七分の六
「情けない! ホンマ情けない。何でもっと早う知ることが出来んかったんやろ」
犯罪でチャンスを潰したことを晋吾はこの時、初めて知った……。
彼は自身の評価を全く知らなかったのだ。
後悔の念が、橘花晋吾を茫然自失に追いやった。
「最後は強盗と恐喝で逮捕、収監されました。残りの刑期を満了するまで、俺は何も……」
五年後の刑期満了まで、何もする気になれないという……。
だが、本音は少し違った。
「もう俺だけの問題やないんです! 俺は姉ちゃんの結婚までブチ壊した!」
原因は罪悪感、珍しい話では無かった。
「妊娠してたんですよ! 知らんかったで済まされん、最悪や。生まれる前に子供まで片親にしてしもた!」
身内に対する負い目が、晋吾の決意を強固にしていた。
(嗚呼、面倒臭いし、腹も立つ……)
和哉の悪い癖が顔を出す。
「それは贖罪のつもりですか?」
「贖罪?」
「罪滅ぼしです。それで、犯した罪を償ってるつもりなのかと尋ねたんです!」
「何や? お前喧嘩売っとるんか!」
「こっちのセリフですよ。中途半端に反省して罪を償う? 貴方にそんな権利ある筈ないでしょう」
「判っとるわ! そやし刑期務め上げるまで勝手は出来ん言うとるんじゃ!」
「それが中途半端だと言ってるんです! その手は犯罪を犯す為だけに使うのですか? 不幸をばら撒く時だけ使うのですか?」
「ち、違うわ!」
「何が違うのです? 貴方は刑期を終えるまで、絵は描かないと言ったんですよ。傲慢にも自分から……」
才能に対して、和哉は一切の妥協を許さない。
「……」
「その手が生み出す、人を豊かにする可能性を放棄して贖罪? もう一度伺いますね。貴方はそれで犯した罪を償ってるつもりですか?」
「……」
「殆どの人は反省するしか贖罪の道がありません。でも、貴方は違うでしょう! 手段がある!」
「手段?」
「その手を動かせと言ってるんです! 何でも良いので動かせと! 少なくとも、そうすれば経済面からはサポート出来ます。お姉さんを代理人にすれば……」
「代理人?」




