


「では、さようなら〜」


そう言って、刀が振り下ろされ、ナンのHPバーは0になった。












ピコン、と。

頭の中に効果音が響いて、告げられた内容に思わず防御に回そうとした大剣を止めてしまう。


ーー何だって?


《スキル《同調(シンクロ)》が進化して、《一心同体》に変化しました》

《使役獣ディーに《神装具》が追加されました》

《設定から《神装具》のリストを確認できます》

《設定から《一心同体》の同調率の変更ができます》


……一心同体?

今の同調と何が違うんだろう?

そう考えたせいで生まれた隙に、イブキさんのクナイが飛んでくる。

それをなんとか大剣で弾き、持ち前の高ステータスによる俊足で逃げに徹する。


ディーさん、一心同体ってスキル、使ってみない?


『今であるか!?……了解した!ドンと来い!』


「行くよ、イブキさん。『《一心同体》』!」


僕とディーさんが声を合わせてそう叫ぶと、頭に激痛が走る。

しかしそれも一瞬で、その後はいつもと変わらぬ感覚だった。

……いや!違う!これは…………


「『そういうことか!』」


これはもしかして、もしかすると……


融合(フュージョン)!?》


「ど、どうしたんすか、ユウ君」


いきなり大声を上げた僕が少し心配になったのか、イブキさんが声をかけてくれる。

でも、手裏剣を投げるのをやめないあたりが流石です。


「『イブキさん……』」


ディーさんの声は聞こえないが、感じる……

僕は今、ディーさんと一つになってる。

いつもの鎧の重みや、剣の振りづらさは一切なくなっていて、力がどんどん湧いてくる。

これが、《一心同体》……


……最強過ぎない?


「『僕、強くなったみたいです』」


そうイブキさんに言ったあと、僕はいつも通り大剣を構えた。

今ならわかる。どう戦えば相手が崩れるか、手に取るように。

それがディーさんによるものか、僕がディーさんのステータスに“適応した”からかはわからないけれど!


「『いきます……《縮地》』」


そう呟いて、僕はイブキさんに急速に接近する。

僕がスキルを使えないことを知っていたイブキさんは、突然のスキル使用に狼狽えてしまう。

その隙に、僕は一切の無駄なくあの技を打ち込んだ。


「『《聖なる剣(ディバインソード)》』」











「なんすかアレ!ユウ君!いくらなんでもひどくないですか?」


「だから言ったじゃないですか、強くなったって」


「いきなりあんな事言われても、困るだけっすよ!」


ボロボロに負けてしまったイブキさんに文句を言われる。


「だって僕も予想できていませんでしたし……」


「戦闘を一時中断するとか、色々できたでしょうに!」


「イブキ、諦めなさい。あんたは負けたのよ」


「うがー!私は負けてないぃぃぃ!」


姉さんに指摘されて、唸るように声を上げるイブキさん。

……うーん、戦闘中はこの人、冷静でかっこいいんだけど、普段がこれだからな〜。


「で、ユウ。さっきのは何だったの?」


「さあ?なんか進化しましたって言われたから、使ってみただけだもん」


「報告とかしましょーよー!ねー、カノンさん!」


「イブキ、黙って」


「……しゅーん」


姉さんに短く怒られてしょぼくれるイブキさん。

自業自得といえばそうなのだけれど、僕にも悪かったところはあるのでなんとも言えない。


「一心同体、だっけ?同調の上位互換だったかしら?どんな感じなの?」


「うーんと、ディーさんが自分の手足のように動かかせる感じ?……今まで、息を合わせて戦ってたけれど、これのおかけで僕に支配権がきたみたいな?」


「……なるほどね。つまり、あんたはついに化け物みたいなステータスをモノにしたってこと?」


「うん、ぽいね。あと、なんか新しい武器が使えるようになったみたい」


「へ〜。それに関しても、後で調べましょうね。んじゃ、お昼休憩としよっか」


「待ってましたわ〜!」


そう言って駆け寄ってくるフランジュさんを、サラリと避ける姉さん。

ちなみに、フランジュさんはさっきまでギンさんの相手をしていたようで、ボロ雑巾のようにクタクタになったギンさんがフラフラとこちらに来ている。


「……フランジュ、あんた何したの?」


「最近の男は軟弱すぎるのですわ!それに比べ、姉様は……」


うっとりとした表情でベタ褒めを始めるフランジュさんを放置して、昼食を食べ始める面々。

今日はマジンガーさんは急用ができたそうなので、いらっしゃられない。

僕が残念です……って言うと、すごい勢いで絶対また来るってフリップに書いてくれたなぁ……

いい人だなぁ、と思いつつ、そういえばこの前の「お姉ちゃんと呼んで欲しい」というフリップは何だったのかな〜と考える。

お世話になってるし、マジンガーさんは男の人だけれど今度呼んでみてあげようかな。


そんなたわいもないことを考えていたお昼ご飯の時に。

ナン君が襲われていたことなんて、僕らは知る由もなかった。

その原因が、僕だということも……

はい、お久しぶりです。一兄さんです。

更新、だいぶ遅くなってごめんなさいです……

学校やらゲームやら、やることが多くてパンクしてしまったのですよ……


さて、ここでお知らせと感謝の言葉を。

2000pt達成〜!

そして25万PVも達成〜!

ここまで応援してくれた読者様には、感謝しかないです。

ほんと、ありがとうございます(*´ω`人)


さてさて、PVP大会がそろそろ始まります。

あ、ユウの職業の漢字表記やら、スキルやらを色々いじりました。

テイマーは、飼育ではなく調教かな、と。

あと、擬人化の代わりにシンクロを挟みこもうかな、と。


色々変えちゃってごめんなさいですよ……

てなわけで、これからもよろしくお願いします♪

……更新ペースが遅いのは気にしないでね☆

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