七分の七
「そうです! 代理人です。代理人になって貰って経済面で支えることくらいです、今の貴方に出来ることは……。それも放棄して贖罪はありえない!」
「無理です、あんたらは、知らんから……姉ちゃんは、そんな簡単に担げるタマやないんです!」
「そうでしょうか? 少なくとも現状の、橘花さんの立場では代理人を欠かすことが出来ません。それを理由にお願いしたら……お姉さんは断らないんじゃないですか? 貴方のチャンスでもあるんですから!」
「だいたい、行方が判りません。七年近く絶縁状態で、居場所も掴めんのですよ」
「捜しますよ。簡単には見つけられないかも知れませんが……」
「どうやって?」
「何かヒントを下さい。例えば、二人の思い出の場所とか……、思い入れのある品とか……」
「思い入れのある……昔、姉ちゃんにペンダントを贈りましたけど、もう売ってる思いますよ」
「それって、オリジナルの作品ですか?」
「まぁ、そうですけど……」
「デザインを下さい。見つかれば大発見になります!」
その後、ペンダントは質屋のネットワークを使って直ぐに見つかり、困難に思われた姉探しも鶴太郎の一件で事なきを得た。
(問題は瑞稀さん……でも、稔侍翁が京都に残れば、ワンチャン怒られないで済むかも……)
和哉はこっそりと右手の手袋を外した。
「稔侍翁、これから人と会う約束があるんですけど、ご一緒にいかがですか?」
その手に宿る能力の話は、また別の機会に……。