第42話 俺は、姉に訊く。
朝6時。
俺は学校のある日でも起きない時間に起きて、身支度を軽く済ませる。
駐車場に行くと、姉がアレ、もといトレーラーを車と連結するところだった。
「手伝うよ」
「待って。これは、お父さんからわたしへの課題だから」
俺が手伝おうとすると、姉が制止する。
姉は、ぎこちなくではあるが、トレーラーを車と連結させる。
姉がカプラやチェーンを接続したあと、姉が俺にお願いする。
「健くん。トレーラーの電球切れてないか見たいから、後ろ行ってくれる?」
お願いされた俺は、トレーラーの後ろに回り姉の指示に従って灯火の点灯状態を確認する。
「全部正常に点灯します」
「おっけ~」
車の準備が終わったので、自分の荷物や水などを積み込む。
「健くん、忘れものはない?」
「大丈夫」
「よし、じゃ行こっか」
姉がそう言って運転席に乗り込むのと同時に助手席に乗る。
「シートベルトしたね?」
姉が、俺がシートベルトをしたことを確認し、車を発進させる。
「静、トレーラーの運転は初めてだよね?」
「うん」
「大丈夫?」
「大丈夫だ、問題ない」
久しぶりに、姉がイケメンボイスで俺の質問に返す。
それフラグ、いや気にするな俺。
だが姉は、俺の不安に反して、普段と変わりない様子で運転する。
俺は姉の様子を見て安心して、姉と二人きりなので、ふと聞きたかったことを聞いてみる。
「静」
「ん?」
「前から聞きたかったんだが、静はどうして俺に対して、そんなに好意を持ってるんだ?俺は、静とはあの事故以前に、関りは全くないだろう?」
すると姉は、俺にその理由を話し始める。
「健くんを好きな理由、ね。
それはね、健くんがあの事故で忘れちゃった過去と、関係があるんだ」
姉は、俺が覚えてないらしい過去のことを、話し始める。




