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第2話:銀色の相棒と、最初の市場独占

「ズドドドド……」

辺境の荒野を、銀色の巨体が地響きを立てて爆走していた。

俺の相棒、重装型輸送ゴーレム『GR-J76』だ。

この世界の馬車なら三日はかかる険しい峠道を、相棒はわずか数時間で走破していく。

俺は運転席……もとい、操縦席の座り心地の良いシートに深く腰掛け、魔力盤を確認した。

「よし、サスペンションの自動調整システムも良好。魔力消費も想定の範囲内だ」

このゴーレムには、俺の【全自動化】スキルの粋が詰まっている。

燃料となる魔力の供給、路面状況に合わせた四輪の駆動配分、さらには車内温度の維持まで。一度設定すれば、俺が寝ていても目的地まで安全に送り届けてくれる。

俺たちがたどり着いたのは、辺境の交易都市『バザル』。

だが、その活気あるはずの街の入り口は、妙に重苦しい雰囲気に包まれていた。

「……おい、またギルドの運搬が遅れてるってよ」

「街道に魔物が出たらしい。物資が届かねえから、市場の値段が跳ね上がってやがる」

街の商人たちが頭を抱えていた。

どうやら、この街を牛耳る物流ギルドが、魔物の出現を理由に輸送をストップさせているらしい。

そのくせ、裏では自分たちの在庫を高く売りつけ、暴利を貪っている……。

「なるほど。典型的な、古い体質の独占ビジネスか」

俺はニヤリと笑った。

かつていたブラックギルドもそうだった。既得権益にしがみつき、効率化を拒み、情報の非対称性で弱者から搾り取る。

「いいだろう。まずはこの街の物流を、俺が『全自動』で塗り替えてやる」

俺は街の中央広場に、銀色の『GR-J76』を停めた。

その無骨で、洗練された「機械美」を感じさせる立ち姿に、通行人たちの目が釘付けになる。

「な、なんだあの銀色の鉄の塊は……!?」

「馬がいないのに動いているのか!?」

ざわつく群衆をよそに、俺はゴーレムの荷台を展開した。

そこには、俺が道中で自動生成させた、保存の効く高品質なポーションや保存食が整然と並んでいる。

「皆さん、お困りのようですね。物流ギルドが来ないなら、俺が届けましょう」

俺は、ギルドの半値以下の価格を掲示した。

もちろん、利益は十分に出る。俺には、人件費も馬の餌代も、運搬中の破損リスクをカバーするための高い保険料も必要ないからだ。

「おい、そんな安くて大丈夫なのか!? ギルドに睨まれるぞ!」

商人の一人が心配そうに声をかけてくる。

その直後だった。

「待て! ここでの商売はギルドの許可が必要だ!」

いかにも柄の悪い男たちが、数人の私兵を連れて現れた。

物流ギルドの幹部だろう。

「この得体の知れないガラクタを今すぐ片付けろ! さもなくば——」

男が剣を抜こうとした瞬間。

俺の相棒、『GR-J76』の自動防衛システムが静かに起動した。

「……言っておくが、そいつは俺より気が短いぞ?」

青白い魔力の光が、ゴーレムの装甲を走る。

圧倒的な「効率」の前に、旧時代のルールが崩壊する音がした。

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